Movie Review 1998
◇Movie Index

恋愛小説家('97アメリカ)-Apr 19.1998
[STORY]
メルビン(ジャック・ニコルソン)はNYで暮らす独身の恋愛小説家。作品と違って本人は毒舌で潔癖症という変人だった。しかし彼の行きつけのレストランのウェイトレス、キャロル(ヘレン・ハント)に傷つける言葉を言ってしまったことから、彼女のことが気になり始める。また、隣人のサイモン(グレッグ・キニア)の犬を預かることになり、彼は次第に変わっていく。
監督ジェームス・L・ブルックス(『愛と追憶の日々』)
−◇−◇−◇−
久々に毒気の抜かれたハリウッドの古典的恋愛映画を見たので、どう反応していいか正直言って戸惑った(笑)悪い映画ではない。いい意味でも悪い意味でも非常に安全パイな映画だと思う。

ただし難しいのは、結末の決まったストーリーを観客はどう楽しむか?どれくらい楽しめるか?なのだな。私は登場人物のキャラクターで楽しませて貰いました。まずはニコルソン。毒気のない映画の中での唯一の毒(笑)その顔が毒(おぃ)平気で人が傷つくこと言うし嫌なオヤジなんだけど、犬と仲良くなったり、寂しくてピアノ弾きながら涙ぐむところは可愛い。ハントはシングルマザーで息子をすごく大事に思っているんだけど、恋人同士を見て嫉妬しちゃうと泣いたり、ニコルソンに食って掛かるところがチャーミング。ゲイの画家のキニアもあからさまなゲイじゃなくて繊細なところがいい(どうでもいいけど彼の青い瞳はすごく綺麗だね。顔そのものは好みでないが)

で、1番は犬なんだ〜!アカデミー賞を犬にあげてもいいんだったら間違いなく彼(彼女?)にあげたい!!表情も動きも訓練されたものじゃなくて、自然で自分の行動っていう感じ。驚いた。メルビンはアスファルトの繋ぎ目やひび割れたところを踏むのが嫌いで避けて歩くのだが、犬も一緒になって避ける。それが可愛い〜!犬が出てくるとそっちばかり注目してしまった。
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ドーベルマン('97フランス)-Apr 12.1998
[STORY]
生まれた時に357マグナム銃を贈られた通称ドーベルマンことヤン(ヴァンサン・カッセル)と聾唖の恋人ナット(モニカ・ベルッチ)彼らと強盗仲間は巧妙に罠を仕掛け、パリ市警を手玉に取って3つもの銀行を襲撃する。慌てる市警の中で1人、狂暴な警視クリスチーニ(チェッキー・カリョ)だけがヤンたちの尻尾を掴んでいた。
監督ヤン・クーネン(長編デビュー作)
−◇−◇−◇−
昨年の東京ファンタのクロージング作品で、その時に見たかったのだが23時から上映だったので諦めていた。そして公開がどんどん延びて4月、やっと見ることができた。すごく楽しみにしていた映画だ。絶対面白いと思っていた。だけどその期待は見事に裏切られた(苦笑)

物足りない!例えばディスコでの銃撃戦。『フェイス/オフ』は得意のスローで派手かつ優雅ともいえる動きで素晴らしいシーンだったが、こちらは単にたくさん撃ってるだけ。人の動きもよく分からないし、見ていてちっともハラハラしない。うるさいだけ。

ヤンなど登場人物のキャラクターもいまいちだ。ナット役のベルッチはがんばってたけど、主人公であるべきヤンが大人しすぎて印象が薄い。ストーリー展開も目先のスタイリッシュさCGやらにこだわりすぎてトータルで見るとメリハリがない。どうでもいいシーンが長く感じられた。脚本は原作者自身が書いているというから、下手な脚色はしていないだろうが。そうなると監督の裁量不足か。まだ若いしデビュー作ということで、これからの作品に期待しとこう。

どうでもいいけど、クリスチーニ役のカリョが夏八木勲に見えて仕方なかった(笑)そういえばサングラスをかけたヤンはアクの強い小沢仁志に似てるか。顔のデカさと髪型は永澤俊矢だけど。と見てる途中ですでに飽きてしまってたので、そんなことを考えては一人面白がっていた。
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オスカー・ワイルド('97イギリス)-Apr 11.1998
[STORY]
19世紀のロンドン。劇作家のオスカー・ワイルド(スティーブン・フライ)は妻子がいたが、ある時男色に目覚める。そして美青年ボジー(ジュード・ロウ)と出会い、激しい恋に落ちる。しかしボジーの父から猥褻罪で告訴されてしまった。
監督ブライアン・ギルバート(『愛しすぎて/詩人の妻』)
−◇−◇−◇−
オスカー役のフライがオバチャンに見えて仕方なかった。力士でもよくいるでしょ。オバチャン顔の人。頬や顎のたるみ加減とか唇とか(変な喩えですまん)髪の毛を真ん中から分けて伸ばし耳を隠しているせいだろうが(髪を短くした顔はオッサンだったから)だからいろんな男性との絡みを見ていても、いまいち官能的でない。中年のオバチャンが若い男に入れ上げているような感じなのだ。

まぁ顔のことは置いとくとして、肝心のオスカーとボジーとの関係によって、オスカーと妻、劇作家としての地位など、もっとドロドロしたり激しい感情のぶつかり合いがあるかと思えばそれが実にあっさりしている。また、オスカーがボジーの若さゆえの傲慢さや美しさに惹かれるのは分かるけれど、ボジーが才能があるとはいえ何故オバチャン顔のオスカーを愛するのか?(←顔は置いとけっての(笑))それがあまり見えてこなかった。自分の父が嫌でオスカーにある種の父性を求めているんだろうなぁとは思ったが、だったらもうちょっとそこを出して欲しい。そして2人の喧嘩も単なる痴話喧嘩ですぐ仲直り。監獄生活や出獄後の苛酷であろう人生も語られない。これなら『太陽と月に背いて』の方が断然面白いよ。でも、ボジー役のロウはステキ。
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四月物語('98日本)-Mar 20.1998オススメ★
[STORY]
東京の大学に通うため北海道から上京し一人暮らしをはじめた卯月(松たか子)おせっかいな引越し屋、とっつきにくい隣人、不思議な友達・・・そして彼女がなぜ東京の大学を選んだ理由が明らかになる。
監督&脚本・岩井俊二(『スワロウテイル』)
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私は『PICNIC』や『スワロウテイル』の岩井さんより『打ち上げ花火…』や『Love Letter』の岩井さんの方が好きだ。そして『四月物語』は後者である。浴衣の奥菜恵、雪の中の中山美穂と酒井美紀、そしてこの映画は桜の下の松たか子。四季の中で、同性の私から見ても「ああ、綺麗だなぁ可愛いなぁ」と思う仕種や表情をヒロインがしてくれる。そしてどこを切り取っても絵になるシーンがいっぱい。大作やらアクションやらサイコやら苦悩やらもいいけど、たまにはホッとさせられる、幸せばかりが詰まった映画もいいものだ。決して派手じゃないこまごましたエピソードに直面する松たか子が実に初々しい。気の強い役ばっかりでちょっと生意気そうな印象ばかりあったけれど、この役では私の中で好感度アップ。

しかし冒頭のシーンにはびっくりさせられた。そういうのアリですか(笑)
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PERFECT BLUE('97日本)-Mar 20.1998
[STORY]
3人グループアイドルから女優に転身した未麻(声・岩男潤子)だったが、女優になって本当に良かったのか悩んでいた。そんな時、彼女が出演しているドラマの脚本家や彼女の写真を撮ったカメラマンが次々と殺されていった。
監督・今敏(初監督『MEMORIES』で脚本担当)
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サイコ・サスペンスが好きなのでアニメでも見た(アニメもマンガも普段あまり見ないんだけど)そうか、アニメだからこういうこともできるんだなぁと感心。未麻を狙うのは誰か?はたまた彼女自身の妄想なのか?夢か現実かドラマか、どんどん分からなくなっていくさまがすごくいい。実写だとこういうのやってもよっぽど上手にやらない限り面白くならないもんね。欲を言えば、もうすこし怪しい人物を増やして欲しかったかなぁ。フーダニットが目的ではないにしても、怪しい人物が多い方が恐怖も深まるのでは。まぁアニメだからか恐怖もさほど感じないし、ましてや主人公に感情移入することもなかったけど。
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