Movie Review 2000
◇Movie Index

富江 replay('00日本)-Feb 19.2000
[STORY]
異常に腹の膨れた少女が急患として運び込まれた。切開してみたところ、中から生きた女の首が出てきた・・・!その手術に立会った病院の院長が失踪した。娘の由美(山口紗弥加)は父の行方を捜しているうちに、大学生の文仁(窪塚洋介)と知り合う。文仁の友人も少女が運びこまれた日からおかしくなっていたのだ。そして2人は川上富江(宝生舞)という女の存在を知ることになる。
監督・光石冨士朗(Vシネマ等監督)
−◇−◇−◇−
99年に公開された『富江』の続編ではない。『replay』というタイトル通り「再生」つまり増殖し続けている富江のうちの何人かが(笑)また新たな人々を巻き込んでいる。しかも映画の場合、どうやら富江はみな同じ顔ではないらしい(笑)それと新たに分かったのは、富江は不死身かと思っていたら、燃やされると死滅するらしい(笑)

『富江』は直接的な恐怖がほとんどなかったが、この作品ではちょっと怖かった。舞台が病院になったせいか、地下のシーンは不気味で怖いし(1人で暗いところに行くような無謀なことをどうしてするんだ!)由美の父が遺した日記は『ブレア・ウィッチ・プロジェクト』のヘザーの日記みたい(パクり?)血文字で書いてあったりして、字体が気味悪くて鳥肌が立った。あと遠藤憲一さん演じる医者の「ねぇさゆりちゃん?」だっけ。どれも長続きしないあっという間の怖さだが(笑)思わず「ハッ」とはなる。

でも『富江』とこの作品とどちらが好きかというと前者なのだ。ストーリーもだが、特に富江と、彼女と対決する少女に関しては『富江』の菅野美穂と中村麻美のほうが線が細くて可憐さがあったように思う。宝生舞と山口紗弥加っていかつくて骨太な感じするんだよね(ごめん)特に宝生舞の笑い声はダメでしょう。もっと高い声で笑ってくれなきゃ。ただのいぢわる女みたいだった。ま、これももうシリーズ作らなくていいよ(って作られたけど、これ以降見てません)
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クッキー・フォーチュン('99アメリカ)-Feb 19.2000
[STORY]
夫を亡くして1人暮らしをしていた老女クッキーが自殺した。しかし彼女を発見した姪のカミール(グレン・クローズ)は熱心なカソリック信者で、自殺を恥だと考えていた。そこで強盗殺人と思わせるよう偽造工作し、妹のコーラ(ジュリアン・ムーア)にも言い聞かせる。警察はクッキーと懇意にしていたウィリスを逮捕するが、コーラの娘エマ(リヴ・タイラー)には信じられなかった。
監督ロバート・アルトマン(『相続人』
−◇−◇−◇−
『相続人』はアルトマンにしてはマトモな作りで面白くなかったんだけど(マトモじゃない作りの『ザ・プレイヤー』や『ショートカッツ』もワタシ的にあまり面白くなかったけどね)この作品は少々中だるみがあるものの、ストーリー的にもキャラクター的にもけっこう面白かった。

殺人を自殺に見せかけるというのはよくあるパターンだが、この作品ではそれが逆で、強盗に見せかける話。でもそれならそれでもっときちんとやればいいのに、田舎町のせいかみんなすごく呑気(笑)緊張感がまるでない。カミールたちが、よく現場に張られる黄色いテープ、あれをぐちゃぐちゃにして現場を踏み荒らしたりしても警察はただ注意するだけ。容疑者を逮捕しても拘置所内で食事やゲームしちゃうし、ホントは入っちゃいけないエマがウィリスと寝泊まりするしやりたい放題だ。かえって真面目に犯人を探そうとしているほうが滑稽にみえる。

クッキーの自殺事件に関しては、話は至って単純明快。真相は始めから分かってるわけだしね。しかしそう簡単には終わらない。いつものように登場人物たちがそれぞれごちゃごちゃと行動するところに私たちは付き合わされ、ちょっと飽きてきたかなーというところで予想通りの展開へ続き、ああこれで終わりかと思ったところで新事実が発覚する。これに関しては私にはあまり衝撃なかったけどね。しかし最後に「う、やるじゃん(ニヤリ)」というおまけがついてくる。私はこれにやられました。

個性的な出演者の中で1番はムーア演じるコーラでしょう。白痴っぽくみえるが実は・・・なのだ。それにしてもアルトマンてライル・ロヴェットのこと好きだよね。今回はエマのことが好きな魚屋のマーニー役で出ている。ホントにどうでもいいような役のくせに、なぜか気になるヒトなんだわ〜。
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ロッタちゃん はじめてのおつかい('93スウェーデン)-Feb 12.2000
[STORY]
3人きょうだいの末っ子のロッタちゃん(グレテ・ハヴネショルド)は5歳。ある朝、いやな夢を見たせいで機嫌が悪いロッタちゃんは、ママが出してくれたセーターがチクチクするからとハサミで切り刻んでしまう。そして隣のベルイおばさんの家の物置きを借りて一人暮らしをすると宣言する。
監督&脚本ヨハンナ・ハルド(『ロッタちゃんと赤いじてんしゃ』)
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*映画未見の方と、この映画が大好きという方は読まないほうがいいでしょう(笑)
チクチクするセーターは着たくない。それは大人だろうが子供だろうが一緒。私も昔からかぶれやすい性質なので、チクチクするセーターを着るとすぐに湿疹ができてしまう。そのため母親にはいつもかぶれないものを選んでもらっていた。
なのにロッタのかあちゃんはどういう神経してんのかな。ホントはチクチクしないのにロッタがわがまま言ってるだけならそりゃロッタが悪いだろうけど(←ちょっと早口言葉みたい)本当にチクチクするのを無理矢理着せようとするのってどうよ。しかも下に何も穿かせようとしないし(笑)まさか、すゑーでんに上だけ番長がいたとは(←これは内輪ネタ)

それに夜(夕食後によ)あんな子供が1人でおつかいに行くのにも疑問。まぁ町の様子からいって犯罪者はいなさそうだけど、車が危ないのではないかねぇ雪の中だし。親もよく行かせるもんだ。それと子供が朝っぱらや寝る間際にまで菓子食ってたりしてるのもどうかしてる。ロッタのとうちゃんもかあちゃんもボンクラで、にいちゃんとねえちゃんはウザ過ぎる。例えば『I love ペッカー』に登場する家族は相当イカレてるが、それでもちょっといいなぁと思えるのに、見ててこんなに馴染めなかった家族も珍しい。
(馴染めなかったのは日本語訳も。大人同士の会話でも何か違和感あったのはスウェーデン語→英語→日本語と訳したからかな?)

逆に考えると、子供を過保護に扱わない、怒らずに見守る、自分で考えさせる、など日本人が見習ったほうがいいと思うことを親がしっかりやってるわけだ。スウェーデンでは子供のうちからみっちり性教育を教えるというのはけっこう有名な話だよね。だから子供がすくすくと成長して、その子が親になった時、同じことが繰り返されるのだ。虐待は子に受け継がれるという。自分が親になったら子供をどうやって育てられるだろう、と考えてしまった。あんまり生意気すぎるのも困るが、ロッタのような子供に育ってくれたら嬉しいかも・・・とも思う。

『ロッタちゃんと赤いじてんしゃ』という続編(というか撮られたのはこっちが先)も公開決定。映画ポスターに奈良美智さんを起用したのも当たった証拠だね。連日超満員だったもん。
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コンフェッション('98アメリカ)-Feb 12.2000
[STORY]
弁護士のラッセル(キューバ・グッディングJr.)は市長の息子サーマン(エリック・ストルツ)の弁護を引き受けていたが、明らかに罪を犯している彼を許すことができず、裁判当日に真相を暴露しようとして弁護士資格を剥奪されてしまう。フロリダに移住したラッセルは小説を書きながら貸しボート屋を営んでいた。ある日、モンローと名乗る老人と懇意になり、彼が書いたという小説を見せられるが・・・。
監督&脚本ローディ・ヘリントン(『スリー・リバーズ』)
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「本が人を殺す」というコピーを付けた映画は『私家版』だった。そしてこの映画に付けられたコピーは「小説が人を殺す」
キャストからしてイタイ感じしてたので(←失礼)『私家版』のような作品ではないだろうと思ってはいたけど、ちょっとは期待してたんですよ。でもこんな・・・何というか、面白い、面白くない以前の問題の映画で、久々にやってしまった!と思った。でもたまにはこういうのも見なきゃね(と自分を慰めてみる)

まずストーリーが穴だらけ。モンローの書いた小説「カラス殺人事件」(←このタイトルがこの映画の原題でもある)をそのままパクって一躍有名作家になったラッセルだったが、その小説そのままの殺人事件が実際に起こっていて、それを捜査しているのがトム・ベレンジャー演じる刑事。ラッセルが犯人だとすぐさま捕まえにやってきて、濡れ衣を着せられたラッセルは逃亡者さながら逃げまくりながら真犯人を追う。でもその事件が一体いつ起こったのか?とかラッセルのアリバイとかそういうのちゃんと調べないで追いかけっこしてるだけ。ああ、警察が無能だから最後にラッセルは××(←自主規制)になるのか!(笑)
あと女編集者とラッセルとの「これで掴みはOKです的カラミ」も作品の質を落としてるがこれはこれでいいんだろう(笑)でもお願いだから前売券にまでカラミ写真を盛り込まないで下さい・・・。

あと上に書いた通りキャストがねぇ。ストルツとベレンジャーお久しぶり!ストルツはともかく、ベレンジャーはもっと活躍すると思ってたのに扱いがヒドイ。オスカー俳優のグッディングJr.もいまいち。だって弁護士に全く見えないんだもん(暴言)やっぱりちょっとおバカでかわいい役がお似合いみたい。さらに『秘密と嘘』に出演していたマリアンヌ・ジャン・バチストまで何だかやりにくそうに見えたのは気のせいだろうか。

見終わって滅入ったのでとりあえず映画公式ページにある「犯人当て」に応募してみた。50万円当たったら許してやる(笑)と思って・・・・・・でも当たらなかったから許さん!(笑)
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シャンドライの恋('98イタリア)-Feb 9.2000オススメ★
[STORY]
アフリカで政治犯として投獄された夫の身を案じながら、ローマで医学の勉強をしながら家政婦として働くシャンドライ(サンディ・ニュートン)。ある時、彼女を下宿させているイギリス人ピアニストのキンスキー(デヴィット・シューリス)から愛の告白を受けるが、シャンドライは「私を愛してるなら夫を助けて!」と言ってしまう。
監督ベルナルド・ベルトルッチ(『ラストタンゴ・イン・パリ』
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いい!すごく好き!
久々に自分にとって大好きなラブストーリーを見た。ベルトルッチがどうこうというわけじゃなく、単にシューリスが出てるからという相変わらずミーハーな気持ちだけで行った映画だったんだけど、予想以上に良かった。

セリフは極端に少なくて、全編何かしらの音楽やモノが人の気持ちを物語っている。キンスキーが奏でるピアノ、アフリカンミュージック。エレベーター式の戸棚、螺旋階段、蘭の花、調度品。これらを巧みに使いながら、カメラが2人の表情を捉える。このカメラの動きが、また素晴らしい。気持ちがこもってて、観客がグッと入り込みやすくなっている。時にはうんと近くに寄り、時にはずっと遠くから見つめるように撮られていて、観客が見たいと思うものを見せてくれる。

またストーリーも私好み。ストイックな恋愛が好きなのだ。シャンドライの夫を助けようと調度品を次々と売っていくキンスキー。シューリスがこれでもかというくらい(笑)切ない表情をしてくれる。ん〜私って切ない表情がうまい人が好きらしということがようやく分かったぞ(笑)
特に(ここからちょっとネタバレ)キンスキーのおかげでシャンドライの夫の釈放が決まり、彼女はキンスキーに礼を言う。そして「夫を泊めてもいいですか?」と聞く。それを聞いた瞬間のキンスキーの表情!!笑顔で「いいよ」と言うまでの2秒半くらいの顔が忘れられない。(ここまで)そんな彼を見てこっちがキュンとさせられたのは言うまでもない。泣きはしなかったけど、鼻の奥がツンとなった。

正直言って、無償の愛とは違うと思う。どこかで彼女に振り向いてもらえるんじゃないかという密かな期待をキンスキーは抱いてるのが分かる。でもそれをいやらしく見せないところがいい。94分とコンパクトにまとめたところもいい。
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