内角打ちのコツ                  トップページへ

 多くの投手が、外角低めを主体にしていますので、これを打てなければ、内角打ちの技術は、殆ど役に立ちませんので、内角打ちを本格的にマスターするのは、外角が打てるようになってからにしましょう。

*注意*

 内角打ちは、プロでも容易な技術ではありません。外角と内角、両方を安打にする事は可能ですが、欲張り過ぎると、回復困難なスランプになる可能性が大きくなります。凡才先生の経験では、外角と内角、両方を安打にする事に、一定の成果が得られる選手は10人中1人くらいで、大多数は、やらない方が良かった結果となります。そのため、内角対策には2種類の考え方を説明し、本人に選択してもらうようにしています。

 この項では、外角が打てる事を前提に、考え方と練習方法をご紹介します。内角打ちには、02122打撃姿勢と腰の回転を習得済みである事が条件です。

内角打ちの基本

 まずは、内角をセンター方向に打つイメージで打撃姿勢を作って見ましょう。自分では、センター方向に打てる形なのかが、分かりにくいので、他の選手に見てもらうと良いでしょう。

「内角は引っ張れば良いだろう」と思いがちですね。センター方向をイメージする理由は、ボールのコースに対し、バットの面を出来るだけ大きくするためです。これには、ひじをたたんだままでボールを捕らえる技術も必要で、ボールを捕らえてから前に押し出すくらいの意識が必要です。

 やってみれば、分かると思いますが、非常に苦しい姿勢です。とても、強く打てそうにありません。この、強く打てそうに無い感覚こそが、内角打ち習得を困難にする最大の理由です。無理に強く打とうとすれば、この正しい打撃姿勢が作れませんので、強く打とうとする打者ほど、内角打ちは失敗しやすくなります。対戦相手に強打者だと思われている選手に、内角攻めが増えるのは、このためです。

 つまり、内角打ちをマスターするためには、まず、強く打つ意識を捨てなくてはなりません。(打てるようになると分かりますが、強く打つ意識が無くても、内角をしっかり捕らえた打球は、非常によく飛びます。)

内角のタイミングは早くなるので、腰の回転が遅れないように注意します。コツは、早めに腰の回転を済ませ、それから、ボールが来る方にバットを直線的に(ボールのコース上を押し出すように)します。こうすれば、差し込まれた時にでも、何とか捕らえる事ができますし、早すぎた場合は、ファールにする事が出来ます。しかし、腰の回転が遅れた場合は、有効な対処は出来ません。

参考動画 落合打撃フォーム 松中信彦が右打ちだったら 内角打ち 今岡の内角打ち  


*多くの選手が習得可能な内角対策

 外角が打てる状態で、内角も安打にする事は非常に困難ですが、内角をファールにするなら、あまり難しくありません。ファールなら凡退しませんので、何度でも打ち直しが出来ます。つまり、確率の悪い安打狙いではなく、「内角はファールでいい」と考えるのです。

 外角打ちと内角打ちでは、下半身の使い方も違えば、上半身の使い方も違います。外角が打てる状態で、上半身と下半身の両方を内角打ちに変えるのは非常に困難です。これは理屈ではありません。人間の体(脳)が、そうなりやすくできているからです。

 しかし、単一(一つだけ)の変更なら、練習次第で十分可能です。上半身は、下半身の動きに大きな影響を受けますので、多くの選手が、習得可能な変更は、下半身です。

 右打者が外角打ちする場合、右足のつま先と右膝のラインが、正しいミートポイントに向き、右の骨盤で押し込むような動きをすれば、バットは、自然に外角の正しいミートポイントに行きます。内角の場合も、理論的には同様ですが、内角に向けて、右足のつま先と右膝のラインを作る場合、本人の意識では、十分だと思える状態でも、実際には不十分な事が多いものです。

 サードやショートに自分の正面が向く位でなければ、内角の正しいミートポイントは作れませんので、思い切って回転して、十分な打撃姿勢を作る練習をしましょう。実際の打席でのイメージは、高めなら右肩でボールを押し出すような感じで、低めなら真下にバットを出し、それを捕手側のひざで押し出すような感じです。

 練習しても内角打ちに失敗する場合の殆どは、打撃姿勢を作る直前の、下半身の動作が遅れています。「内角はファールでいい」のですから、早めに回転し、それからボールを捕らえましょう。安打狙いでも、ファールOKでも、これは、内角打ちの鉄則です。回転は、02122撃姿勢と腰の回転で詳しく説明しています。


*外角が打てる状態で、内角も安打にする

 前置きした通り、大きなリスクを伴いますから、中途半端にせず、やりきるか、やめるかを明確にしましょう。そもそも、この技術をマスターするには、根気と我慢が必要です。

はっきり言いますが、「外角を打てる状態を維持しながら習得する」なんて、リスクを犯さない考えでは、まず、失敗します。この技術は、フォームの大改造そのものですので、最低2ヶ月は打てないものと覚悟して下さい。(うまく行って2ヶ月です。3ヶ月かも知れませんし、半年かも知れません。そして、多くの選手は、打てない時期の不安に耐え切れずに挫折します。)

当然、大会直前には、やってはいけない事の一つです。結果を出したい時期を考えた上でなければ意味がありません。

 リスクが大きい事は十分に分かって頂けたと思いますので、ここからは、具体的に説明します。短期間にマスターする方法は無いものの、最短(2ヶ月前後)は可能です。この期間が必要な理由は、00104刷り込み練習を参考にして下さい。

 中途半端な内角を練習しても、短期間の習得は出来ませんし、失敗の元ですので、極端な内角を練習します。まず、構えた状態で、両足のつま先で直線を引きます。最初に練習するコースは、この線上です。


初期練習

 ここでは、ティーバッティングが有効ですが、投げる人が危険なので、スポンジボールなどの柔らかいボールを使用し、この線の延長線上に投げてもらいます。できるだけセンター方向を意識して打って下さい。(意識の問題ですので、結果として、きちんとボールを捕らえていれば、ファールでもOKです)投げる人は、実際のコースが確保出来る位置から投げて下さい。(スポンジボールですので怖がらないで下さい)

始めはゆっくり投げてもらい、80%以上を的確に捉える事が出来るようになったら、段階的に速度を上げていきます。練習ですので、体にぶつかりそうなものも打ちましょう。

速球を90%以上、的確に捉える事が出来るようになるには、1週間〜3週間が必要です。ティーは、高速ティー(ボールを投げる間隔を小さくし、打者はスイングを戻さずに、円を描くように素早く構える)と、通常のティーを交互に組み合わせると効果的です。


内角打ちの固め

 速球に対応出来るようになったら、コースを、つま先の直線と、実際の内角いっぱいをランダムに変え、球速もランダムに変えて練習します。内角打ちの最大のポイントは、「腰の回転が遅れない」事ですので、常に、最速のイメージで準備します。速球ならそのまま打ってOK、遅ければ、スイングを遅くして対応します。うまく合わせられない場合はファールになりますが、遅れれば内野ゴロか空振りですので、ファールを打てる状態で安打を目指しましょう。この段階では、実際の打席で、どのコースも打てないと思います。

 この練習は、精度が向上するまで2週間〜3週間継続し、刷り込みが出来るまでは、他のコースの練習はしません。(刷り込みの妨げになります) ここまで来ると、実際の打席でも内角が打てるようになりますが、逆に、外角は、全く打てなくなっていると思います。

 まだ、内角が打てるようになっただけですが、完成率は70%位まで来ています。集中した内角打ちの練習のため、外角打ちを忘れてしまってはいますが、元々は出来るのですから、内角打ちを維持しながら、外角打ちを思い出す練習をすれば完成です。

仕上げ

ここからは、内角だけのティーバッティングから、ストライクゾーン全体に切り替えます。まず、内角と外角の比率は半々からスタートしますが、内角は完璧でなければ意味がありませんので、内角打ちがおろそかになるようでしたら、内角を増やし、内角が良くなったら外角を増やしていく事を繰り返して下さい。

 同じ構えから、瞬時に、内角打ちか、外角打ちを判断し、適した打ち方を実行する。この一連の動作を、体が反射的に行えるようになるまで、根気強く繰り返します。

練習のポイント

 内角打ちと外角打ちでは、グリップの出し方が全く違います。これを手でコントロールするのでは無く、下半身の回転範囲を変えて自然に行えるように練習しましょう。

反復練習

 打てるようになっても、仕上げの段階での練習は、体が忘れないようにするために、少しの時間で良いので、こまめに練習しましょう。特に、試合前の朝に行うと、バットが良く振れますので、結果を出すために非常に役立ちます。


参考動画  青木フォーム  Barry Bonds  栗原ホームラン  稲葉フォーム  高橋由伸フォーム 


トップページへ