Movie Review 2001
◇Movie Index

BROTHER('01日本=イギリス)-Jan 31.2001
[STORY]
ヤクザの山本(ビートたけし)は対立する組との抗争に敗れ、ロスに留学したまま行方知れずの弟ケン(真木蔵人)を探しに行く。やっとケンを探し当てたが、彼はヤクの売人になっておりトラブルに巻き込まれていた。山本は弟たちを助けるが、それがいつしかマフィアを巻き込んでの抗争へと発展していってしまう。
監督&脚本・北野武(『HANA-BI』
−◇−◇−◇−
北野作品は全部見たわけじゃないけれど、今までの中で一番見易い作品だったと思う。ストーリーにおいてはもちろん、テンポや間の取り方までも今までのようなハズした感じがほとんどない。ギャグなシーンがあんまりないのもワタシ的には良かった。しかし内容はやっぱり私の嫌いなヤクザもの。ただ、日本でのシーンは本当にイヤ!って思ってたのに、ロスでの山本はもうヤクザではなくマフィアっぽくて、それほどイヤだと感じなかった。自分でも微妙だなぁと思うけどね(笑)マフィアとの銃撃戦はカッコいいとさえ思えた。

日本のヤクザがロスでマフィアと争い次第に勢力をのばしていく。ヤクザの仲間が日本人や黒人やヒスパニックといったマイノリティなのは狙いなのだろう。また、日本のヤクザを海外に向けて紹介しているように見える。背中には刺青、けじめをつけるときは指を落とす。ハラキリは外国人向けのサービスショットか?!杯の交わし方は私も初めて見たけど、まさに儀式だなあ。これらを見てヤクザをカッコイイと思うか、愚かな者だと思うか、どちらとも取れるような描き方をしているのはいい。

たけしの存在感は圧倒的。演技は上手くはないけど、ただ立ってるだけですべてを表現しきれている。寺島進や漣ちゃんといった常連さんもよし。真木は思ったよりも存在感が薄くて『BROTHER』というタイトルなのに何で?と最初は不思議だった。山本とケンの絆を中心に描くのかと思い込んでたからね。あとからこのタイトルは“血の繋がった兄さん”じゃなくて“慕っているアニキィ”のほうだと分かったんだけどね。

如何ともし難いのが加藤雅也だ。リトル東京に縄張りを持つ残酷なヤクザ白瀬を演じていたが、単に英語が喋れるからだけの起用ですか?迫力が全くなく「ふざけんなよバカヤロウ」っていう台詞がすべりまくっている。この手前まではストーリーも面白くて自分の中でボルテージが上がってたのに、彼の一言で一気に冷めた。ほかにいなかったのかよー!(遠吠え)

最後にどーでもいいことなんだけど、デニー(演じるはオマー・エプス)って誰かに似てるよなーとずっと考えてて、やっと思い出すことができた。それは――
ゾマホン・ルフィン@ココがヘンだよ日本人→たけしつながり
・・・ウケを狙ったわけではない。マジ本気。
home

* * * * * * * * * * * * * * * * * * * * * * * * * * * * * * * * * * * * * * * * * * * * * * * * * * * * * * * *

シベリア超特急2('01日本)-Jan 24.2001
[STORY]
第二次世界大戦直前の満州。山下大将(水野晴郎)はモスクワから帰国するためシベリア鉄道に乗車していたが、鉄道が爆破され、急遽「菊富士ホテル」に泊まることになる。ホテルには女医、伯爵夫人、芸者の女将、戦争成金と愛人、元大使館員なども滞在することになった。そんな中、殺人が起こり山下大将に容疑が掛かってしまう
。監督&原作脚色MIKE MIZUNO(『シベリア超特急』)
−◇−◇−◇−
ごく一部で熱狂的に支持された『シベ超』のパート2。パート1は見に行こうとしていたのにあっという間に終了してしまったため、TVでディレクターズカット版(2回のどんでん返しつき)を見た。これがもうすごいの何のってとんでもない作品でビックリした。ギャグにしたってここまで作れまい。本気だからこそのなせるわざ。話題になるのも無理はない。
この人気ぶりに気を良くしたハルヲはパート2を作った。「今回もまた面白いですよ〜」とニコニコ笑うハルヲはたぶん、この映画の支持されている本当のわけを知る由もないだろう。つーか醜聞なんて一切聞こえないんだろうな、あの福耳には。

さて、今回の出演者は豪華。前作ではかたせ梨乃以外は一体誰?という輩ばかりで、プロデューサーの西田“ぼんちゃん”和晃や、プロデューサー補の占野しげるまで出てる始末。しかし本作では佐伯大尉役がぼんちゃんからコント山口君と竹田君の竹田君に代わってしまった(これは豪華ってわけじゃないけどさ)さらに淡島千景や草笛光子、長門裕之に中村福助。彼らの演技は今時のドラマや映画では決して見られない独特の気を放っており、特に男性陣の過剰な演技はこっちが気恥ずかしくなる。長門裕之は大映ドラマを彷彿させる臭さでワタシ的には○だが。っていうか福助はきっと腹話術の人形だね。やっぱ出たくなーいってドタキャンしたね。声はいっこく堂があててるね(断定)

そんな妙な濃さを持ったメンツに加わるのが超棒読みで素のままのハルヲだ。デ・パルマに対抗して11分の長回しにチャレンジするも、ハルヲ自らセリフをトチりそうになってるのが丸分かり(笑)考え込むシーンは単に居眠りしてるとしか思えない。クライマックスでもただ1人緊張感のない笑顔を浮かべていたが、見てるこっちは別の意味でハルヲが出てくるだけで緊張しまくりだった。

しかしパート1以上の衝撃は少なかった。どんでん返しもあそこまで酷い代物ではなかったし、ヘンな演歌調の主題歌もなし(脚本もハルヲが担当しているのかと思ってたが、今回は違うらしい。だから突拍子もない作品ではないのかも)はっきり言って物足りねえぞハルヲ!(笑)エンドロールでは「シベリア超特急3でお会いしましょう」って書いてあったが、このまままともな映画に成り下がるのだけは勘弁だ(たぶんそんな心配は無用だろうが
home

* * * * * * * * * * * * * * * * * * * * * * * * * * * * * * * * * * * * * * * * * * * * * * * * * * * * * * * *

ギャラクシー・クエスト('00アメリカ)-Jan 24.2001オススメ★
[STORY]
1979年から3年に渡って放映されたSFTVドラマ「ギャラクシー・クエスト」は、20年経った今でもファンに人気があり、出演者たちは営業のためにデパートやイベントに出席していた。そんなある時、サーミアンというエイリアンたちがネズミス(ティム・アレン)を訪ねてくる。彼らは「ギャラクシー・クエスト」をドキュメンタリーと勘違いしており、サリスと呼ばれる宿敵エイリアンをネズミス達に倒して欲しいと依頼してきた。ネズミスはグエン(シガニー・ウィーバー)やアレックス(アラン・リックマン)らに協力を求めるが・・・。
監督ディーン・パリソット(長編では初監督作)
−◇−◇−◇−
これだけ楽しい映画は久しぶり。ラストがどうなるかは最初から分かっている話だけど、そのお約束事が素直に喜べる。というよりむしろそれをすべて踏んでくれたほうが気持ちいい映画だ。またSF作品にありがちなお約束事もふんだんに出てくるが、それをを逆手に取りギャグとしてオチをつけたり、時にはそれが重要なポイントとなったりする。また、ネズミスたちの手助けをするのが腕力のある者ではなく、ギャラクエマニアだというのもポイント。オタク恐るべし!TVチャンピオンのナントカ王もどこかで誰かに必要とされる日が来るかもしれんですよ。

TVドラマで有名になりすぎた俳優がほかのドラマや映画に出演するのは難しい。ギャラクエの面々もまた営業活動以外に仕事がなく、特にアレックスはトカゲ頭のヅラにうんざり。ドラマのキメ台詞「トカゲヘッドに懸けて、必ず復讐を果たす!」なんてもう死んでも言いたくないって感じ(でもね「月にかわってお〜仕置きよっ!」よりマシだと思う(笑))昔はシェイクスピアなんかをやってた英国人俳優のなれの果てである。そんな役をバリバリの英国人俳優リックマンがやるからギャグになってて面白い。
さらに『チャーリーズ・エンジェル』みたいに、金髪でジャケットのチャックを下ろして胸の谷間を見せてるのがウィーバーというのがすごい!キャメロン・ディアスというより、ファラ・フォーセット・メジャースですが。予備知識がなければウィーバーだって分からなかったかもしれない。「どこかで見たことある人だなー」って思いそう。
ほかのキャラクターもみんないいし、宇宙船やエイリアンの造形は一見チープにみえる作りだが、実は凝っててお金掛かってるのがよく分かる。話はB級だけど、技術がA級なのでとても贅沢な気持ちになる。

でもギャラクエのメンバーが宇宙に行く迄と、行ってからのひと騒動はちょっとダレる。明らかに無駄だと思えるシーンもあったし、日本人だからかもしれないけど、ウケ狙いらしいシーンに対して「これの笑いドコロは?」と首をかしげたところもあった(まわりでも笑いが起こってなかった)
また、スタートレックシリーズファンならもっと楽しいだろうな。私はピカード艦長とタガート艦長って名前似せてんだな、くらいしか分からなかったんで。
home

* * * * * * * * * * * * * * * * * * * * * * * * * * * * * * * * * * * * * * * * * * * * * * * * * * * * * * * *

ペイ・フォワード[可能の王国]('00アメリカ)-Jan 1.2001
[STORY]
中学1年のクラスで社会科の教師シモネット(ケビン・スペイシー)は生徒たちに「世界を変えるアイデア」について問い掛ける。トレバー(ハーレイ・ジョエル・オスメント)はあることを思いつき、それを実行に移すがなかなかうまくいかない。母親のアーリーン(ヘレン・ハント)は彼の行動を理解できず、シモネットに苦情を言いに行くが・・・。
監督ミミ・レダー(『ディープ・インパクト』)
−◇−◇−◇−
『アメリカン・ビューティー』で主演男優賞を受賞したスペイシーと、『恋愛小説家』で主演女優賞を受賞したハントと、『シックス・センス』で助演男優ノミネートされたオスメント少年が共演した作品。だからといって2001年アカデミー賞確実かどうかは眉唾。つーか多分されないでしょう(苦笑)

さて、いきなりですがネタバレから入ります。これだけは先に言っておきたいので。(ここからネタバレ)どーしてもどーしてもトレバー少年のアイデアがネズミ構としか思えなくて(つーか公式は同じでしょ)それが最後まで引っかかって、感動なぞできなかった。なんか宗教っぽいしね。こんな風にノルマを作らなければ人を幸せにできないのか?と思うとなんか悲しい。しかしこうすることでみんなが幸せになるならやったほうがいいんだろうが。う〜ん難しいなあ。これって結論を出さないほうが良かったんじゃないかな。トレバーを殺して纏めるなよ〜。でも彼がなぜこんなに一生懸命なのか?その思いの裏にある、暗い影が明らかになった時の衝撃は確かにあった。彼が死んだことで思いが遂げられたのだとしたら、彼の死は無駄ではなかった、か?でもこれも宗教っぽいな・・・。(はい、ここまで)あ、ストーリーに関するネタバレなし感想が書けなくなっちゃった。えー、とりあえずサブタイトルはNGだ!(笑)

オスメント君は今のところ順調そうに見える(こういう書き方はヘンだが、有名になってしまった子役を見ると、その進路が気になるですよ)顔を見てると将来美形スターにはならなさそうだが、頭は良さそうなので堅実に行って欲しい。あとは親がバカじゃなければ・・・(おっと)

そしてスペイシー。やっぱこの人好きだなー。特に視線というか目線がジットリしてて好きなんだが(ヘンタイ?)今回はいつもの“人を食ったような”眼差しが消えてて、こういう目もできるんだなぁと感心した。元々上手い人だとは思うが、やはり火傷メイク効果か?この人の場合ではないですが、こういうメイクをした時と何もしない時とでは、やはりしたほうが格段に演技が変わるらしいですからね。アーリーンへの告白シーンは身につまされた(そこだけ涙)
home

* * * * * * * * * * * * * * * * * * * * * * * * * * * * * * * * * * * * * * * * * * * * * * * * * * * * * * * *

ザ・ウォッチャー('00アメリカ)-Jan 1.2001
[STORY]
FBI捜査官のキャンベル(ジェームズ・スペイダー)は連続殺人犯グリフィン(キアヌ・リーブス)から逃れるようにロスからシカゴに移り住んだ。しかしグリフィンもまたキャンベルを追ってシカゴにやってきて、再び殺人を重ねるようになった。さらにターゲットの女性の写真をキャンベルに送りつけるという予告までするようになり・・・。
監督ジョー・シャーバニック(初監督作)
−◇−◇−◇−
“犯罪史上最も美しく、そして残虐な殺人鬼”by宣伝コピー――ってどこが?(フン)
と鼻で笑っちゃうくらいお粗末な話でございました。はっきり言ってこれは詐欺。残虐なシーンは全くないし緊迫感はないし恐くもないし、それに何よりキアヌに全くやる気なし!見てて1度も美しいなんて思わなかった。何だそのしまりのない顔は?と何度もツッコミ入れてしまった。キアヌファンでさえ首を捻るかも。

でも問題はキアヌだけじゃなくって、脚本のタルさと描き方にもある。殺そうとする女性の写真をキャンベルに送り、数時間後に殺すと予告するという設定は面白いし、警察が女性を探すシーンは面白かった。あれだけTVで報道したりチラシを配ってもなかなか情報が集まらないというのは、いろんな地方から人が集まっている都会だからなのかな。そして自分と関係のないことなら関心がないからなのかな。もし東京で同じことが起こったとしたら、やっぱり見つけ難いかもしれないね。本当に恐いと思ったのは、そんな無関心に対してだった。

グリフィンがもっと恐くて魅力的なキャラだったらそんなところで恐がってる場合じゃなかったんだけどねー。キャンベルも中途半端。さらにキャンベルの精神科医ポリー(演じるのはマリサ・トメイ)も出ても出なくってもいいような人で・・・この際、演技力なんてどうでも良かったから、もっと派手な美人でも出しとくべきだったんじゃないかな。いや、トメイが悪いんじゃなくて、こんなところで使われてしまった彼女が可哀想だったな、と。とにかく人物描写に関して至らないところが多すぎた。

初っ端から音楽がウザイくらいに使われてて、途中で何度も映像にストップモーションが掛かるから、MTV出身か?と思ったらその通りだった。街の風景やカーチェイスは綺麗に撮れている。でもプロモじゃなくて映画なんだからストーリーと登場人物を重視して欲しいんです!
home