Movie Review 2001
◇Movie Index

ミリオンダラー・ホテル('00ドイツ=アメリカ)-May 5.2001
[STORY]
ロスのダウンタウンにあるミリオンダラー・ホテル。ここには風変わりな人々が暮らしていた。ある時、ホテルの宿泊客で大金持ちの御曹司だったイジーがホテルの屋上から飛び降りた。彼の父親は誰かに殺されたと思い込み、FBIに捜査を依頼。捜査官のスキナー(メル・ギブソン)は、イジーの親友だったというトムトム(ジェレミー・デイヴィス)に目をつける。一方トムトムは事件からエロイーズ(ミラ・ジョヴォヴィッチ)を守ろうと必死だった。
監督ヴィム・ヴェンダース(『ブエナ・ビスタ・ソシアル・クラブ』
−◇−◇−◇−
原案はU2のボノ。主題歌や挿入歌ももちろん、製作にも関わっている。あと映画の中にもちょこっと出ている。

ということで音楽はいいねえ。映像にすごく合っててプロモみた〜い――ってヴェンダースに向かって何てこと!と思うかもしれませんが、いいなーと思えるシーンは最初と最後の走るところくらいだったな。話自体もあまり好きじゃなかったです。こういう人が出てくる映画ってハマれる時はハマれるんだけど、一回引いてしまうととことん傍観者になっちゃうんだなぁ。あとはもういいから終わって欲しいって願うだけ。特にこの作品では“こころのきれいな人”を描いているようなんだけど、こういう人イコールこころがきれいっていうのもちょっとね(実は違うかもしれないけど、私にはそういう風に見えたんで)いかにも健常な人が考えそうな理想みたいで、かえって嫌な気分になった。

でも一番ダメだったのは主役のジェレミー・デイヴィスなのだった。・・・告白しますと、私の大の苦手な日本の某俳優とカブッて見えて(ヤツも前にこの手の役をやったな、そういえば)とても辛かったんです。顔をくしゃっとさせるところとか、悲しそうな顔してるところとか、なんか全においてヤツの顔が浮かぶんですわ。それとジュリアン・サンズが肥えてて泣けました。髪の毛もさらに(以下略)
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トラフィック('00アメリカ)-May 2.2001オススメ★
[STORY]
メキシコ・警官のハビエール(ベニチオ・デル・トロ)は多数の麻薬を押収するが、この事件をきっかけに巨大な麻薬組織の抗争に巻き込まれていく。アメリカ・オハイオ州最高判事のウェークフィールド(マイケル・ダグラス)は、麻薬取締連邦最高責任者に任命されるが、娘のキャロラインが麻薬に溺れていることを知る。同じくアメリカ・サンディエゴの麻薬王カルロスが逮捕された。困った妻ヘレーナ(キャサリン・ゼタ・ジョーンズ)は夫の仕事に手を染めていく。
監督スティーブン・ソダーバーグ(『イギリスから来た男』
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3つの話が同時進行するスタイル。一見、何の関係もない話に思えるが、麻薬組織を壊滅させようと奮闘する者、一方で麻薬に溺れていく者、そして麻薬を売買する者たちを描いている。ハビエール、ウェークフィールド、ヘレーナの3人も直接会話をすることはないが、どこかですれ違っていたり同じテーブルについていたりする。また、観客が混乱しないための親切心なのか(笑)メキシコのシーンでは黄色がかった映像、ウェークフィールドが登場するシーンは青みがかっている。そしてヘレーナのシーンは普通なのかな?黄色や青を見たあとでヘレーナのシーンが出るとやけに鮮やかに見えるんだけど。カメラの動き1つにとっても、それぞれの置かれている立場や気持ちが的確に描写されている。

見ながらずっと頭の中を渦巻いていたのは、一体どうすれば麻薬がなくなるんだろう?ってこと。だって動かしているのは人でしょう?その中心にいるのは一体誰?そいつらを捕まえればなくなるんじゃないの?って、まるで子供みたいにね。麻薬を作る者が悪いのか、売る者が悪いのか、欲しがる者が悪いのか。麻薬を巡る闇が大きすぎて、また実体が見えなさ過ぎて、そんな中で奔走するハビエールやウェークフィールドを見ていると、自分まで闇の中でもがいてるような気分にさせられる。結局、解決らしい解決はないのだけれど、得体の知れない闇がどれだけ大きなものなのか、それを嫌というほど見せつけてくれた。

かなりリアル(に見える、と書いておく。だって実情は知る由もないんで)だが、気になったことが2つ。ヘレーナには警察のマークがついてるはずなのに、平気でメキシコまで車を飛ばして取引するシーンはちょっとおかしいんじゃないかな、と。あと、私がヒネてるのかな・・・ウェークフィールドのパートのラストは素直に喜べなかった。ここらあたりで光の部分も見せておかなきゃと思ったのかもしれないけど、今まで散々焦燥感が募るシーンばかり見せられたので、なんか違和感っつーか、やけに光が眩しく感じたみたい。
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セシル・B ザ・シネマ・ウォーズ('00アメリカ=フランス)-May 2.2001
[STORY]
監督のセシル・B・ディメンテッド(スティーヴン・ドーフ)率いる映画製作集団「スプロケットホールズ」が、ハリウッド女優ハニー・ホィットロック(メラニー・グリフィス)を誘拐した。彼らはハニーを主人公としたハリウッド映画撲滅がテーマの映画を撮ろうというのだ。最初は抵抗していたハニーだったが、次第に役にのめり込みはじめる。
監督&脚本ジョン・ウォーターズ(『I love ペッカー』
−◇−◇−◇−
ハリウッドのシステムにどっぷり漬かった高飛車女優が、アンチハリウッドの「スプロケットホールズ」の映画で演じていくうちに、彼女自身も感化されていくというストーリー。その合間で『パッチ・アダムス』のようなお涙頂戴ファミリー向け映画をバカにしたり、ヒットすれば安易に続編を作る体質を強烈に批判している。ここらへんはうまい具合に笑いに転じさせていて、いたずらっぽくみえて面白い。特に『フォレスト・ガンプ』の続編撮影シーンは笑える。でも後半はちょっと行き過ぎだったんじゃないかな。過激になりすぎて笑えなかったし、ちょっとついていけなかった。

キャラクターはみな個性的で、主要メンバーだけで12人もいるのにすごく覚えやすかった。だけど、だんだん彼らのキャラに感情移入していけてた途中で、上に書いた通り過激になって××していく様子を見るのはちょっと辛かった。彼らに才能があるんだかないんだか分からないけど、熱意だけは人一倍大きかったわけだから。あ、でも過激過激と書いてきたけれど、今までの彼の作品からしたら、まだまだこれでもお行儀の良い作品だろう。『I love ペッカー』がワタシ的に可愛らしくて好きな作品だっただけに、少し真面目に考えすぎたな。全部ひっくるめてハリウッドにケンカ売ってるわけだな。

しかし、彼らのように偏りすぎた考えと過激な行動ばかりしていたら、生涯で1作品しか作れないではないか。大好きな映画をいつまでも撮り続けたいと思ったら、ある程度の妥協も必要だよ――という意味も揶揄されているのかな、と解釈しているんだけど、どうでしょう?
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アタック・ザ・ガス・ステーション('99韓国)-May 1.2001
[STORY]
ノーマーク(イ・ソンジェ)、タンタラ、ムデポ、ペイントの4人は、暇に任せてガソリンスタンドを襲撃し現金を強奪する。同じ日の夜、4人は再び同じガソリンスタンドを襲撃するが、現金が見つからず社長とバイトらを監禁する。そこに何も知らない客がやってきて・・・。
監督キム・サンジン(『極道修行 決着』)
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実は始まって30分も経たないうちに飽きてしまった作品である。舞台になるのは一軒のガソリンスタンドだけだし(外と事務所内と一応あるけど)テンポはあまり良くないし、展開も読めてしまったし、キャラクターの誰1人として好きになれなかったからだ。特に主役のイ・ソンジェは『美術館の隣の動物園』の時もあんまり好感持ってなかったんだけど、本作で改めてやっぱこの人ダメだ、と思った。なんか目つきが苦手。そんなわけであとの1時間半近くを流して見た次第。どんなにつまらなくても途中で席って立てない性分なんだな。ちょっと苦痛でした。

そもそも4人組が一軒のスタンドに居直ってたのかが理解できない。金もないのになぜ?これがやむにやまない事情があるならまだしも、他に現金のありそうな店はたくさんあるのに、出て行かない理由が分からない。こっちもいい加減イライラしてたので、バッカじゃないの?こいつら。と憎々しく思ったのは言うまでもない(笑)まぁスタンド襲撃を思いついたのも何となくって感じなので、金がないので他に行ってくれと懇願する社長や従業員を困らせて楽しんでたと思うほかないのかな。それにしてもしつこかった。

それと笑いドコロについていけなかったのもある。ここはきっと笑うところなんだろうなーというのは分かるんだけど、いちいちサムくて戸惑った。韓国映画はけっこう見てきたけど、こういう映画は合わないらしい。物悲しくて生真面目さが伺えるような話が好きだな。

映画の中で頻繁に出てくる「ドタマを下げる」という行為は、韓国では一般に浸透してるものなのか?学校で習うとか。初めて見たけどビックリしたよ。実は私もやってみたんだけど、1秒ももたなかった。こんなことしたら首を痛めるし、間違いなくハゲる。イヤン(笑)
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アタック・ナンバーハーフ('00タイ)-Apr 14.2001
[STORY]
田舎町のバレーボールチームにオナベの監督がやってきた。選手たちは反発し、主力選手のほとんどが辞めてしまった。そして残ったレギュラー選手6人のうち5人がオカマだった。しかし彼ら(彼女ら)はどんどん勝ち進み、国体出場を果たすことになる。
監督&脚本ヨンユット・トンコントーン(初監督作)
−◇−◇−◇−
“タイといえばオカマちゃん”という図式は前からあった。有名なムエタイ選手もいるし、ショーパブには美人揃いだということもニュースなどを見て知っている。でもこの作品が実話を元に作られたと言われても俄かに信じがたい。でもエンドクレジットで実物さんたちのTV出演や試合のVTRが流されるので、これが本当だと分かる。まさに事実は小説より奇なり。そして事実を元に作られたのがこの映画。でも実物のほうがちょっとキツイ・・・顔とか(笑)でもスパイクの破壊力は映画の比じゃない。これなら国体優勝もするって。

映画のほうは非常に可愛らしい作り。試合も本物のような迫力はない。試合前に妙なダンスを踊ったり相手チームの男を誘惑したりする。化粧をしなければいつもの調子まで出ない。でもそんな笑いばかり取りに行ってるわけじゃない。オカマに対する偏見や差別とも戦い、オカマである故の悩みを克服し、自分と仲間を信じて勝負に挑んでいる。彼女たちに感情移入はできないけど、勝ったら自分までが幸せな気持ちになれそうで、一生懸命応援してしまう。

まぁでもはっきり言うと稚拙な作りの映画だ。ストーリー展開はスムーズじゃなく、引っかかってばかりで纏まりが悪い。技術的な面でも、シーンによっては妙に暗い時もあるし(試合中とか)私のような素人が見てもカメラアングルがヘンだし編集もヘタだと思う。でもクソ映画(←下品でごめん)とは思わないんだな。そういう諸々の“粗”も含めてやっぱり可愛いのだ。

オカマちゃんたちはすごい美人からそれなりな人までいて、このバリエーションだけでも楽しめる。特に三つ子ちゃんのリアクションはアニメキャラのようで面白い。でも個人的には水牛に似てるというノンちゃんが好きだ。なんか顔の濃さがイヤラシくて(演じているのはイタリア人とタイ人のハーフな方)とってもキモカワイイ。
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