■ なぜ、債権を放棄するのか?
債権者が債務者に対して債務を免除する意思表示をしたときは、その債権は消滅します。
債権を放棄するなんてもったいないと思うかもしれませんが、例えば、取引先や子会社の財務内容を改善し倒産を防止する目的で債権を放棄したり、
回収できない不良債権を持っていても税金までかかってしまう(資産として計上され、課税の対象となる)ので、税務上の対策(貸倒処理、損金参入)として債権を放棄する場合というのがあるのです。
【参考】 民法上の法律用語は「免除」ですが、一般的には「債権放棄」と呼ばれています。
■ 債権放棄 (債務免除) の通知とは
債権放棄(債務免除)は、債権者の一方的な意思表示で効力を生じ、債務者の承諾は必要ありません。
その意思表示は口頭でも普通の手紙でも良いのですが、税務申告上の証拠として残すためには(税務署に損金処理を否認されないためには)必ず内容証明郵便にすべきなのです。
法人税基本通達においても債務免除(債権放棄)は書面によることを要求しています。
法人の有する金銭債権について、「債務者の債務超過の状態が相当期間継続し、その金銭債権の弁済を受けることができないと認められる場合において、
その債務者に対し書面により明らかにされた債務免除額」は、その明らかにされた日の属する事業年度において貸倒れとして損金の額に算入する。
(法人税基本通達9-6-1(4)) |
なお、「書面」に関する国税庁の見解は次の通りです。
債務者に対する債務免除の事実は書面により明らかにされていれば足ります。この場合、必ずしも公正証書等の公証力のある書面によることを要しませんが、
書面の交付の事実を明らかにするためには、債務者から受領書を受け取るか、内容証明郵便等により交付することが望ましいと考えられます。
(国税庁のホームページより引用) |
ところで、金銭債権の弁済を受けることができる(債権回収が可能)にもかかわらず債務免除を行い、債務者に対して実質的な利益供与を図ったと認められるような場合には、寄付金の扱いとなり、その免除額は税務上貸倒損失には当たらないことになります。
債権放棄が損金として認められるか否か、そもそも債権放棄が必要なのか否かは、税務署・会計士・税理士に相談することをお勧めします。
【参考】 免除を受けた債務者は、利益(債務免除益)を得ることになるので課税の対象となります。 |