■■■良くなるはずはないけれど・・・■■■   2004年1月7日

 「おとうさん、しっかりしてきてると思わへん?」 年末12月28日に帰省してから、何度も母が私に言います。そう言えば、夏に会った時より、しっかりしてきたかな・・・?
話しぶりは一見、普通なのです。

 昨年10月から飲み始めたアリセプト(アルツハイマー症の治療薬)が効いているのでしょうか。それとも、先日読んだ本に書いてあったように、配偶者が愛情をもって介護する効果が、あらわれているのでしょうか。どちらにせよ、昨年のお正月より調子が良さそうです。

 元旦の朝、昨年同様に年賀状の仕分けが始まりました。どういう基準なのか理解できませんが、輪ゴムで束ねていきます。1枚だけにも輪ゴムをつけるのでクルンと丸くなっています。テーブルの上は年賀状でイ〜ッパイ。それでも、みんなニコニコと見守っています。

 だまって、ニコニコと見守るって、簡単そうですが、実はとてもしんどいことです。
1年前は「なにやってんの〜!」「親戚と○○と△△に分けるのよ!!」「あ〜っ、1枚ずつ輪ゴムなんかせんといて、ややこしいから!!」母と二人で父を非難していました。
そんな私たちに父は「な〜にいうとんや! ちゃ〜んとわかっとるがな。。」とすごい剣幕で怒り、その後黙ってしまうという、繰り返しでした。そう言えば昨年のお正月、父の笑顔はなかったように思います。

 今年は、あんなに機嫌良く年賀状の仕分けをしていたのに、翌日の年賀状が届いたとたん、「今年は元旦に年賀状が届いていない。」と大騒ぎです。

 父は鍵やお金や通帳など、ほんとうに大事なものや、父にとって大事そうに見えるものを、しまい込むクセがあるのです。

 年賀状は、リビングにあるライティングデスクの、深い引き出しの、四角いノリの空き缶の中に、キチンと入れてありました。

 みんな分かっているし、以前のように責めません。「良かったねぇ〜」と言えるようになっています。大人が3人で父を構っているので、母も余裕がありますからね。

 父のストレス(怒ったり、警戒したりすること)が減っているからでしょうか、日常生活は、お風呂も薬も食事も、ものすごくスローペースだけれど、なんとか自分でできるようになっていました。トイレは紙おむつのお世話になりながらも、自分でトイレですませているようです。ほんとにありがたいことです。