<<日曜陶芸家の日誌>>
vol.2:ミニ窯を作ってみよう!
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9日目: 10月31日のこと。遂にこの日がやってきた。この日の為に前準備としてジャンボエンチョー
(ホームセンター)で1400度まで耐えられるという耐火煉瓦を買ってきておきました。これが後に
後悔することに。。。苦笑
さて、ここからは、時間を追う毎の経過報告形式で、書いていくことにします。
AM 8:35 下準備;ミニ窯を作るための土を2種類箱から出してくる。
10月24日に藤岡町にある山内陶料(ねんどやさん.com)で買って来た八草粘土と
より土(道具土)のサンプルの画像を撮り、それらを混ぜ合わせ、ミニ窯の原土と
しました。(撮影データ;明るい曇り空 F9/ 1/200露出 ISO400)
左:八草粘土/右:より土(道具土) 八草粘土のほうが黒っぽく、より土のほうが含有 水分が多くややベタベタ感がありました。 |
二種類の土を合わせた原土 |
このサンプルを乳鉢に入れて、ドベ(粘土を繋ぐ為のノリのような物)を作っておくことにしました。
AM 8:51 底部の基準を作るために耐火煉瓦を3個2段積む。これが、後に、全重量が異常に重くなること
の原因になります(--; (写真A)
AM 9:22 底部の完成 (写真B)
AM 9:42 空気穴とロストル(炭が空気穴に落ちないようにするための物)部分の完成。 (写真C)
ロストルは、破損することも考え、取り外しのできるように棒状にしてみました(^^;
写真A レンガは、一般に吸湿力に優れているので、 この上に新聞紙を広げ、原土がくっつくのを 防ぎました。 |
写真B 新聞紙の上に原土を広げていきます。 その際、底面の縦になる部分の生成に 苦労しました。 |
写真C ロストルの粘土棒は、直径約2センチ程度の 物です。粘土棒の間々に四角く練った スットパーのような物をくっつけておきました。 |
AM11:00 粘土を紐状(4〜5cm)にひたすら捏ね、それをひたすら積み上げていきます。 (写真D)
ある程度の高さになったので、参考書の通りに煙道をつくりだします。
AM11:10 煙道の周りに粘土を積み重ね、煙突を作り始めました。 (写真E)
写真D 粘土の接着力を上げるためにこのようにしました。 このように接合力を高めると、頑健さが増す ようです。(誰でもできる七輪陶芸 参照) |
写真E 煙道が中心よりも、右に寄っていることが お分かりでしょうか?これが、実際に陶器を 焼いたときにどう出るのか?楽しみ(^^; |
PM12:40 昼食をはさみ、焼成室天井部を作りました。(写真F)
PM 1:15 燃焼室天井部、煙突をさらに高く積み上げ。
PM 2:30 補強部、色見穴などの細工をし、いよいよ完成(^^) (写真G)
写真F ミニ窯を作る上で、一番苦労したのが 天井部を作ることでした。原土の重みで、 天井の中央部が下がってしまうんですね。。。 |
写真G 補強部は炭入れ口の周りや、焼成室天井部の 周り、また、窯を焼く際にひびが入るので、 それを補強する針金を通す穴です。 |
10日目: ミニ窯の炭入れ口と焼成口の修整
まだ、全体的にしっとりとしているけど、作成した日に較べれば、ややしっかりしてきた外壁部。
内部は、まだまだ柔らかいです(^^;
11日目: 小物部品と煙突周りの乾燥が進んだみたいです。やや、白んできました(^^)
12日目: 全体の外壁部上半分が乾き、白くなりました。
内部はまだ灰色(--; レンガの間をやや広げ、風の通り道にしました。
これで、底面部も乾燥が進む?
13日目: 内部も乾燥が進み、窯焼も間近か?明日(11月7日)ぐらいに焼いてみようかな?
<<2004.11.6.>>
14日目: 2004年11月7日(日曜日)、いよいよミニ窯を焼成する日がやってきました。
まず、台車に乗ったミニ窯と小部品を自宅裏の貸し駐車場(借りている)に運び、焼成の準備。
妻のクルマを僕の愛車の後ろに止め、2台分の場所を空けました。
周りに燃えやすい物が無いのをもう一度確かめ、バケツに水を汲んでおきます。
焼成用に買っておいたのは、ケーヨーD2製の木炭(インドネシア産;173円)×4ケース(12kg相当)。
あとは着火剤ぐらい。炭に種火を点すためにカセットコンロと炭熾し器を準備し、皮手袋と火バサミも
作業しやすい場所に置いておきました。
耐火煉瓦を炭の置きやすいように、空気が入りやすい工夫して並べ、上の画像のように
現場をセッティング!
午前10時半に作業を開始し、炭に火を着けたのが午前11時頃のこと。
炭が熾きたら、ミニ窯の燃焼室にある程度の炭を詰め、風を送りながら焼成を進めます。
燃焼室で安定した燃え方のする炭を焼成室に移し、こちらにも炭を詰め一気に焼成を進めようとします。
昼食時には、妻がお手製のカレーパンを作って持ってきてくれました(^Q^*
ある程度焼きあがった蓋を、ミニ窯本体に乗せ、このあと送風口からドライヤーで風を送ることに!
この後、窯の下部にも炭をくべ、内部外部共に焼いていくことにしました。
内部には、テストピースの意味合いで作っておいた(用土は、ミニ窯と同じ土)ぐい飲みを
置いておきました。
炭の上にテストピースを置いておき、どんどん風を送るとテストピースが白熱を始め、
灰が付着しているのが判りました。そのまま外に出しておいておくと、灰が釉に変わっているのに
気づきました。(このテストピースの画像は後日!)
午後3時頃、最後の炭も燃え尽き、作業を終了。
窯の外部も内部もかなり熱いので、夜まで放置することにしました。
ただ、近所には、小学低学年の子供が居るので、悪戯(火傷されたら、ただでは済まないし。。。)
されたらと思うと内心ヒヤヒヤものでした(^^;
失敗した部分は、上部が生焼け気味。。。蓋の取っ手部分の生焼けのためか、ボロっと
取れてしまいました(>o<;)
<<2004.11.8>>
15日目: 11月14日(日曜日)のこと。
粘土屋さん(山内陶料)に過日のアドバイスのお礼の旨と、ミニ窯完成の報告を数日前に
済ませました。
それと同時に、新たに興味を持った幾つかの粘土についての見積もりと、質問をし、その回答を
頂きました。気になった粘土と言うのは、「鍋土(赤)」「五斗蒔土」「信楽土-2」の3種類。
普通は20kg売りだけど、無理を言って10kg売りでお願いしてしまいました(^^;
その返事に小原村(愛知県)の四季桜が見頃との頼りもあり、この日に行くことになりました。
秋に見る桜(四季桜)は、春の桜よりも花びらは小さく、これはこれで趣のある物でした。
その帰りに粘土屋さんに立ち寄りました。
店主と奥さんに出来上がったミニ窯の写真と参考にした本を見せ、事前に見積もりをお願いした
粘土がこの窯に合うかどうかのアドバイスを頂くことに。
ミニ窯の特徴が「登り窯」に近いことから、焼き締めると風味の出そうな「萩風土」も面白いかも!
との事から、上記3種の外に、「より土」も頂くことにしました。
この時、「五斗蒔土」がプロでも扱いにくいと言う事実を知ったのも、収穫でした。
普段は、混ぜて使うことが多いんだそうです。
16日目: 今週月曜日(2004.11.15.)から、セコセコと作り上げてきたテストピース(箸置き、プレート、
ぐい飲み)。数もまとまり、その中でも、大き目のぐい飲みの乾燥を完了させようと、ホット
プレートを導入(^^;
最初は80度(保温)で、ぐい飲みを温めだしましたが、開始5分目に「楽焼粘土」で作った
ぐい飲みの底の一部がボンっとはぜてしまいました。幸いなことに、本体への影響は無し(^^;;;;
1時間で、徐々に温度を上げて行き、最終的には140度(弱)まで上げ、水蒸気が見えなくなった
時点で20分ほどそのままの状態にしておきました。
その後、温度を徐々に下げ、急速乾燥も無事に終了!
素地の表面も白くなりました(^^)
いよいよ明日は、七輪を使っての素焼きと行きますか! (仕事の合間をぬってですが 汗)
<<2004.11.19.>>
17日目: 11月20日(土曜日)、仕事の合間を縫って、ぐい飲み7個と箸置き9個ほどを素焼き。
午前8時半から火を熾し、11時40分には素焼きを終了。
ぐい飲み7個のうち、「五斗蒔土」と「楽焼粘土」で作った物にひびが入っていた。
「五斗蒔土」は事前に山内陶料の旦那さんから「縮みによる傷が入りやすい」との事を聞いていたので、
なるほどと合点が入りました。
赤茶けたのは、本備前土です。なかなか良い感じ?
翌21日(日曜日)にミニ窯を使っての初めての本焼成を行いました。
どのぐい飲みを手前に持ってくるのか?に一番悩みました。
前日に幾つかのぐい飲みに「織部釉」、「志野釉」、「飴釉」を施しました。その時、より土で作って
ぐい飲みが崩れ落ちてしまったのは、びっくりしました(^^;;;
「志野釉」は還元炎の方が良いらしいので、この釉を使った物は燃焼室の手前に。
次に「織部釉」を使った物は、その後ろに。最後に「飴釉」と施した備前と「無釉」の物は、ミニ窯の
最後部に置くことにしました。
以下、時系列順に書いておきましょう(^^)
8:30 0 分 着火 ドライヤーOFF
9:00 30分 ドライヤー距離1m
9:10 40分 ドライヤー距離80cm
9:15 45分 ドライヤー距離50cm
9:30 1時間 ドライヤー距離30cm 燃焼温度を上げるためにここまで近づけてしまいました(^^;
10:00 90分 ドライヤー距離15cm 9:30から30分間、器を高温に馴らすためにそのままにしました。
10:30 2時間 ドライヤー距離5cm
10:40 130分 ドライヤー距離0cm ここから、強炙りに入ります。
11:50 200分 ドライヤー距離30cm ここから、徐冷に入りだします。
12:15 225分 ドライヤーOFF
12:40 250分 器をミニ窯から取り出し、風にさらして徐冷を進め、その後水洗い。
13:00 270分 作業終了
左:成功した物 右:割れた物
18日目: 前日のミニ窯でのぐい飲み本焼成の後片付けをしている際に、燃焼室の灰を片付けようと窯を
持ち上げたら、焼成室の真ん中辺りから二つに別れてしまいました(^^; と言うよりも、むしろ、
崩れ折れたと言った方が、しっくりするかもしれません(ToT;
そんな訳で、次は粘土を変えて再度チャレンジです(^^;
山内陶料さんにメールでいくつかの質問をしてみることにしました。
「1) より土と八草粘土を混ぜ合わせた用土よりも八草粘土のみで作った場合の方が、強度は強い
でしょうか?
2) 八草粘土でミニ窯を作ったもので、木炭を異常燃焼(ドライヤーで風を送るので)させた場合の
耐火性は、大丈夫でしょうか?
ドライヤーを使った場合、織部釉が溶けるのは、確認しました。
3) 八草粘土と耐熱土を混ぜたもので、異常燃焼させた場合の耐火性は、どうでしょうか?
4) 八草粘土と野焼き粘土を混ぜたもので、異常燃焼させた時の耐火性は、どうでしょうか?」
返事が楽しみ〜!
<<2004.11.22.>>
19日目: 山内陶料さんから、まだ返事は届いていないようなので、次の考えに対して意見を求めるために
再度メールしてみました。
「今、新たにミニ窯を作るにあたり、御社の野焼き粘土と八草粘土を1:1で混ぜてみたら、
どういう効果が得られるのか?という事で頭の中が一杯の状態です。
もし、この2種類の粘土の特性である高温に強い+急熱急冷に耐えられるという特性が
得られるのであればすぐにでも飛びつきたい思いでいます(^^; 」
<<2004.11.24.>>
20日目: 山内陶料さんに、朝、FAXで注文用紙を送ってみました。さすがに5日間も返事が無いと
不安です(^^; 昼休み後に社長さんから電話があり、以下の答えを頂きました。
・ 八草粘土(粗)とより土の場合は、強度が弱くボロッと行くことが多いので、作ったらなるべく
動かさないような環境で使用したほうが良いかも。
・ 八草粘土と耐熱土を混ぜた場合の効果は、あまり意味が無いと思うのでやらなくても
良いかもしれない。
・ 八草粘土と野焼き粘土の混合土の場合、これは面白い効果があると思われるので、
やってみると良いかも。
どの粘土を使うか、ちょっと考えてみよう。。。
体調が悪いにもかかわらず、七輪で本焼に挑戦!
土は、萩土単味で作った小ぶりのぐい飲み。見事に割れました(^^; これは後に、嫁の実家の
炭受けになります(笑)
<<2004.11.27.>>
21日目: 山内陶料さんに電話をしました。
久しぶりに聞く奥さんの声。やや漫才気味に話を進め、以下の粘土をお願いすることにしました。
・野焼き粘土 10kg
・八草粘土 10kg
・八草粘土(粗)20kg
今日、明日中に発送していただけると言う事で、明後日には届きそうです(^^)
週末には、頑張るつもり!
<<2004.11.29.>>
22日目: 午前中に粘土が到着。2ケースもあると、やっぱり重いです(^^;;;
腰が抜けそうになったのは秘密(笑)
同封の伝票に店の屋号の後ろに「のおばさんより」の文字に嫁も大うけ(^o^)
昼休みにUFJ銀行から指定口座に送金。
<<2004.12.1.>>
23日目: 今回のミニ窯作りも1号窯と同じ場所で作りました。作業台の大きさがちょうど良いんですよ(^^;
前回の失敗に懲りて、今回はレンガの変わりに雑誌でやってみました。
週刊漫画を3冊使い、包装紙でブロック上にまとめます。その上へ粘土を広げ土台を作って
いきましたが。。。狭かった(--; そんな訳で、ベニヤ板を使い、広さ(幅)を拡張!
どうにか事なきを得ました┐(~ー~;)┌
さすがに作成も二度目になると要領を得ているのか、作業が順調に進みます。
でも、やっぱり苦労するのは、天井部分。今回は、たたき板を2枚利用して締めながら作成して
みました。どのような方法が一番簡単にいくのか、いまだに思案中ですが、粘土の水気を
やや減らした方が簡単にいくのかもしれません。
午前8時半から作業を始め、終了は午後2時半。
作業時間は、前回と同じですが、前回よりはしっかりした物が出来たと思います。
途中、外出から帰ってきた嫁も粘土遊びに参加。クッキーの型抜きで箸置きと手びねりで湯飲みを
作っておりました。
晩に嫁の実家へ行く途中、ネットゲーム仲間にDVDを送りました。その夫婦も来春に七輪陶芸に
挑戦するらしいです(^^) 頑張れ!バゾクさん&Daliさん(^O^)
<<2004.12.5.>>
24日目: 明日のミニ窯の焼成を前に、先日、手ろくろで作った抹茶碗を素焼きしようと七輪で
焼いておりました。焼を急いだためか、器に水分が残っていたためか?はたまた粘土に空気が
混ざりこんでいたためか見事に爆発。。。久々に凹むと共に笑えてきました(^^;
明日のミニ窯焼成が不安だ。。。
<<2004.12.18.>>
25日目: 朝8時半からおもむろに竈を作り出します。ブロックを「コの字」に並べ、その中央に乾燥しきった
ミニ窯Mk2を置きます。新聞紙を丸め、その周りを埋めて行き、着火。更に新聞紙を筒状に丸め
ドンドン投入!その後、パレットを解体した薪をドンドンくべ、竈の中は灰と薪と高温で一杯です。
時折覗く灰の中から、程よく焼けたミニ窯の粘土の色から、午後1時半には焼きあがったと判断し、
水を掛け消火。これが黒陶気味になってしまった原因です(^^; でも、割れもほとんど見受けられない
ので、今回は成功かも(^^)
右側が今回焼成したミニ窯Mk2です。「くろべえ」とでも名付けましょうか?
左側が崩れ折れた1号窯です。
<<2004.12.19.>>
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