Movie Review 2010
◇Movie Index
NINE('09アメリカ)-Mar 19.2010
[STORY]
世界的に有名な映画監督であるグイド・コンティーニ(ダニエル・デイ・ルイス)は、近年失敗作ばかりが続いていた。新作映画『ITALIA』の製作を発表するも、脚本はまだ1ページも書けずにいた。マスコミから逃げホテルに篭ったグイドは、妻のルイザ(マリオン・コティヤール)や愛人のカルラ(ペネロペ・クルス)に電話をかけ弱音を吐き、慰めてもらおうとする。だが、プロデューサーがグイドの居場所を突き止めてしまい、スタッフたちと一緒にホテルにやってくる。そしてカルラとルイザもグイドに会いに来てしまう。
監督ロブ・マーシャル(『シカゴ』
−◇−◇−◇−
フェデリコ・フェリーニの映画『8 1/2』をブロードウェイ・ミュージカル化したものをさらに映画化した作品。
脚本は2008年に亡くなったアンソニー・ミンゲラで、これが遺稿となった。
第82回アカデミー賞では助演女優賞(ペネロペ・クルス)、美術賞、衣装デザイン賞、主題歌賞(『Take It All』)がノミネートされた。

元となった映画『8 1/2』は見てないしミュージカルも見てないけど『シカゴ』みたいに「こんな豪華なものをたった1300円で見れる贅沢」をまた味わいたくて見た。うーん、比べちゃいけないと思いつつもやっぱり『シカゴ』と比べて見劣りするなぁと思ってしまった。出演者は『シカゴ』以上に豪華なのに全体的に地味。『シカゴ』は女のしたたかな駆け引きが面白かったし、何よりゴージャスで見ごたえがあった。でも本作は基本的に主役のグイドに女性1人ずつが登場して1曲ずつ披露、という単調なスタイルで変化がほとんどない。豪華メンバーを揃えすぎて逆に一番の見せ場というやつを作りそこねた感じだ。

だからか、大人数で歌ったり踊ったりするシーンばかりが印象に残ってしまった。サラギーナ(ファーギー)が歌う『Be Italian』はド迫力で圧倒されたし、ステファニー(ケイト・ハドソン)の『Cinema Italiano』は軽快で見てて楽しかった。あ、どっちも予告やCMで使われた曲か。だから余計に耳に残ったわけね。あとの曲は悪いけど覚えてないや・・・。ラストもミュージカル映画とは思えないようなしんみりした感じで、エンドクレジットで再び流れた『Be Italian』と『Cinema Italiano』で勝手に自分で盛り上げて帰ってきましたとさ。おしまい。
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ミックマック(原題)('09フランス)-Mar 18.2010オモシロイ★
[STORY]
幼い頃、地雷処理をしていた父親が誤爆で亡くなり、母親はショックのあまり育児ができなくなり、バジル(ダニー・ブーン)は施設に送られる。だが厳しい生活に耐えられなくなったバジルは逃亡する。それから30年後、ビデオ屋で働いていたバジルは発砲事件に巻き込まれ、頭に銃弾を受けてしまう。奇跡的に助かるが、すでに仕事も家も失っていた。そんな彼を廃品回収で生計を立てている集団が助け、仲間に引き入れてくれる。ある時、彼の頭を撃った銃弾を作った会社を偶然見つけた。そしてその向かいには、父の命を奪った地雷を作った会社が。バジルは、この2つの会社に復讐しようとする。
監督&脚本ジャン=ピエール・ジュネ(『ロング・エンゲージメント』
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感想は後日。
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シャーロック・ホームズ('09アメリカ)-Mar 14.2010
[STORY]
19世紀ロンドン。若い女性が次々と殺される事件が発生し、名探偵シャーロック・ホームズ(ロバート・ダウニー・Jr)は抜群の推理力と行動力で、助手のワトソン(ジュード・ロウ)とともに犯人であるブラックウッド卿(マーク・ストロング)を逮捕する。だが処刑されたはずのブラックウッド卿が甦ったという噂が広まり、彼の墓を掘り返してみたところ、棺には別の男の死体が・・・。
監督ガイ・リッチー(『ロックンローラ』
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原作はアーサー・コナン・ドイルの小説・・・ではなく、ライオネル・ウィグラム(『ハリー・ポッターと謎のプリンス』で製作総指揮)が原作小説を元に作ったコミックが元になっている。
第82回アカデミー賞では作曲賞(ハンス・ジマー)と美術賞にノミネートされた。

シャーロック・ホームズというとまずTVドラマのジェレミー・ブレットを思い浮かべてしまうが、ダウニーJr.のホームズも私のイメージからは離れていなかった。事件のない時はアヘン窟でラリラリ、事件が起きればいつの間にかどこかへ調査に行ってるというフットワークの良さ、まさに映画のホームズはイメージ通りだった。ラリったら上手いんだろうなーと思ってたらまさにその通りで(笑)

むしろガイ・リッチーが監督して本当にホームズ映画が作れるの?っていう心配のほうが強かった。映画の冒頭も、何のプロローグもなくいきなり大きな事件を解決するところから始まり「え?これ本当にここが映画の始まりなの?」と戸惑ったし、ホームズやワトソンがどういう人物なのかの説明も一切なし。世界一有名な探偵なんだから説明なんていらねぇだろ!という強引さ(まぁこの映画を観客が選択する時点で知ってて当然なわけだが)
でもそんな不安は次第に消えていった。スローモーションを多用するアクション、時系列をバラバラにして「実は裏でこんなことがありました」とネタばらしするストーリー展開、彼独特の演出が無理なく挿入されていて、ホームズらしさも損なわずガイ・リッチーらしさも損なわれていないという、実にバランスのよい見事な映画に仕上がっていて、正直脱帽でした。

けど、何で宿敵モリアーティ教授が登場しないで、ブラックウッドとかいうオリジナルキャラクターなんて出すのさ?と見てる間ずっと不満だったんだけど(マーク・ストロングはかっこよかったけど)それもいい意味で裏切られた。そういうことだったのね!
ただ、ヒットしたら続編もやるかもね〜的な含みを持たせる終わり方ではなく、明らかに続編に繋げるラストだったので、それなら最初から2部作、3部作として作ってほしかったな。次回作まで間が空いてしまうのが残念だ。あの役を誰が演じるのかは楽しみだけどね。
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恋するベーカリー('09アメリカ)-Feb 27.2010
[STORY]
10年前に夫ジェイク(アレック・ボールドウィン)と離婚し、3人の子を育てながらベーカリーを経営し、充実した日々を過ごしているジェーン(メリル・ストリープ)だったが、現在恋人はおらず、子どもたちも自立して寂しさを感じていた。そんな時、息子の卒業式でニューヨークにやって来たジェーンは、同じく卒業式に出るために来たジェイクとばったり。彼は若い女と再婚していたが、なぜかジェーンにアプローチ。酒の勢いもあって2人はそのまま一夜を共にしてしまう。
監督&脚本ナンシー・マイヤーズ(『ホリデイ』)
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何度も書いてるけど、レストランやらカフェやら食堂など、食べ物関係の映画ならもれなく見ている私。もちろんこの映画も見ようと思ってチェックしていた。そしてパンを作るのも食べるのも大好きという友人も誘ってみたところ、大喜びでOKをもらったので一緒に見てきたんだけど・・・なんか誘って申し訳ないって気分になった映画だった。

ここまで観客のターゲットを絞った映画も珍しいなと思った。50代、60代の女性にドストライクな内容で、正直ちょっと「キモッ!」って思っちゃったところもあり(ゴメン)若い女の子のはしゃぎっぷりやエッチな感じは可愛いと思うんだけど、60代のそれはかなりキツイ。監督のマイヤーズもちょうど60歳の女性で、ご主人とは別居してるみたいだし、主人公ジェーンに自己投影して脚本を書いたのではないかと推測。

キモかったけどストーリーは決してつまらないわけではない。結婚して3人の子を育てている間に夫が若い女と浮気して離婚。必死に働いてようやく自分の店も人気店になって、子どもたちも独立していった。これからは1人の女として輝きたいわ〜ってな状況で、なぜか元夫が強引なアプローチをかけてきた。さらに改築をお願いした建築家ともイイ感じに・・・と急にモテだして浮かれまくる主人公。まさに夢のような理想の映画ですよ(笑)でもその浮かれっぷりがキモくてね・・・。下ネタも多くて(ボールドウィンの体当たりの演技は爆笑したけど)何よりジェーンとアダム(スティーヴ・マーティン)がパンを作るシーンがひどかった。センスが古いと思ったし、食べたいと思えなかったし、背中がぞわぞわしまくり。せっかくパンを作るシーンだったのに、心の中で友達に思わず「ごめん」と言ってしまった(ちなみに映画の後は感想を言い合う時間がなくて別れてしまったので、彼女が映画をどう思ったのかは今のところ分からない)

この映画を見る少し前に、浮気して離婚して浮気相手と結婚した男が、やっぱり前の奥さんが良かった、離婚して後悔してるって吐露するブログを読んだばかりで、まさにこの映画のジェイクと全く同じだ!とビックリした。そのブログの男は日本人だけど、どこの男も同じってことか。ジェイクも3人の子に手一杯のジェーンに女を感じなくなって浮気したんだろう。でも、そんな男に言い寄られて悪い気がしない、むしろ喜んでるジェーンの気持ちが分からん。円満離婚じゃなかっただろうに。コメディだから全体的に軽い表現になるのはしょうがないけど、アダムに対する気持ちもあやふやだったし、もう少し主人公の心の内が分かるような描き方をしてほしかったな。
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交渉人 THE MOVIE('10日本)-Feb 14.2010
[STORY]
現金輸送車から2億6000万円が強奪される事件が発生し、犯人グループはショッピングモールに立て籠もった。警視庁捜査一課特殊捜査班の宇佐木玲子(米倉涼子)らが交渉し、主犯の御堂(津川雅彦)を逮捕する。だが数週間後、北海道へ行くために羽田空港にやってきた玲子は、人質の一人だった木元祐介(林遣都)の不審な行動を目にし、咄嗟に彼が乗った九州行きの便に乗り込んでしまう。やがて機内は木元と彼の兄、そして中川(反町隆史)という男によってハイジャックされてしまう。
監督・松田秀知(ドラマ『交渉人』の演出を手がけていて映画は初監督)
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2008年に第1シーズン、2009年に第2シーズンを放映したTVドラマの劇場版。第2シーズンのストーリーの続きというわけではないが、ドラマのラストで玲子と中川がすれ違うシーンがある。登場人物の紹介などは特にないため、ドラマを見ていないと人間関係は理解しずらいだろう。

ドラマは第1シーズンも第2シーズンも両方全話見てきたので、一応映画も見た。全く期待してなかったけど、思ったより面白かった。少なくとも同じ女性刑事が主人公のドラマから映画化された『アンフェア the movie』よりずっと。米倉本人は実はあまり好きではないんだけど、このドラマでの役はすごく好きだし、姿勢が良くてアクションもショボく見えなくてかっこいいと思う。それと、第2シーズンや映画では、第1シーズンでの変な向上心やトゲトゲしさがなくなり、事件に対して真摯に向き合うようになったので、それで好感度が上昇したっていうのもあるな。周りの刑事たちも玲子を邪険にしなくなり、今ではすっかり信頼して全て彼女に任せている。映画でも皆が玲子のバックアップをして動くので、何だか嬉しくなってしまった。2シーズンやってSPドラマもやって、と回数を重ねてきたドラマだから成長しているのが分かって、シーズン5とか10とかやってる米ドラマは見るのがめんどくさいけど、これくらいの回数だと登場人物に愛着が湧いてくるな。今回はハイジャックという緊迫感のある設定の中で、クールだった木崎(筧利夫)がいきなりコミカルな役回りになったのに驚いたが(それが良かったけど)

ハリウッド映画と比べたらそりゃスケールはちっちゃいけど、ハラハラできるシーンはたくさんあったしドンデン返しもたくさん用意して飽きさせない工夫がしてあったと思う。大まかなストーリーは悪くない。でも細かいところは・・・悪いけどほんとダメ!(笑)そもそも機内にあれだけの拳銃をどうやって持ち込んだっていうのよ。いくら映画だってそりゃねーよ!(笑)航空会社がグルじゃない限り無理。私は最初クルーの中にも犯人がいるのかと思ってたよ(いま思えば絶対NGな設定だが。そんな話だったら航空会社も空港も協力してくれなくなっちゃう)飛行機の構造だとかは分からないけど、一般人でもありえないと分かることをやるなら、それなりに納得できる設定を作ってくれなきゃ。まぁそういうツッコミが入ることは折込み済みだったんだろうなぁ(溜息)
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