Movie Review 2005
◇Movie Index

ジョージ・マイケル〜素顔の告白〜('04イギリス)-Dec 23.2005
[EXPLANATION]
1982年にデビューし「ラスト・クリスマス」などのヒット曲を世に送り出したワム!解散後、ソロデビューしたジョージ・マイケルはアルバムが大ヒットし、彼の人気は頂点に達する。しかし私生活では母を亡くし、恋人をエイズで亡くし、所属レコード会社とは訴訟問題になり、さらにロスの公衆トイレでわいせつ行為で逮捕されてしまう。
監督サザン・モリス(TVシリーズの監督など)
−◇−◇−◇−
ファンではないんだけど、中学生の時に初めて「ラスト・クリスマス」を聞いて、世の中にこんな綺麗な声の人がいるんだーとウットリしつつリピートしまくった覚えがある。次に注目したのはやっぱりトイレ事件(笑)悪いけど何てマヌケなんだろうって思った。本作はその事件のことを本人が語っているというし、ヒット曲のPVもたくさん見られるということで見てみた。

アンドリュー老けっぷりにビックリし(ジョージと同い年なのに並ぶと20歳くらい違うように見える)昔のビデオクリップのホットパンツ姿で腰を振るところを見て「この時はゲイだと意識してたんだろーか」とつい考えてしまったり、でもやっぱりイイ声してるなぁとしみじみしながら前半を鑑賞。

そして大スターになりながら、影ではいろいろあったのね。その時のことを冷静に振り返って話しているのが凄いなと思った。カメラが回っているから誤魔化さずに話そうという気になったのかもしれない。何より知りたかったトイレ事件については、本人は警察がいると分かっていながら止めることはできなかったと話している。行為そのものは肯定できないけど、分かっててもついやってしまうという気持ちは理解できた。もう少し詳しく逮捕された時のことを知りたかったけど、それじゃマスコミの好奇な視点と変わらないか(苦笑)

現在の彼はカミングアウトして、パートナーのケニー・ゴスとの結婚も決めた。安定した状況にあるからこの映画で語る気になったんだろうな。続編を作るとしたら82歳になったらだそう(笑)その頃にはまた色々語ることがたくさんありそうな人ではある(笑)
それにしてもボーイ・ジョージは・・・あれは・・・いいのか・・・?
home

* * * * * * * * * * * * * * * * * * * * * * * * * * * * * * * * * * * * * * * * * * * * * * * * * * * * * * * *

秘密のかけら('05カナダ=イギリス=アメリカ)-Dec 23.2005
[STORY]
1972年ロサンゼルス。ジャーナリストのカレン(アリソン・ローマン)は1950年代に一世を風靡したラニー・モリス(ケヴィン・ベーコン)とヴィンス・コリンズ(コリン・ファース)のコンビについて調べていた。15年前、コンビが宿泊するホテルのバスルームで女性の変死体が発見された。女性と2人は関わりがあるようだったがその真相は闇に葬られ、やがてコンビも解消。カレンはその真相に迫ろうと2人に接触するが・・・。
監督&脚本アトム・エゴヤン(『スウィート・ヒアアフター』
−◇−◇−◇−
2005年の第58回カンヌ国際映画祭コンペティション部門出品作品。原作はルパート・ホルムズの『Where the Truth Lies』(映画の 原題もこれ)

ちゃんとサスペンスミステリ映画になっていてストーリーは面白かったし、ラニーとヴィンスのコンビはまるで実在していたかのようなキャラクターでリアルだった。それに比べてカレンや殺されたモーリーンなど、女性のキャラクターはいまいち。カレンなんて(ここからネタバレ)バレるだろうに、ラニーに嘘の名前を言うは彼と寝てしまうは、何とも浅はかな女(ここまで)だし、モーリーンも(ここからネタバレ)真面目と見せかけていきなり金を要求する豪胆な女(ここまで)だった。それは原作の通りなんだろうけど原作はたぶん彼女たちの心情をきちんと描写していただろう。映画でも彼女たちがどうしてそうしたのかは観客にもう少し伝えておくべきだと思った。

それと事件があった1957年当時と1972年現在の出来事が交錯し、事件のあった日については特に出来事が前後するので最初分かりにくくて、うまく映画の中に入っていけなかった。そうする意図は後で分かるんだけど。そして中盤になるとこの演出が勿体つけすぎと感じるようになってくる。途中で(ここからネタバレ)チャリティ番組に出てきた少女がカレンだった(ここまで)ということに気付いたりするし、そこまで引っ張らなくても・・・と今度はイライラ。この見せ方が自分には合わなかった。

ラニーとヴィンスについては上に書いた通り、2人のショーでの息の合ったやりとりはアメリカ人らしさとイギリス人らしさがうまく会話に出てて面白かった。原作ではどっちもアメリカ人という設定で映画化にあたって片方をイギリス人に変えたというのを後から知って驚いたんだけど、ということはショーでのやりとりはオリジナルだったりするのかな。ベーコンとファースに本当にコンビを組んでやってほしいぞ(笑)特にヴィンスを演じたファースが良かったなぁ。彼を見た時からもうすぐに(ここからネタバレ)ヴィンスはゲイでラニーを愛してることから事件が起きた(ここまで)とピンときたのね。実際は(ここからネタバレ)彼はバイセクシャルで事件が起きた理由も(ここまで)ちょっと違ったんだけど、ちゃんと薄々気付くような雰囲気をちゃんと出してたわけだ。実はファースの演技って今まであまり好きではなかったんだけど、この役は今まで見たこともない役でとても良かった。
home

* * * * * * * * * * * * * * * * * * * * * * * * * * * * * * * * * * * * * * * * * * * * * * * * * * * * * * * *

キング・コング('05アメリカ)-Dec 20.2005
[STORY]
1933年ニューヨーク。大恐慌で失業者が多く、女優のアン・ダロウ(ナオミ・ワッツ)も芝居小屋が閉鎖になり困っていた。そんな時、女優を探していた映画監督のカール・デナム(ジャック・ブラック)と出会い、映画撮影に参加することになる。ロケをするために乗り込んだ船には脚本家のジャック・ドリスコル(エイドリアン・ブロディ)も乗っており、アンとジャックは惹かれ合う。
船は幻の島と言われる“スカル・アイランド”にたどり着き撮影を始めるが、原住民たちにアンが捕らえられてしまう。
監督&脚本ピーター・ジャクソン(『ロード・オブ・ザ・リング/王の帰還』
−◇−◇−◇−
1933年にオリジナル版、1976年にリメイク版が公開され、本作は2度目のリメイク。実はオリジナル版も1度目のリメイク版もきちんと見たことがなくて本作が初めてのキング・コング鑑賞でした。
上映時間が長い、製作費がめちゃくちゃ高い、コングを演じたのがアンディ・サーキス、という情報と予告映像くらいしか仕入れずに見てみたんだけど、驚くことばっかりだった。

【その1】コングが男前だった
女性から見て理想の男性そのものですよ。最初はただ恐い獣としてしか見れなかったけど、いつのまにか男性として見ていた。恐竜との戦いっぷり(アンを片時も手放さずに恐竜3頭と死闘)と、彼女を肩に乗せて歩くところで惚れました。コングの表情がちょっと人間に近すぎるかなーって思うところもあったけど、ゴリラとは違う人間に近い知性を持ってるせいかもしれないと思うようになってくる。表情や行動が変化していく描写が自然で上手く、説得力があった。
ちなみにコングの次に男前なのはトーマス・クレッチマン演じるイングルホーン船長。絶体絶命のピンチに助けに来てくれるところがコングと似ている。だけど『戦場のピアニスト』のドイツ人将校と同じ人とは気付かなかった。ブロディとは2度目の共演なのよね。

【その2】こんなに泣かされると思わなかった
上に書いたように男前なコングとアンとの、愛とまではいかないけど心が通じていくところでボロボロ。でもアンはジャックという恋人もいるわけで・・・ちょうど『オペラ座の怪人』の3人の関係に似たところがあると思った。あの映画にハマった人はこの映画にもハマるんじゃないだろうか。

【その3】虫が出てくるとは思わなかった
予告じゃコングと恐竜しか出てこなかったのに、本編には気持ちの悪い虫がうじゃうじゃ。詐欺で訴えたいくらい(泣)しかもこんな目に遭うんだったら恐竜に踏み潰されて死んだほうがまし!と思うほど発狂するような攻め方をしてくる。特にアンに絡みついた虫はCGと分かっていてもまともに見ることができなかった。すげーよWETA。虫のシーンさえなければもう一度見てもいいと思う映画だけど、どーしてもダメ。DVDで虫のところだけ抜いて見るしかなさそうだ。

しかしPJは相変わらずサービス精神たっぷり、キング・コングに対する愛情たっぷりなんだけど、サービス過多なところとそうじゃないところの差が今回は大きくて目立っていた。つまり3時間以上も時間を費やすならコングの描写をもっと増やして恐竜のシーンや虫のシーンをもう少し減らすとか(←それは個人的希望だろ)ジミー(ジェイミー・ベル)をクローズアップする必要性も感じなかった。だってニューヨークに戻ってからは全然出てこないもん。それならアンとジャックの恋をもっと見たかったぞ。だって彼があそこまで必死にアンを助けようとするのか疑問だったもの。それまでにたくさん人が死んでるし。ま、彼の趣味を優先した結果なんだろうなぁ。今まではそれで良かったんだけど、今後は大きな作品を撮るならば、もう少しバランスを取ってほしいと思う。小さな作品ならはっちゃけて良し(笑)
home