Movie Review 2002
◇Movie Index

彼女の恋からわかること('00アメリカ)-Aug 10.2002
[EXPLANATION]
10人の女性たちがそれぞれ経験した恋をカメラに向かって語ってゆく。
1人目の女性(ラダ・ミッチェル)は、町で偶然昔のボーイフレンドから声を掛けられた話を、2人目の女性(アリシア・ウィット)は初体験の話を・・・。
監督&脚本ロドリゴ・ガルシア(『彼女を見ればわかること』
−◇−◇−◇−
『彼女を見ればわかること』が良かったので期待して行ったんだけど、残念ながらいまいちだった・・・。

10人の女性たちが語るということは知ってたけど、そこからさらに話が飛躍していくのかと思いきや、そのまま1人ずつ語るだけだった。しかも話がなんか似通ってんのよね。見てるうちにだんだん退屈してきちゃって。でもデボラ・アンガーが泣きながら話すシーンを見て、ふと「え?これって女優さんたちの実体験だったの?!」と驚いて、また集中して見ることができただけど、あとで調べてみたらやっぱり全部監督の脚本だったね(笑)話のバリエーションががもうちょっとあると良かったのになぁ。まぁでも彼女たちが、恋人がいても恋をしていてもどこか孤独で寂しそうに見える、というのが大前提だからしょうがないのかな・・・。

ちなみに私が印象に残ったのは、1人目、3人目、5人目、7人目、9人目、10人目。おぉほぼ奇数だ。その中でさらにちょっとツンとしたのは1人目、7人目、10人目でした。語り口で詩的で良かったね。

前作も女性たちが美しく撮られていて感動したが、今回も綺麗ではあるけど透明感がなく、私の好みの映像ではなかった。そしたら、今回はデジカメで撮影してたのね。どうりで顔がやっぱりちょっと暗く見えたわけだ。
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天国の口、終りの楽園。('01アメリカ=メキシコ)-Aug 10.2002
[STORY]
高校を卒業したフリオ(ガエル・ガルシア・ベルナル)とテノッチ(ディエゴ・ルナ)は、それぞれの恋人がヨーロッパ旅行に行ってししまったため、2人だけでだらだらと夏休みを過ごしていた。そんなある日、2人はテノッチの親戚の結婚式で、彼のいとこの妻でスペイン人のルイサ(マリベル・ベルドゥー)に出会う。2人は出まかせで――本当はあるかどうかも分からない“天国の口”と呼ばれる海岸へ行こうと誘うが軽くあしらわれる。しかし数日後、突然ルイサから電話が掛かってきて“天国の口”に連れて行ってほしいと頼まれる。こうして3人の旅が始まった。
監督&脚本アルフォンソ・キュアロン(『大いなる遺産』)
−◇−◇−◇−
10代の無鉄砲な若者2人と、不幸を抱える人妻のロードムービー。いや、ムービーというより小説の映像化って感じかな。シーンの途中途中で無音になり、登場人物のうちの誰でもない、第三者のナレーションが入るんだけど、これが小説っぽいのね。私はナレーションの声質と抑揚が心地よく、自分が体験したわけでもないのに懐かしい気持ちになった。また映し出される風景も懐かしい。海はもちろん、埃っぽい道路にしても透明感があって美しい映像だった。

ストーリーのほうは、風景やナレーションのような詩的なものとは対極にある、下ネタオンパレードなものでした(笑)酒とマリファナをやり、女の子と寝ることしか考えてないおバカな少年たちが、人妻と海に行けると大はしゃぎ。で、その人妻も下ネタ大好きなわけだ(笑)こいつらバカだなぁ、こいつらホントにバカだなぁと半ば呆れながら見ていたが、本気で面白かったシーンがある(少しネタバレ)フリオとテノッチはことあるごとに競い合ってるんだけど(泳ぎだったり、女の子と寝たことだったり)本当にお互いのことが好きなんだなぁ、というか一歩間違うとホモセクシャルだよな・・・と思っていたら、そうきたか。声に出して笑いそうになった(笑)でも翌日気まずくなって、さらにそれ以来つるむこともなくなったという(もともと2人は境遇が全然違うこともあって)ナレーションを聞いて、急に悲しくなった。正直言ってルイサの病気よりも悲しかったな。夏も青春も終わりなんだなって。(ここまで)

『アモーレス・ペロス』で人気が出たという(私はこれ見てないんだけど)ガエル・ガルシア・ベルナルだけど、こんな小柄な子だったのね。顔だけ見てるともうちょっと身長ありそうに見えたのに。少しがっかり。ディエゴ・ルナはもうすでに顔を覚えていない。前髪長かったからかなぁ。彼のファッションは良かった。そして問題は理由がルイサ役のマリベル・ベルドゥーですよ。ぶっちゃけた話、美人じゃないのよね(ハハハ)目はちょっと離れ気味だし歯出てるし。スタイルはいいのに色気も感じなければ品もなかった。人妻という淫靡な響きとはイメージ違い。若い彼らが夢中になるような人じゃないよ。ペネロペ・クルスとまでは言わないが(年も若いし)もう少しキュートでセクシーで儚く見える人はいなかったんだろうか。

まぁ、一番ひどかったのは映画ではなくボカシの入れ方です。スクリーンの6ぶんの1くらいボカシだよ。入れなきゃいけないのは分かるけど、はっきり言って映画を壊してる。最近の映画でこんな配慮のないボカシは初めてだな。・・・そんなに見せられない個所が大きかったの?(笑)
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イン・ザ・ベッドルーム('01アメリカ)-Aug 8.2002
[STORY]
医師のマット(トム・ウィルキンソン)と妻ルース(シシー・スペイセク)の家には一人息子の大学生フランクが休暇で家に戻っていた。そして近くに住むナタリー(マリサ・トメイ)と付き合っている。しかし彼女は暴力夫のリチャードと別居中で、幼い息子を1人で育てていた。ある時、ナタリーの家にリチャードがやってきて復縁を迫り家を荒らしたため、フランクが止めに入るが、リチャードは彼に銃の引き金を引いた・・・。残されたマットとルースは絶望の日々を送っていたが、ある決断をする。
監督&脚本トッド・フィールド(『アイズ・ワイド・シャット』等に出演している俳優で、本作で監督デビュー)
−◇−◇−◇−
息子を亡くした家族が、悲しみや絶望と折り合いをつけながら生きていく話、ちょうど『息子の部屋』のような話だと思っていたが、まさかこういう話とは・・・と絶句しました。アメリカ的だよなぁ。まぁ『息子の部屋』の場合は息子は事故で亡くなっているが、この映画では殺されている。しかも犯人の刑期は短く、保釈され、同じ町で顔を合わせることがある。だから家族のやりきれなさは計り知れない。映画でも、息子を亡くしてからの日々をマットなりにルースなりに過ごす日々はとてもリアルで泣いてしまった。そして保釈中のリチャードと顔を合わせてしまった時のルースの動揺。ここまでは完璧だった。

(ここからネタバレ)でもまさかリチャードを殺しちゃうなんて!偽装工作まで。一気にサスペンスになっちゃった。個人的にこの展開は見ていてとても嫌だった。しかもルースがヒドイ女に見えたね。それまでは彼女に同情してたけど、マットが家に戻ってきた時の態度は犯罪者だと思った。実行したマットは息子の死のほかにもう1つの重荷を背負ったようで気の毒に見えたけど、やっぱりそれはやっていい行為ではない。問題は、人を殺しても故殺ならば罪が軽くなり、保釈金さえ払えば釈放されてしまうことだ。映画はそこを批判してるんだろうけど、それでもやっぱりこんな決断はしてほしくない。現実に、この夫婦のような境遇に置かれている家庭はあるだろう。でも、だからといって加害者を殺すか?したくたってできるはずもない。こういう問題を最終的に“映画”な展開にしちゃった罪は重いのでは?と鼻息荒くなってみたりして。(ここまで)

トム・ウィルキンソンの演技は素晴らしい!個人的にアカデミー賞あげます(笑)放心状態の妻をなすすべなく見つめるシーンや、ナタリーに対する言葉のかけ方、ラストの表情、この映画の柱はまぎれもなく彼だ。スペイセクはちょっとやりすぎかな。鼻につくところもあった。もっとごく普通の主婦に見える女優を配しても良かったかも。スペイセクは最初から神経質でちょっと精神的に参ってそうな女に見えたからなぁ。そこが残念。
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チョコレート('01アメリカ)-Aug 7.2002
[STORY]
ジョージア州立刑務所に勤めているハンク(ビリー・ボブ・ソーントン)は、息子ソニーとともに黒人の死刑囚マスグローヴの刑の執行に立ち会うが、ソニーが仕事をこなせなかったためハンクは激怒した。するとソニーは父に対する不満をぶちまけ、自分に引き金を引いた・・・!
マスグローヴの妻レティシア(ハル・ベリー)は、夫を亡くした直後に一人息子まで事故で亡くしてしまう。その事故の時にハンクとレティシア出会うが、2人は死刑執行した男であることを、そして死刑囚の妻だったことを知らなかった・・・。
監督マーク・フォースター(『Everything Put Together』日本未公開)
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原題は『Monster's Ball』――死刑囚のために行われる執行前夜パーティーのこと。日本ではこの意味が分かる人は少ないだろうから(もちろん私も知らなかった)『チョコレート』というタイトルは悪くないと思う。普段はヘンなタイトルつけるな!って怒るほうが多いけど(笑)今回はOKだ。“チョコレート”はレティシアの肥満の息子が母親に内緒で食べていたものであり、ハンクが毎日食べているアイスクリームの味であり、レティシアの肌の色だから。
ただ、『ショコラ』と間違えちゃうとか、ああいう映画だと思っちゃう人もいるかもね。この映画はあんなに甘くない。どちらかというとカカオマスに近い、苦みの強いチョコレートだ。

この映画を見てる時「何年頃の話なんだろう?」とずっと疑問だった。黒人に対する差別感情や、野暮ったい服装や、電気椅子による死刑執行を見て、20年くらい前なのかな?って。でもチラシ見ても公式見ても何年とは書いてない、ということは今現在のことなのね(時代が違う場合はたいてい書いてあるので)さらに調べてみると、フロリダ、アラバマ、ジョージアの3つの州はまだ電気椅子による処刑をしているそうだ(そのほかの死刑がある州は致死注射により処刑。『デッドマン・ウォーキング』で行われてました)
そうすると今の時代で、こんなのどかな町でも黒人に対する差別や貧困が厳しいってことなんだな・・・。そして、その中でたくましく生きていこうとする女性がいる。ラストのレティシアの目は、この映画のすべてを物語っていた。久々にズンときた。

でも、せっかく彼女の熱演してるのに、あの激しいシーンでのカメラワークがダメだと思った。それまでは普通に取ってたのに、あそこで急におかしなことするから気になってしまって集中力を削がれてしまった。意図は分かるんだけどね。

それと、目がいいとか熱演とか書いといて申し訳ないのだけど、ハル・ベリーがこの役をやるのはもうちょっと年取ってからのほうが良かったんじゃないかなーと思った。美人でスタイルが良くて洗練されていて何より若い。レティシアというキャラクターからはちょっと外れている。最初にオファーされたというアンジェラ・バセットのほうが適役といえば適役だったかも。あ、彼女が不美人でスタイルが悪いというわけじゃないすよ。十分美人でスタイルもいいと思うんだけど、何より迫力があるし、絶望感を身体ごと表現できそうだから。年齢的にはまたちょっと上になっちゃうんだけど。ハル・ベリーのきれいなふくらはぎを見てそう思いました。あそこはやっぱり子持ちししゃもみたいな筋肉ついたふくらはぎの女優がやらなきゃ(ってアンジェラ・バセットのふくらはぎは見てないんだけど←おい)
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スターウォーズ エピソード2 クローンの攻撃('02アメリカ)-Aug 7.2002
[STORY]
こちらへ。
監督&脚本ジョージ・ルーカス(『エピソード1』
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2度目。今回はDLPの劇場で見た。CG部分が一際綺麗で見惚れる。冒頭の宇宙船のペカーっとした質感や、カミーノ星のシーンはもっと見ていたかったほど。特に白っぽい部分がのっぺりしてなくて立体感がある。でも人の顔がちょっと暗く見えたかな?パドメがあまり綺麗に見えなかった。そのかわりアナキンに対してあんまりムカっとこなかったのは顔の色が暗かったおかげかも(笑)あの目つきがムカツクんだと気づきました。

あとストーリーもようやく理解できた。けど、分かったせいかアラも余計目立つようになっちゃったのが悲しい。「ジェダイってあまり強くない上におバカ?」とか「アミダラは一般人から公務員になって、選挙で女王になったの?」とかね。今の女王とは何の血縁関係もなさそうだしなぁ。パドメが女王を退位してるのに娘のレイアがどうやって姫になるのか、次で辻褄合わせてくれるのかなー(なんか無視しそうだが)

まぁでも2回見てもやっぱりクライマックスでのC-3POのボケっぷり(というか暴走?)は笑えたし、対するR2-D2のフォローに感心。EP3はもっとヘビーな展開になりそうなので、彼らだけでも和ませてほしいもんだ。次は2005年か・・・。CG技術はさらに進歩してそうだけど、肝心なのはやっぱりストーリーだと思う(この映画に関しては、役者の演技はあまり気にならない)ので、どうかひとつ頼みますよ。ここに書いてもしょうがないけど。
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