夢と現実

平成18年10月31日

昔幼い頃、お月様には本当にうさぎさんがいて、餅つきをしているのだと信じ切っていた。
いつの間にか、大人になって、儚い夢は遠のき、現実のみが残った。
それでも、うんと長生きして少しだけ小金持ちになっていたら、庶民が行ける月旅行もそれこそ
夢ではないかも知れぬ、そんな未来が待っているかもしれない等と、それこそ夢見る乙女ならぬ、
夢を追う今やオバサンになりにけり。
現実には日本さえロクに旅していないというのにね。

今夜のテレビ放映で、素晴らしい夢を追った一人の庭師の紹介があった。
若き頃映画の端役をやり、それだけでは食べてゆけぬと造園業のアルバイトをしたのが発端だ。
その後、結婚しラーメン屋を開く。
そこで、何故ラーメン屋と思ったが・・・
お手軽に開業するにはラーメン屋が手っ取り早いそうだが・・・

夫婦には大きな夢があった。
妻の親に借金をして始めたラーメン屋だったが、大きな夢を持ち続けている二人は、1年でその
借金も完済。
大きな夢とは・・・
ハワイに行って起業することだった。
その当時は(かれこれ40年も前のお話だ)ハワイに行くにも航空運賃も高く、まして、永住権を
取得するにも難しい時代なのにである。
ある時、日本の庭を造る機会を与えられ、とても好評であった。
元々絵を描くのが好きだったとはいえ、大した経験もなく成功した秘訣というのは一体
何だっただろうか?
彼にはいつもテーマがあった。
石を一つ置くにも、ここにはお父さん石、そしてこちらにはお母さん石、そしてあちらには
子供石・・・という具合に・・・温かい家庭をテーマにした、思い入れがあったのだ。
幼い頃家庭に恵まれなかったことが、彼を執拗なまでに家族愛へと走らせた。
そういえば、「家庭」とは家の庭と書くではないかっ!

訴えるものがあるということは、それだけ人の心を掴むもの。
彼ら夫婦の積み重ね、努力は続く。
そうして、いつの日か、話題騒然!
ハワイのみならずアメリカ本国でも銀行の庭、会社の庭等々、注文が殺到するように
なったのである。
今や4億の豪邸に妻と二人で優雅に過ごしている老後である。
いや、加齢したのにも拘らず、未だ仕事は続けているらしい。

何が二人をそうさせたのか。
大きな夢を、夢に終わらせなかった要因とは、何なのか?
一番の根底には妻を幸せにしたいという「愛」が常に彼にはあったのだという。
勿論妻の支え無くしてはサクセスは有り得ないと思うが・・・
二人のチームワークはなんと素晴らしいことか~♪

それだけではなく、その他にも要因はいくつもあるだろう・・・

人生、諦めてはいけないということなのか。
強い意志さえあれば、「成せば成る」ということか。
人間はその能力をほんの5%くらいしか活用していないという。
それならば、あなたも私もまだまだ捨てたものじゃあないわね・・・
素晴らしいわね、ほんとうに!
力強い老齢の夫婦!しかもなんと若々しいこと!
きっと今でも夢を追い続けているに違いない。
ほんの一部の映像ではあったが、夫婦でお酒を酌み交わしながら、「夢と現実」を語った
秋の夜長であった。

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