目の使い方              トップページへ

 時速100q以上で向かってくるボールに対し、常に焦点を合わせ続けるのは不可能です。そもそも、人間に備わった対応速度自体が、こんなに早くありませんので、最初から焦点を合わせようとすると、肝心な所で焦点が合わせられなくなってしまいます。

 例えば、スライダーを打つ時に、ボールの回転が見える選手と、見えない選手がいますが、回転が見える選手の場合、スライダーへの苦手意識がある選手はいないと思います。とは言え、意識して訓練していない状態で目が上手に使える選手は非常に少ないようです。凡才先生の主観ですが、全体のおよそ2%程度ではないでしょうか。「あいつは才能が有るから打てるんだ」なんて言われる選手の殆どが、無意識に、上手に目を使っています。

訓練方法

手順1 リズムを取る

 打席では、投手の動きに合わせてリズムを取ります。頭の中で1・2・3と数えるだけの単純な事ですが、やっている選手とやっていない選手では、大変大きな差が出ます。投手が、足を上げたら”1”、腕を振ったら”2”、そして、ミートポイントが”3”です。

 この手順は、トスやティー・素振りでも同様です。タイミングの基本中の基本で、全てのバッティング技術の土台となりますので、非常に重要です。

 素振りでは、投手や球種をイメージしながらカウントし、トスやティーでは、”1”がカウントしにくいので、”1”を省略し、腕を振ったら”2”、ミートポイントが”3”でOKです。

手順2 前半と後半に分ける

 前半とは、投手が腕を振った所から半分までの距離です。後半は、ミートポイントまでの残り半分です。


 前半では、腕を振って出てくるボールを見て、高さやコースを確認し、ミートポイントを予測します。予測のしかたは、02109スライダー(カーブ)打ちのコツを参考にして下さい。

手順3 打撃の瞬間をイメージする。

 手順2で予測したミートポイントに対し、「良い打球」を打つための打撃姿勢をイメージします。「良い打球」のイメージは、場面ごとに違いますので、打席に入る前に、大雑把なイメージを作っておくと良いでしょう。

*打席に入る前の大雑把なイメージの例*

例1)ノーアウト3塁で、前進守備
 センター前が広く開いていますので、2ストライクまでは、センター方向に打てるイメージが出来た時は打つ。センター方向に打てるイメージが出来なかった場合は、ストライクであっても打たない。2ストライクになったら、センター方向に打てるイメージが出来た時は当然打つとして、それ以外の時でも、はっきりしたボール球以外は、センター方向を目指して積極的に打つ。
 高めいっぱいは、フライになりやすいので、2ストライクまでは捨てる(振らない)

例2)ランナー1塁
  二遊間が狭いので、内角は引っ張り、真ん中から外角は逆方向に打つ。

手順4 打撃の瞬間が”3”になるように、タイミングを調整する

 タイミングは、途中で早くする事は殆ど出来ませんので、相手投手の一番早いストレートで準備します。実際に、その球が来れば調整しなくても、そのまま打てます。変化球などでタイミングが変わる時は、その分、遅くするだけです。(タイミングについては、02123タイミングの誤差を参考にして下さい。)

手順5 よく見る所

 

 手順2では、タイミング”2”の投手が腕を振る部分付近の焦点1に注目しました。次に注目する所は、タイミング”3”の焦点2です。つまり、目の焦点がぴったり合っていなくてはならないのは、この2ヵ所ですので、逆に考えると、焦点1〜焦点2の間はぴったりでなくても良いのです。

 タイミング”2”で、タイミング”3”の打撃イメージを作ったら、そこまでの間はイメージ通りなのか確認程度に漠然と見ていても問題ありません。

 頭の中で、2〜3のリズムでタイミングを取りながら、目の焦点も2〜3のリズムで合わせる意識を持ちましょう。

 トスやティーでは、ボールが遅いため、最初から最後まで焦点を合わせる事が可能ですが、そこを、あえて、腕を振った瞬間と打撃の瞬間に集中し、その間はリラックスした状態で漠然と見る習慣を付けましょう。素振は、投球イメージに対してスイングするわけですから、トスやティー以上の多彩な練習が可能です。
 


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