Movie Review 2002
◇Movie Index

ヒューマンネイチュア('01フランス=アメリカ)-Mar 13.2002
[STORY]
12歳の時から異常に毛深くなってしまったライラ(パトリシア・アークエット)は自殺を試みるほど悲しみの毎日を送っていたが、ある時、森に入って裸で生活することに喜びを感じるようになり、それを本にしたところベストセラーとなる。印税で稼いだ金で全身脱毛をし、エステティシャンにネイサン(ティム・ロビンス)というネズミにテーブルマナーを教える研究をしているちょっと変わった男を紹介してもらい、2人は付き合うようになる。しかし森でデートをしている時に、自分を猿だと思っている男(リス・エヴァンス)と出会ったことから自体は思わぬ方向へ。
監督ミシェル・ゴンドリー(ビョークのミュージッククリップ等を経て初監督)
−◇−◇−◇−
脚本は『マルコビッチの穴』の脚本を書いたチャーリー・カウフマン。そして同作の監督を務めたスパイク・ジョーンズが本作の製作に携わっている。

設定は突拍子もないがテーマや主張は案外マトモだし、オチもきれいに決まってたので後味悪いとは思わなかった。映像センスは『マルコビッチ』のほうがいいと思うが、ストーリーに関してはこっちのほうが座りがいいかなぁ。この映画が好きか?と言われるとそうでもないけど(ははは)

ライラ、ネイサン、猿だと思ってた男@通称パフの3人の現在と回想シーンで構成されている。ライラは警察に逮捕され、ネイサンは死後の世界から、パフは議会の公聴会でそれぞれ何があったのかを語っていく。死後の世界っていうのがちょっと面白そうだと最初は思ったんだけど、あまり生かされてなくてものすごく中途半端(笑)ほかにも「あーもうちょっとここが」っていうのがいくつかあった。

本作で一番おいしいのは上記3人ではなく、ミランダ・オットー演じるガブリエルというネイサンの助手だ。フランス語訛りでネイサンを誘惑するコケティッシュな女で、ライラに同情していたワタシ的には憎たらしい存在だったけど、彼女が登場するとつい目が追ってしまった。

ガブリエルよりもさらにムカツク(笑)のがネイサンだ。『マルコビッチ』のクレイグといいネイサンといい、どっちも2人の女の間でフラフラするような男でいけ好かないんだが、それ以上にそんなダメ男が必ず自業自得な目に遭うところが脚本家の自虐っぽくて苦手である。男性から見るとこういう設定ってどう思うのかな?
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ロード・オブ・ザ・リング('01ニュージーランド=アメリカ)-Mar 13.2002オススメ★
[STORY]
こちらへ。
監督&脚本ピーター・ジャクソン(『乙女の祈り』)
−◇−◇−◇−
2回目行ってきました。今度は日本語吹替版です。劇場で見る映画を吹替で見たのは初めてかもしれない。理由は(いろんなサイトで取りざたされているけど)字幕が・・・だったからねえ。原作と呼び名が違うとかそういうのは全然問題にはしてないので先に言っときます。

まず気になったのが誤字。それから登場人物が多いからしょうがないけど、彼らの言葉遣いが定まってないところ。特にサムのフロドに対する喋り方、それとちょっと笑っちゃったんだけど「フロド、あんたいつからそんなじいさん口調に?!」ってところでしょうか(笑)また、英語が不得意な私でさえヘンだなと思う翻訳が少々・・・。

前からもう1回みようと思ってたからいいんだけどね。っていうか吹替で見て良かった!映像に集中できたこともあるし、ストーリーがさらに分かりやすいじゃないの。原作読まずに見に行く人はこっちのほうが断然オススメ。タレントでなく声優さんがやってるのであぶなっかしいところも全くないし、旅の仲間たち1人1人のキャラクターをしっかり把握できるのがいい。前回はメリーとピピンの区別がつかなかったが今回はちゃんと性格まで認識できたし、ちょっと地味かなぁと思っていたギムリもいい味出していた。ボロミアもいいヤツで、なんか彼ら全員を愛しく思うようになったよ。ええもうヘナチョコなオークやナズグルも含めてさ(笑)
一番自分でびっくりしたのは、前回と今回で泣いたシーンが違ったところかな。前回は上記の通り字幕が気になっちゃってあまり集中しきれず流してしまったが、今回はグッとくるものがあった。フロドとサム、いいよな(ホロリ)

と、吹替を褒めたけど(これも書いとかなきゃいけない)吹替も英語のスクリプトを正確に訳したものじゃない。元々原作はイギリス、アメリカなどでは超メジャーなのであえて詳しい説明などしなくても皆知ってる話だが、日本人にとってはちょっと馴染みがないため、端折られてしまうとわけが分からなくなる。それを吹替版で補完しているというわけ。スクリプトと違うのが嫌だという人はやっぱり字幕しかないかな。難しいところだ。まぁ迷ったら私のように両方見れば手っ取り早いでしょう(回し者か?)

てなわけであとは映像的に新しい発見ドコロを列挙(笑)

 ◇ハリー・シンクレアがエレンディルと書いたが、自信なくなった(苦笑)ひょっとしたら名のない一兵士かも。
 ◇ブリー村でニンジンを齧るジャクソン本人(笑)彼はホビットなのかドワーフなのか。
 ◇石になったトロルを発見。
 ◇雪山シーンでみんな腰のあたりまで雪に埋もれてるのに、1人レゴラスだけが雪の上を普通に歩いている。
 ◇ボロミアの角笛が・・・ああ。

こんなところかな。まだまだたくさんありそう。あとはDVDでチェックだな(なんか必死だぞ)

さて、ハリー・シンクレア出演箇所でしたが、何と彼はイシルドゥア役だったということが判明。ニュージーランドのYahooを辿ってきました(笑)茶色い長髪だったから全然分からなかったよ(シンクレア本人はロマンスグレーの短髪ですもん)すごく重要な役だし(何たって・・・ね)顔のアップもあったのに、私は一体何を見ていたんでしょう(トホホ)
ちなみにエレンディルを演じたのはピーター・マッケンジーという人でした。

なぜ自分がこんなに夢中なのか考えてみたんだけど、ファンタジーはものすごく好きというわけじゃない。原作は最近読んだだけなので前から愛着があるわけじゃない。ドラクエは好きだし(笑)監督も好きだけど。で、やっぱり作ってる人達が原作に対して敬意を持って取り組んでいることと、作っているものに愛情を注いでるのがすごく伝わるからなんだと思った。そして、そのめいいっぱい注がれたものに自分も接したいという欲求がふつふつと湧き上がり、映画を見ることによってそれを満たしていく・・・みたいな感じっすかね(えへ)今のところまだ満たされてないんだけどね。やっぱり見るだけじゃなくて、あの世界をあの仲間たちと一緒に歩いてみたいと思うよ・・・(←そろそろ正気に戻れ、自分)

そして3回目へと続く。
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ロード・オブ・ザ・リング('01ニュージーランド=アメリカ)-Mar 7.2002オススメ★
[STORY]
遥か昔、闇の冥王サウロンは世界を滅ぼす魔力を秘めた指輪を作り出し、中つ国―ミドル・アース―を支配しようとした。しかし勇者イシルドゥアがサウロンの指を切り落とすことに成功し、世界に平和が訪れたかのようにみえた・・・。
それから数千年後、指輪はホビット族という小さい人々が暮らす村のビルボ(イアン・ホルム)が所有していたが、魔法使いのガンダルフ(イアン・マッケラン)は指輪がビルボに嫌な影響を与えていると確信し、指輪を養子のフロド(イライジャ・ウッド)に譲るよう説得した。そしてフロドには指輪を持って村から出るよう指示した。
監督&脚本ピーター・ジャクソン(『乙女の祈り』)
−◇−◇−◇−
ファンタジーの原点と言われるJ・R・R・トールキンの『指輪物語』を、原作と同じ三部に分けて製作。撮影はすでに三部纏めて撮影を終了しているが、CGをつける作業などに時間を掛けるため、二部三部は1年ごとに公開となっている。
なので、本作では途中で終わってます。指輪捨ててないじゃん!と怒るのは筋違いなので念のため。かくいう私もつい最近原作を読んだばかりのクチなので、何も知らなかったら怒ってたかもしれないけど(笑)
これを三部で公開することを決めたニューラインは天晴れだし、1作に纏めよと言ったミラマックス(最初に決まってたところ)は今ごろ悔しがってるかもね。

3時間近くある長い映画だが、原作の長さからするとやはり駆け足になっていたし、原作を読んでない人が見て本当にこれ理解できるの?と思うような作りだったけど、ワタシ的には満足。
原作でなかなか理解できなかった最初の指輪の説明がものすごい分かりやすかったし(読んでるとき苦労したのよ(笑))まるで指輪が生きているかのような演出が随所に見られる上に、旅の仲間たちが指輪の魔力に対してどういう感情を持っているのかも表現されている。そしてここが重要なんだけど「絶対に指輪は捨てなければならない」と観客にきちんとアピールできている。ちょっと安易な表現方法と言えなくもないが、これがなかったらボロミアじゃないけど指輪を正義のために使えるんじゃないかと勘違いしそうだもの。そしてそんな指輪の力を十分理解してから改めて使命を担ったフロドを見ると、切なくなって自然と涙がこぼれてしまう。特にエルロンドの館で指輪を捨てに行くと宣言するシーンでは号泣。

ええもう恥ずかしながらフロドに萌えまくりっすよ。見る前はきっとアラゴルン(ヴィゴ・モーテンセン<この人も好きだけどね)か、レゴラス(オーランド・ブルーム<美形)に注目しそうだなぁと思ってたのに、まさかフロドとは自分でもビックリ。気が付いた時にはなんかショタコンぽいなーとちょっと凹んだけど(笑)でもあの小さな身体で、指輪をぎゅうと握り締めて、への字眉毛で目を潤ませて困った顔されたらたまりません!ビバ小動物!かーわいーーーーーー!(←壊れてる・・・)

不満も多少はある。小さい人と大きい人を1つの画面で見せるのが大変なのは分かるが(たまに尺が合ってなくてフロドが大きく見えるところがあったね)俯瞰で全員を捉えるシーンと顔のアップのシーンがやたら多いのが気になるし、戦闘シーンは早すぎて何してるのかよく分からなかった。またトロルやバルログといった怪物CGが浮いてたのも気になった。まぁCGについてはこれからさらに技術革新があるだろうから、二部三部に期待しとこう。

ところで『ミルクのお値段』を監督したハリー・シンクレアが本作にちょこっと出てるということで気をつけて見てたんだけど、イシルドゥアの父親であるエレンディル役で合ってますかね?エンドクレジットを見逃してしまったので確信はないんだけど・・・パンフやサイトにも出てなくて。
というわけでチェックしたが、さらに謎は深まった・・・(だめじゃん)
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家路('01ポルトガル=フランス)-Mar 7.2002
[STORY]
舞台俳優のジルベール・ヴァランス(ミシェル・ピコリ)は舞台終了後に、彼の妻と娘夫婦が交通事故で亡くなったことを知らされる。
数ヵ月後、ヴァランスは残された孫との生活を始め、変わらず舞台にも出るようになり、いつもの日常を取り戻したかにみえたが・・・。
監督&脚本マノエル・ド・オリヴェイラ(『クレーヴの奥方』)
−◇−◇−◇−
オリヴァイラの映画を見るのは初めてだし、映画の中でヴァランスが演じていた『瀕死の王』やら『テンペスト』やらがどんな話なのかも知らない。何でこの映画を見たかというと正直言って時間が余ってたからなんだけど(おいおい)でもこういうアプローチの仕方もあるんだなぁとちょっと目からウロコな作品で面白かった。

大切な人を亡くした悲しみを見せる映画は数多くあるが、悲しむシーンを一切排除した作品は珍しいと思った(私が見てないだけで、たくさんあったらごめん)
亡くなると知らされる前と、数ヶ月後の彼の生活だけが描かれている。最近見た『息子の部屋』も、亡くなった後のほうにポイントを置いた作品ではあったけど、本作はさらにその先を描いた作品になるかな。普段の生活に戻り、芝居を続けながら孫と穏やかに暮らしているようにみえるが、気が付くと家族の写真を見てしまうヴァランス。本当に何気ないシーンだけれど、それまでの数ヶ月間、彼がどのように過ごしてきたかが分かった気がした。

また、家族は突然失ったが、彼自身からは少しずつ若さや煌きが失われていた。いま世間が求めている役者と自分が貫き通してきたポリシーとのギャップを感じ、新しい芝居に取り組もうとすると力を発揮できなくなっていた。その現実に直面した時の彼のうろたえぶりにびっくりしたと同時に、自分がそういうことに直面する日がいつか必ずやって来るんだ、と覚悟した瞬間でもあったかな(笑)今はただ笑って見てられるけどね。

生まれた時から数十年はいろんなものを与えられ、年を取ってくると今度はいろんなものをなくしていくけど、それでもちゃんと現実を見据えて最後まで人生をまっとうできるか?――90分の短い淡々とした作品だったけど、彼について自分について、少し考えた。
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モンスターズ・インク('01アメリカ)-Mar 2.2002
[STORY]
モンスターズシティというモンスターたちが暮らす世界があった。そこでは人間の子供たちの悲鳴が貴重なエネルギー源となっており“モンスターズ・インク”という会社では、モンスターが子供部屋に忍び込んでは悲鳴を集める仕事が行われていた。恐がらせ専門のサリー(声ジョン・グッドマン)と、彼のパートナーのマイク(声ビリー・クリスタル)は社のナンバー1。毎日テクニックを磨いてはエネルギーを満タンにしていた。しかしある時、彼らに嫉妬しているナンバー2のランドール(声スティーブ・ブシェーミ)がヘマをしてしまい、人間の女の子がこちらの世界に来てしまった!
監督ピート・ドクター(デビュー作)
−◇−◇−◇−
突然ですがこの映画のTVCMはウソツキです。モンスターの世界に迷い込んだ人間の女の子ブーが、マイクに向かって言ったセリフに
「マイク大好き」
ってテロップがついてますが、そんなこと言ってません!(笑)本当は
「マイク・ワゾウスキ」
ってマイクのフルネーム言ってるだけなのです。まぁ喋れないブーがマイクのフルネームを覚えちゃったっていうエピソードもなかなか感動的ではあるけど、勝手に「大好き」にするなやー。

てなわけでそれに脱力したからという理由がなきにしもあらずなんだけど、思ったよりもハマれなかった。『バグズ・ライフ』よりは面白かったけど、やはり『トイ・ストーリー』シリーズには勝てませんな。

一番の理由は(ネタバレ)ランドールが裏でやってた悪事に「あれ?」と思ったことかな。ブーがきちゃったあの日は、みんながいない隙にこっそり成績を上げようと思ってたんだよね?それとも最初から子供を連れてきてあの地下に作った機械を使おうとしてたのか?そこがよく分からなくて引っかかった。それと社長のウォー夕ーヌースまでが絡んでいたことが唐突すぎて違和感あり。その前から伏線あったっけ?
子供向けストーリーだから細かいことはいいじゃん、と思う人もいるだろうが、そういう考えは子供にも失礼だと思うんで真剣に考えてみたんだな。う〜ん、やっぱり辻褄合わない感じがして気持ち悪いなぁ。
(ここまで)

それからエンドクレジットのNG集ももういいかげん飽きた。『バグズ〜』ではすごい効果的だと大喜びしたクチだが、本作でこれをやるのはある意味ショック。だって、あのブーまで演技してるってことになっちゃうじゃーん。どうしよう、本当はすごい言葉ベラベラのスーパー子役だったら(笑)
でもマイクが誤魔化すために言った嘘の社内劇を本当に上演するシーンは好き。こういうのがいいんだよ。

キャラクターで好きだったのはマイクの彼女セリア。怒ると髪の毛のガラガラヘビの尻尾がシャカシャカするのが面白い。ジェニファー・ティリーの声もキュートだった。ブシェーミは好きだけど、声だけ聞くとすごい嫌な感じしたな。さすがと言うべきか。

ところで『トイ・ストーリー』のキャラクターであるレックスが特別出演してたけど、やたらデカかった。でかいと思ってたサリーがレックスの足までしかなかったからね。ってことはブーは人間じゃないの?!ホビット?コロポックル?
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