Movie Review 1998
◇Movie Index

HANA-BI('97日本)-Feb 25.1998
[STORY]
刑事の西(ビートたけし)は突然こどもに死なれ、妻(岸本加代子)は不治の病に冒されていた。また同僚が殺人犯に撃たれ、部下は身代わりとなって死んだ。西は妻のため、同僚のため、部下のため、ヤクザから金を借りることになる。
監督&脚本・北野武(『ソナチネ』)
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北野映画は実は1本しか見たことがない。確か『3-4X10月』だったかな。イラつくほどの「間」と何が言いたいのか分からないストーリー展開、そして私の大嫌いなヤクザがいっぱい出てきてとても不快だった。それ以来、北野映画を敬遠していた。今回この映画を見て、あんなにイヤだった「間」がとても自然でムダがなく、不快にもならず驚いた。ずいぶん洗練されたんだなぁ。暴行や銃撃のシーンの無音もいいし、西夫妻の目の会話は良かった。また、たけし本人が描いた絵が何枚も出てくるのだが、画集があったら欲しいくらいだ。ただワタシ的にはあまり心に響いてこなかった。『HANA-BI』というタイトルに込められた思いとか、伝えたいことは分かるけど。

ラストの2言にはジーンとする、と各メディアで語られているようだが、その台詞の言い方がいまいちでガッカリ。それなら最後まで無言でも良かった。そしてやっぱりヤクザは嫌い。マフィアやサイコは許せても(笑)ヤクザやチンピラだけはどうしても許せない(どうしてかな)でも今後の北野映画も見たいと思っただけでも私にとってはすごいことかも。
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グッド・ウィル・ハンティング〜旅立ち('97アメリカ)-Feb 24.1998
[STORY]
マサチューセッツ工科大学のランボー教授が学生達に出した難問を、大学の清掃員ウィル(マット・デイモン)が解いた。しかし彼は孤独で愛を知らず現在暴行事件で裁判中だった。彼の才能を生かしたいランボーはセラピストのショーン(ロビン・ウィリアムズ)のもとへ通わせる。
監督ガス・ヴァン・サント(『誘う女』)脚本ベン・アフレック(ウィルの友人役で出演)とマット・デイモン。
−◇−◇−◇−
ウィルとショーンの台詞の1つ1つに説得力があって、納得したり共感したり、こんなに訓えられるお話って最近の映画にはないと思った。ただしストーリーのあいだあいだにに後からグッとくる台詞を押し込んだという雰囲気も感じ取れたが。エンディングが70年代の甘酸っぱい青春映画みたいだと思えたのは曲だけのせいじゃないハズ。若いねぇ。

ウィル役デイモンは自分が書いた脚本(ハーバード大時代にだってさ)だけあってまさにハマり役。ディカプリオが演じてもいいような役だが上手すぎちゃって、もっとクサい映画になっただろう。彼だと暗さの中にも爽やかな初々しさがある。『戦火の勇気』で初めてデイモンを見た時、顔をくしゃくしゃにして泣く姿がお猿さんみたい、くらいにしか思ってなかったが、あの頃よりガタイも顔もふっくらした立派な兄ちゃんになってて驚いた(ただしあの時は役に合わせてダイエットしたらしい)

ウィリアムズは、いつもよりも押さえ気味の演技はいいが『レナードの朝』とさほど変わりがない。それよりランボー教授役のステラン・スカルスゲールドの方が良かった(『奇跡の海』の不随の夫)ウィルの天才的な頭脳を生かしたいと思う反面、嫉妬もしている。そのあたりがよく出ていた。教授の助手もいい味出してたし(笑)

気に入らないのがウィルが恋するハーバード学生役のミニー・ドライバー。確かに知的で演技も上手いけど美人じゃないし笑い声に渡辺えり子入ってます(それは関係ないが)魅力的に見えなくて残念。
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スポーン('97アメリカ)-Feb 21.1998
[STORY]
CIA工作員のアル(マイケル・J・ホワイト)は上司のウィン(マーチン・シーン)の罠に嵌まり死んでしまう。愛する人との再会を願ったアルは悪魔と契約して地獄の使者スポーンとして復活し、ウィンへの復讐を誓う。
監督マーク・デッペ(『アビス』などで視覚効果を担当。初監督作)原作&総指揮トッド・マクファーレン
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とにかくオープニングタイトルデザインが大好きなカイル・クーパーなのでそこを目を皿のようにして凝視する。アイデア的には普通だと思うんだけど、映画自体ともマッチしていてやっぱり好き。カイル・クーパーオープニングコレクションとかっていうDVDが出たら絶対買うだろな。今回はエンディングも手がけていたのでさらに嬉しかった。

本編はお正月にやってたアニメより分かりやすいし(だけどアルが自分の墓を掘り起こして嘆くシーンはアニメの方が良い)スポーンになる前の素顔のアル役のホワイトをもっと見ていたかった感じ。目つきがいい。CGでは生き物のような炎やスポーンのマントも素敵。ただあとはちょっと、ね。CG部分といわゆるぬいぐるみなところの落差が激しすぎて気になったし、炎のトンネルに落ちて魔界が出てくるんだけど、これが私の嫌いなTVゲームのポリゴン画像みたいで嫌だった。魔界で1番偉い(?)マレボルギアっていう怪物がゲームのボスキャラみたいで笑えたし、スポーンの仲間がアリンコみたいにわしゃわしゃ出てくるのがモロ合成。結局その1番偉いのを倒さないっていうところも続編作る準備OKです!とお約束だがそれだけに盛り上がりに欠けた。なんじゃそりゃっ!って感じ。

だけど最初から最後まで俳優というよりぬいぐるみ師だったクラウン役のジョン・レグイザモに脱帽ですわ。よくこの役オッケイしたよな〜と思ったけど、彼の場合、ある時は『スーパーマリオ』のルイジだし、またある時は『3人のエンジェル』のドラッグクィーンだったりするからね(笑)
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ジャンク・メール('96ノルウェー)-Feb 21.1998
[STORY]
郵便配達人ロイ(ロバート・シャーシュタ)はふとしたことからリーナという女性の部屋の鍵を手に入れ、彼女の部屋に侵入する。彼女のことが気になって仕方なくて調べるうちに、彼女が何かの犯罪に関わっているらしいことが分かるが・・・。
監督&脚本ポール・シュレットアウネ(デビュー作)
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ロイって男は、チビで冴えなくてやる気なくて、配達する郵便を捨てたり空けて読んじゃうようなどうしょもない奴だ。おまけに女性の部屋に勝手に入って戸棚だの服だの勝手に調べて、彼女の食べ残しを食べちゃうような、ストーカーまがい(ていうかそのもの)のアブナイ男だ。最初はもう出てくるだけでイヤな感じ。そんな奴が彼女に恋をして助けようと奔走したりする姿を見ていると、いつのまにか憎めなくなってしまうのだ。彼女自身、奴がそんな男だと知ると怒り心頭!そりゃそうだろ。だけど彼女が怒って歩き出すと彼はその後を黙ってついていくのだ。そして

リーナ「どうしてついてくるの?」
ロイ 「さあ」
リーナ「ずっとついてくるの?」
ロイ 「ああ」
(このやりとり、私すごく好きになってしまったので転用してしまいました)

そう言われてリーナは彼を許してしまう。まるで道端に捨てられ汚れたた小さな雑種犬を見て、つい拾ってしまうのと同じ心境かもしれない。クライマックスに拍子抜けしたけどまずまず。ロイを好きになれるかなれないかで、この映画が好きか嫌いか決まると思う。
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トゥー・デイズ('96アメリカ)-Feb 21.1998
[STORY]
LA。殺し屋リー(ジェームズ・スペイダー)は相棒ダズモ(ダニー・アイエロ)とともにオリンピック選手の夫を殺した。そして口封じにリーはダズモを殺そうとするが間一髪でダズモは逃げ出し、ある富豪の家に侵入する。そこには肝臓結石の主人と秘書がいて・・・。
監督&脚本ジョン・ハーツフェルド(これがデビュー作)
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豪華キャストでそれぞれの生活や行動を2日間に渡って描いていく。『ショート・カッツ』みたいだけれど、一見なんの関係もないだろう人と人とが2日間という短時間に関わりを持っていくところはこちらの方が面白い(『ショートカッツ』なんて3時間も見せられてあれだもんなぁ)途中、女同士の殴り合いの喧嘩は男同士の喧嘩より凄まじいものがあった(私も1度でいいからグーで人を殴ってみたいな。いや、パーでもないけど)ただ、これだけ出てるんだからもっと最後は一同に会してドタバタしても良かったように思う。サスペンスじゃなくてかなりコメディ入ってるんだし。内容的にもそれほどひねりは利いていない。個人的にはダズモと富豪の秘書のやりとりが良かったな。そして笑ったのは「目指せ!NAGANO!」だ(笑)
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