Movie Review 2001
◇Movie Index

ブレアウィッチ2('00アメリカ)-Apr 12.2001
[STORY]
映画『ブレア・ウィッチ・プロジェクト』で有名になったメリーランド州バーキッツヴィル。ここに住むジェフ(ジェフ・ドノヴァン)は「ブレア・ウィッチ・ハント」なるブレアの森探索ツアーを企画し、応募してきた男女4人とともに森へ入る。しかし翌朝目覚めた彼らには真夜中の記憶がない。さらに撮影していたはずのビデオテープも紛失していた・・・!
監督&脚本ジョー・バーリンジャー(ドキュメンタリーを数多く撮っておりドラマは初)
−◇−◇−◇−
明らかに駄作と分かっていたのに、やはり見てしまった・・・(笑)
パート1の製作者がパート3を撮るらしいので、そうなるとやっぱりパート2を見ないと気持ち悪いかなって。でも見なくても大丈夫です!(おいおい)これはパート2と銘打っているが、続編というより番外編のようなもの。映画で一躍有名になってしまった森に、ネットで知り合った人々がオフ会をしに行くという、実際に誰かがやってそうな(笑)お話だ。しかし彼らはそこで恐ろしい体験をしてしまう。

森での記憶がないメンバーが、隠されていたビデオテープを発見し、それを見て徐々に真実を知るという展開。さらにブレアの森で起こった数々の事件(少女の溺死、ラスティン・パーの大量虐殺など)の被害者たちの亡霊まで現れる。これらの映像はたいしたことないんだが、音楽と効果音が大きくてビックリしどうしだった。こんなんで驚いたり怖がったりするなんてアホじゃん!って思いながらも身体は反応してしまうという(笑)我ながら情けない。しかし同時に怒りも湧く。こんな子供騙しの恐ろしさしか表現できないのか!と。
パート1は今思い出しても怖いんす。ラストが。あの何だかよく分からないけど怖い、分からないから怖いっていう。パート2は思い出してもぜんぜん怖くない。音楽とか効果音なんてすっかり忘れちゃったからね(笑)←少し負け惜しみ

アイデアはまぁ面白かった。でもそれがきちんと活かせてなかったと思う。どうせこういう風にするならもっと辻褄を合わせろと言いたい。役者の演技もいまいちで、映画というより海外ドラマを見てるみたいで損した気分だ。

レンタルビデオ店でフリーで貸し出ししていたラスティン・パー事件のビデオのほうがよっぽども面白かったな。ドキュメントっぽくて。さて『BW3』はいかに!
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ハンニバル('00アメリカ)-Apr 11.2001
[STORY]
逃亡し、イタリアに渡ったハンニバル・レクター(アンソニー・ホプキンス)だったが、刑事のパッツィに正体がバレてしまう。パッツィは、レクターの被害者で懸賞金を出している大富豪メイスン(ゲイリー・オールドマン)にこれを知らせた。メイスンはFBI捜査官クラリス・スターリング(ジュリアン・ムーア)を窮地に陥れてレクターをおびき出そうとする。
監督リドリー・スコット(『グラディエーター』)
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『羊たちの沈黙』を見た時は事前に原作を読まなかったので、よく判らない箇所が多く困った。なので今回は先に原作を読んで本編に備えた。元ネタがある場合の映画化の場合、自分が持っていた原作のイメージをどれくらい表現しきれてるんだろうか、そこが原作モノを評価する上で一番のポイントになる。登場人物、ストーリー展開、どちらも重要だ。自分が好きなキャラクターがイメージ通りでなければ見る気もしないし、大事なエピソードが削られていれば激怒する。小説と映画は別モノと割り切りたいが、なかなかそうはいかないんだよねぇ。それでもがんばって切り離すように努めた。
上下巻ある長い作品をほとんど無理なくあそこまで纏めたのにはポイント高いが、総合的にみると一長一短、いや一長二短くらいかなぁ。細かいことを言うつもりはないけど1つだけ挙げるとすれば、監督の趣味(笑)とはいえ、日本人&日本語がやたら出てくるのがウザかった。

次に比較してしまうのが映画の『羊たちの沈黙』だ。あれはサイコスリラーの傑作と言われているような作品だが『ハンニバル』はサイコスリラーではない(と私は思っている)主人公もクラリスではなくレクターである。だから続編と考えるな、比べるのは間違ってる、と言いきかせながら見た。これは自分的に成功。
フィレンツェの風景や音楽にのせてレクターが犯す殺人は芸術的でエレガントだ。生活を楽しみながらも隙を見せることはなく、時に大胆な行動を取り、時に愛情を見せる。“怪物”のいろんな顔を見ることができた。でもフィレンツェでのシーンが良かったので、アメリカでのシーンが平凡に見えてしまったのが残念だ。

ホプキンスは今更言うこともない。ムーアも思ったよりも違和感がなかった。ジョディ・フォスターの迫力ある眼力と緊張感あるセリフ回しは印象的だが、ムーアは年齢を重ね、FBIとしてのキャリアを積んだことで気持ちに余裕ができ、同時に色気まで身につけてたと思えばまぁいいかな、といいように解釈してみる。メイスンはもっと気持ち悪くても良かったのに。髪の毛の長さが足りない(笑)あと、どーでもいいけどレイ・リオッタが太ってたねえ。伊良部かトラボルタか、って思える時がしばしば(笑)

原作にはないオマケにはちょっとびっくりしたけど、ホプキンスが以前出演した某映画とは関係あるんだろうか?また締めが悪趣味すぎて無性に嬉しくなった自分はヤバイかな?
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花様年華('00香港)-Apr 7.2001
[STORY]
1962年、香港。新聞社に勤めるチャウ(トニー・レオン)夫妻と、秘書をしているチャン(マギー・チャン)夫妻が貸し部屋の隣同士となる。最初は挨拶を交わす程度だったが、チャウの妻とチャンの夫が不倫していることが分かり、チャウとチャンもまたお互いに惹かれるようになる。
監督&脚本ウォン・カーウァイ(『ブエノスアイレス』
−◇−◇−◇−
初っ端からこんなことを書くのは何ですが、私はカーウァイ作品で「大好き」と言えるようなもの1本もない。なんかいっつも見た後に「はぁ〜(またか)」と脱力させられるものばかりなのだ。なら何で見るの?というツッコミもあるでしょうが、どこかで「今度こそはいい作品かも」と思っているし「これがいいと思えない自分がいけないのか?」と自分の感性を信じていいのか不安になったりするからなのね。そして今回の作品を見てやっぱり合わないんだな、と思った。

派手で過剰なまでに動きまわるブレブレに酔いながらも『恋する惑星』や『天使の涙』には登場人物の気持ちまでも表現できていたように思う(悪く言えば映像で誤魔化しきれていた)でもこの作品に関しては、映像は綺麗だが綺麗なだけ。何より色っぽさが全く感じられない。マギー・チャンのチャイナ姿はとても美しいが(これだけは目の保養になるね)そこから匂い立つはずの色気は、すべてかき消されている。映像に赤を入れればいいってもんじゃない。見れば見るほどにストレスが溜まる映像ばかりだった。お互いの配偶者の顔を見せない演出はちょっと面白かったけど。

ストーリーもねぇ。プラトニックな愛がテーマなのは分かるしそういう話は好きだ。が、そこに切なさは皆無。結局、男のひとりよがりじゃん。愛といいながらも一方的すぎて、お互いが通じ合った瞬間が見えなかった。また、別れたあとに感傷に浸るあたりがナルシストっぽくて嫌気がさす。トニー・レオンが悪いわけじゃないが“トニーの役=カーウァイ自身”というのがダイレクトに伝わってきて余計に気が滅入った。

唯一の収穫(?)はチャウがのちに借りた部屋の番号が“2046”だったことかな(笑)それだけ。
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ドッグ・ショウ('00アメリカ)-Apr 7.2001
[STORY]
全米の愛犬家たちが自慢の犬を競う“メイフラワー・ドッグ・ショウ”が開催されることになった。参加するのはブラッド・ハウンドを飼っているハーラン(クリストファー・ゲスト)、ノーリッチ・テリアを飼うフレック夫妻、スタンダード・プードルで連覇を狙う富豪夫人のシェリー・アンとハンドラーのクリスティーなど、飼い主もまた個性派が揃っていた。
監督&脚本もクリストファー・ゲスト(?)
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監督自ら出演してるなんて知らなかったし、ハーラン役だと分かったのも見終わってからでした。出演者は皆どっかで見たことあるけどすごい有名な人ってわけじゃないので、インタビュー形式のドキュメンタリータッチなこの作品がよりリアルに見えてくる。

ドッグ・ショウというくらいだから、もちろん犬はいっぱい出てくるけど、いわゆる動物活躍映画ではない。犬は芸をするでもないし、CGで妙な表情をさせられるわけでもない。メインはむしろ犬を通して描かれる人間たちの滑稽な姿なのだ。クローズアップされるのは上のあらすじで書いた人々のほかに、シーズーを飼うゲイカップル、ワイマラナーを飼う神経質な夫婦が登場する。
カメラはアメリカ各地にいる彼らが1会場に集結するまでのエピソードから、大会の最中、そして大会終了から半年ぐらいまでを追いかけていて、大会の前後では彼らの生活までもが一転している。それほどドッグ・ショウというのは彼らの人生を左右するほどのものなのだ。

飼い主たちの親バカならぬ犬バカっぷりは見ていて本当に笑える(嘲笑に近い。ゴメンね)でも犬って憎まれ口を叩かないし、愛情を注げば注ぐほどにイイコになるから、人間の子供よりも溺愛してしまうのも分かるけどね。でもそれが本当に犬にとって幸せなのか?と疑問に思う時もあった。これは実際に飼ってる人じゃないと分からないものかな。それと、優勝した犬は一体どこが良かったのか?それが犬を飼ったことがない素人にも分かるような描写が欲しかった。「何でこの犬なの?」って終わってからもずっと気になっちゃった。
90分という短さもあってか、気軽に楽しく見られる作品だ。ただし感動したり心に残るような話ではないなぁ。
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パダヤッパ('99インド)-Mar 31.2001
[STORY]
信心深い使用人のバスンダラが蛇にミルクを与えていると、お嬢様のニーランバリがやってきて蛇を退治するよう使用人たちに命じる。バスンダラは止めようとするが聞き入れてもらえない。そこに現れたのはパダヤッパ(ラジニカーント)。使用人たちを叩きのめし、蛇を助けた彼は颯爽と去っていく。そんなパダヤッパにバスンダラもニーランバリも恋をするが・・・。
監督K.S.ラヴィクマール(『ムトゥ 踊るマハラジャ』
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『アルナーチャラム』に引き続きヒロインのバスンダラ役にサウンダリヤ。バスンダラの母親役には同じく『アルナーチャラム』で恐いおばあちゃんを演じたヴァディヴァッカラシ。そしておなじみ“ズラオ”ことセンディルもラジニの脇を固めている。しかーし、今回彼らは全然目立ってない。サウンダリヤだって、こんなに影の薄いヒロインんでいいのかっつぅくらい。ラジニとのダンスシーンも1曲だけだし。

今回の柱はなんといっても傲慢で執念深いお嬢様ニーランバリ――彼女しかいない。ナイスバディだけど眼光鋭くて見るからに怖い。ラジニに一目惚れしたかと思うと相手の気持ちなど構わずに猪突猛進。自ら愛の告白。そしてストーカーでもある(笑)さらに使用人バスンダラをいじめまくり、その命さえ奪おうとする。もう最後の最後まで食いついて離れない女だった。あまりのどぎつさに疲れてしまったが、主役以外でここまで濃いキャラクターは初めてだなぁ。しかも女性でだよ。インドも変わったのかしらね。それに比べたら『アルナーチャラム』のおばあちゃんなんて笑いが取れてたし可愛いもんだった。

『ムトゥ』では馬車が吹っ飛んでたけど今回は自動車が何台も吹っ飛び、CGも使われているほど豪華な作品なのに、今までのような突き抜けた面白さはなかった。やっぱニーランバリの毒が強かったのかな。バスンダラは毒消しにはならなかったようだ。あと見慣れちゃったせいもあるんだろうね。ダンスシーンへの切り替えとかパターンが読めちゃって。しかし1番はラジニなのだ。相変わらず笑顔はステキでカッコイイんだけど、ダンスとアクションにキレがないっつーか元気が感じられない。さすがにもう無理してるのかな。・・・かなり寂しい。
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