Movie Review 2010
◇Movie Index
シーサイドモーテル('10日本)-Jun 13.2010
[STORY]
海もなく山に囲まれているのに「シーサイドモーテル」と名のついたさびれたモーテル。103号室にはインチキ化粧品を売り歩くサラリーマン(生田斗真)の元に呼んでもいないコールガールのキャンディ(麻生久美子)がやってくる。その少し前、203号室ではスーパーの社長(古田新太)が若い妻(小島聖)を部屋から追い出しコールガールに電話を掛ける。202号室ではギャンブラー(山田孝之)が女(成海璃子)を連れて宿泊しており、そこに借金取り(玉山鉄二)がやってくる。そして102号室ではキャバクラの常連客(池田鉄洋)がキャバ嬢(山崎真実)を無理やり口説いて部屋に連れ込んでいた。
監督&脚本・守屋健太郎(『スクールデイズ』)
−◇−◇−◇−
原作は岡田ユキオの漫画『MOTEL』で、漫画は連作短編になっており、部屋数も映画より多いらしい(読みたいんだけど、バイオレンスシーンが映画よりグロいらしいので読みたくない(苦笑))

見る前までは、バラバラだった部屋のエピソードが最後は全部繋がっていくパズルっぽいストーリーなのかとちょっと期待しちゃったんだけど、そうじゃなかった。『フォー・ルームス』の日本版って感じかな。ティム・ロス演じたベルボーイに当たる役は警官2人(赤堀雅秋とノゾエ征爾)・・・いや、ちょっと違うな。

一応、宿泊客同士はほんのちょっとずつ関わっていって、最後は大きな事件も起こるのだが、それらが面白いかというとそうでもなくて(苦笑)本当に面白かったのはスーパーの社長が202号室の前を通り過ぎるところくらいかな。でもあれも「男か女かどっちなんだよっ?!」ってほうが面白かったと思う。自分の笑いのツボに合わなかっただけかもしれないが、いろいろと惜しかった。設定も出演者も好きだけどなぁ。ホテルの部屋に飾ってある写真の秘密も「で?」って感じ。原作がどうなってるか知らんが、原作が微妙なら映画で面白くしてくれ。

映画全体の不満は上の通りだけど、各部屋で繰り広げられるエピソードはなかなか楽しめた。ただ、202号室の朝倉の女を演じた成海だけはミスキャスト。17歳の女の子にこんな役やらせんなよ、と思ってしまった。昔から大人びていて10歳くらい上の役も演じたことがあるようだけど、最近は年相応、というかむしろ幼く見えるので違和感をぬぐえなかった。『ドラえもん夏祭り』は似合うけどさ。
逆に最初見た時は何だこのセリフ棒読みな子は?と思ってたキャバ嬢のマリンちゃんが意外にもいいキャラしてて、常連客とのやりとりというか駆け引きが面白く、棒読みも演技のうちだったんだ〜と感心(元々棒読みなのを生かしたキャラ設定だったかもしれないけど)出てきた女性キャラクターの中では一番印象に残った。
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告白('10日本)-Jun 12.2010
[STORY]
市立中学校の1年B組、3学期の終業式。担任の森口悠子(松たか子)は生徒たちに教師を辞めると告げる。数ヶ月前、学校のプールで森口の一人娘である愛美が死んだ。娘は事故死と判断されたが、本当はこのクラスの生徒に殺されたのだと言う。犯人は2人。森口は14歳以下は罪にならないため警察に言うつもりはないが、すでに復讐を仕掛けたと宣言し、教室を後にする。4月になり、クラス替えもなく2年生になった彼らの間で、壮絶なイジメが始まる――。
監督・中島哲也(『パコと魔法の絵本』
−◇−◇−◇−
原作は湊かなえの同名小説。2009年に本屋大賞を受賞し、累計発行部数は235万部を突破している。

ハードカバーが出た時に興味はあったんだけど、文庫が出るまでいいやと思っていたら友達が貸してくれたので映画を見る前に読了。出だしにインパクトがあって最初は面白かったけど、そこから先は・・・衝撃的な展開が続き飽きずに最後まで突っ走るように読めたけど、内面までは伝わってこないというか・・・うーん、という感じ。でも中島哲也が映画化するならきっと大きく化けるんじゃないかと期待していた。

確かに原作の「んん?」と思うようなところを上手く修正していたし、最後の森口のセリフ、原作の文章に一言足しただけのものなんだけど、この一言が凄い!これを聞いて「原作超えた!」と身震いした。CMで流れている爆破シーンも、小説ではそこまで想定してなかったであろう映像に仕上げられていて、目に焼きつく。けれどセリフ1つでガラリと印象を変えてしまうということで、個人的には前者のほうが素晴らしいと思う。いつも思うけどホントこういうところがセンスあるんだよね、この監督は!またこの最後のセリフを言う時の松たか子の言い回しがすごくいい。最初、森口役と聞いてちょっとイメージとは違うなぁと思ってたんだけど(もう少し年上を想像してて、それは直樹の母を演じた木村佳乃や、ウェルテルを演じた岡田将生も同じ)やっぱり上手いわ、この人。

ただ、原作の感想が上記の通りなんで、いくら原作を超えたと思っても大好きな映画にはならなかった。『下妻物語』から3作全部にをつけてきた監督だったけど(『Beautiful Sunday』は好きじゃない。あとは未見)これにはちょっとつけられない。でも原作を読んだ人は絶対に見るべきだし、原作を読んでない人も見るべき(笑)そんな映画だ。
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ローラーガールズ・ダイアリー('09アメリカ)-May 23.2010
[STORY]
17歳の高校生ブリス(エレン・ペイジ)は、母ブルック(マーシャ・ゲイ・ハーデン)の熱意に押されるようにミスコンに出場しているが、そんな自分にいつも違和感を持っていた。そんなある時、ブリスはオースティンでローラーゲームの試合を観戦する。すっかり魅了されてしまったブリスは、ルールもよく分からないまま入団するためのトライアルに参加する。そこでスピードを買われたブリスは合格し、ベイブ・ルースレスの愛称でデビューする。
監督ドリュー・バリモア(初監督)
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原作はローラーゲームの選手だったショウナ・クロスの『Derby Girl』で映画の脚本も担当。ドリュー・バリモアの初監督作で、製作と出演もしている。最初は監督を他の人に任せようとしていたらしいが、途中でこれは自分が監督しなくては、とメガホンを取ったらしい。

ドリちゃんの初監督作だから見ないわけにはいかない。しかも今まで彼女が製作・出演してきたラブコメという言わば得意分野の作品だから、デビュー作とはいえ面白いものに仕上がっているだろうと(予告も面白かったし)楽しみにしていた。

その期待通り、自分が本当にやりたいことが見つからない10代の女の子が、初めて夢中になれるものを見つけて突き進んでいく物語で、爽やかで気持ちのいいラストだった。それに加えて、これからのことに不安を抱えるアラフォーシングルや、若い頃に叶えられなかった夢を娘に託そうとする母親と、主人公以外の年代の女性たちのことも描かれていて、幅広い年代の女性が共感できる内容だった。その分、男性キャラが適当というかあくまで脇役なんだなって感じはしたけれど。

ドリちゃん自身は賑やかなムードメーカー的な役での出演だったけど、シングルマザーのマギー(クリステン・ウィグ)や、中心選手だが若いブリスの存在が気に入らないアイアン・メイビン(ジュリエット・ルイス)にかなり気持ちを寄せて撮っているのが分かった。特にルイスは90年代は数多くの映画で見たしブラッド・ピットと同棲してたこともあって話題も多かった女優で『ケープ・フィアー』で注目された時に18歳。それが2000年に入ってからは、私が見た映画の中では全く見ることがなくなり(音楽活動もしてたらしいが)途中ドラッグに溺れたり逮捕されたりとドリちゃんと同じような道を辿ったりもして、今回久々の登場となった。彼女自身も役柄と同じ36歳。あまりにもハマり役だろう。起用したドリちゃんも演じたルイスもどっちも凄いよ。これを機にまた映画にたくさん出てほしいなぁ。

ローラーゲームについては日本で流行した時を知らないのでルールなど全く知らなかったが、それは映画を見ていくうちに分かっていったので、私のように知らない人でも大丈夫だ。ただ、誰が興行主なのかとか、チームが違うのに一緒に食事を取ったりミーティングのようなものをやっていたりして、運営そのものは分からないまま終わってしまった。後で調べてみたらローラーゲームってどうやらプロレスの興行のようなものらしい。これってアメリカでは説明がなくても常識なのかな。
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書道ガールズ!! わたしたちの甲子園('10日本)-May 16.2010
[STORY]
日本一の紙の町、愛媛県四国中央市。四国中央高校の書道部の部員がまた1人辞めてしまった。副部長の香奈(桜庭ななみ)は書道部の危機を訴えるが、部長の里子(成海璃子)は、書道は個人でやるものだから仕方がないと取り合わない。そんな時、臨時教師としてやってきた池澤(金子ノブアキ)が書道部の顧問になり、さっそく大きな紙に部員を勧誘する文字を書いて校内を沸かせた。それを見た清美(高畑充希)は自分も書道パフォーマンスがしたいと1人練習を始める。乗り気でなかった里子たちも一緒に練習を始めるが・・・。
監督・猪股隆一(『マリと子犬の物語』)
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実話を元に作られた映画で、元々は愛媛県四国中央市にある県立三島高等学校書道部が町を盛り上げるために書道パフォーマンスを始めたことから全国的に広まった。2008年からは中央市川之江町で「書道パフォーマンス甲子園」というイベントが開催されており、日本テレビ『ズームイン!!SUPER』で放送し大反響があったことから、日本テレビがそれを元に映画を製作した。日テレは2009年1月から番組で「書道ガールズ甲子園」というコーナーを開催しており、常連の埼玉県立川口高校や松山女子高校の書道部員たちも本作に出演している。

一応ワタクシ書道やってるということと、ズームインの書道ガールズ甲子園も3回ほど見てるということで、本作も見てきた。漫画『とめはねっ!鈴里高校書道部』もそうだけど、自分が高校生の時に書道のパフォーマンスとか漫画やドラマがあったら、もっと書道に熱心だったかもしれない。と、羨ましいと思う反面、パフォーマンスばっかり注目されるのはちょっとなぁと思うことも。最近はダンスやコスチュームが凝り過ぎてるし、曲に合わせて書くというのもマンネリ気味。でも展覧会に出すような作品も半切以上の大きさのものになるからパフォーマンスも相当いい練習になるよなぁ、楽しみながら書けるわけだし・・・やっぱり羨ましい、かな(苦笑)

さて本題。本作もこの手の映画(『ウォーターボーイズ』とかね)のパターン通り、最初は失敗とドタバタ続き。いちいち墨を飛ばして顔を汚すところにイラッとくるし何度もそういうシーンがあるのがしつこい。本人たちがふざけていなくて真面目なのがまだ救いだが。
TVドラマ『とめはねっ!』は仕上がった作品は書道家が書いたものだったが、本作はちゃんと役者たちが自分たちで字を書くことを重視し、かなり練習したようだ。本編の作品はあまり上手いと言えるものではなかったけど、映画の公開時に披露したパフォーマンスは正直映画の時よりずっとよかったし上手かった。やっぱり書けば書くほど書というものは上達するもんなんだよ。映画の時ももう少し時間をかけてあげればよかったね。

ヒドかったのは部員たちではなく、池澤が書道部員を募集するためにやっぱパフォーマンス。この先生は臨時で来て、経験ないけど書道部の顧問になっちゃっただけなのねーと思っていたら、なんと昔は書道家を目指していたという設定だった(笑)思わず「ご冗談を」と突っ込みたくなった。字もものすごい下手くそだったし、筆の扱いもなってない。このシーンのための練習もロクにしてないだろう。こんな説得力皆無のパフォーマンスに憧れるなんて・・・説得力ゼロ。せめて彼の書いたものは書道家が書いたものを見せるべきだった。

書道以外のドラマ部分については、親が子を、子が親を思う気持ちが伝わるシーンが多く挿入されていて、ホロリとさせられた。清美がアンジェラ・アキの『手紙』を歌うところも青春って感じで泣けたなぁ。それまで『手紙』っていい歌だと思ったことはなくて(だってもう学生時代なんて遠い昔なんだもん(笑))NHKの合唱曲ねーという認識しかなかった。でもこの時のシーンのように励ましたい時に歌われると感動しちゃうなぁ。

ところで『ズームイン』の「書道ガールズ甲子園」の審査員は森大衛なのに、本作の書道監修は石飛博光だった。『とめはねっ!』も原作漫画の監修は武田双雲だったのにドラマではやっぱり石飛博光が監修だった。石飛さんは弟子が多いからそういう仕事も引き受けやすいんだろうけど、でもいつも似たような書体の作品を見せられるのはあまり面白くないもんだ(上手いけどね)
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劇場版TRICK 霊能力者バトルロイヤル('10日本)-May 9.2010
[STORY]
大学教授である上田次郎(阿部寛)の元に、万練村(まんねりむら)からやってきた中森翔平(佐藤健)という青年が訪ねてくる。村には「カミハエーリ」と呼ばれる霊能力者が村を治める掟があるのだが、翔平の祖母であり先代のカミハエーリが亡くなったため、村で新しいカミハエーリを決める大会が催されるという。翔平はこの因習を止めたいと考えており、上田に霊能力者などいないことを証明してほしいという依頼だった。
上田はいつものように山田奈緒子(仲間由紀恵)を騙して手伝わせようとするが断られてしまう。実は奈緒子も貢物目当てに万練村の大会に出場しようとしていたのだった。
監督・堤幸彦(『20世紀少年』3部作)
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TVシリーズが始まって10周年記念作品であり、劇場版では『TRICK 劇場版』『TRICK 劇場版2』に続く3作目となる。本作に合わせて4月からレギュラーの生瀬勝久が主演するスピンオフドラマ『警部補 矢部謙三』が放映され、最終話は映画の後の出来事である。また、5月15日に放映されたテレビスペシャル『TRICK 新作スペシャル2』は本作より1週間前の出来事として描かれている。

祝!10周年!なわけだが、あんまり面白くないだろうなぁとは思ってた(『矢部謙三』も3話まではホントつまんなくて4話からようやく面白くなった)過去2作の映画でそれはじゅうぶん分かってる。でもやっぱり奈緒子と上田が好きでね。彼らの他のドラマ、例えばキャラが似てる『アンタッチャブル』とか見てもやっぱり山田奈緒子には劣るなぁと思うし、私はずっと自分で阿部ちゃんのファンだと思ってたんだけど、他のテレビや映画で見る阿部ちゃんは全くいいと思わないことにようやく気がついた(笑)やっぱりあの巨○で変人でメガネかけてる上田じゃないとダメみたい。

というわけで、グダグダ書いたけどやっぱり見てきましたよ。ストーリーはやっぱりそれほど面白くなかったし、今回は奈緒子と上田のやりとりも物足りなくて、スペシャルドラマと両方見てようやく満足できるっていうくらい。それにあらすじは映画よりドラマのほうが面白かったと思う。横溝正史の『悪魔の手毬唄』みたいでね。アダモちゃんも微妙にスベッてる上にちょっとうざかったしなぁ。

あとはいつものようにツボネタを箇条書き。
 ●kit村(地味に好き)
 ●大学教授たちの名札(小柴さんがいい)
 ●芦野温泉(本物とは思わなかった)
 ●バンサンケツマ〜(これ最初分からなかった)
 ●紀伊半多(分からないといえばこれも最初は何のことだか)

もうここまできたら大いなる万練村、じゃなくてマンネリで構わないから映画でもドラマでも何でも続けていって下さいな。DSのゲームも買ってやるぜ(笑)
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