「みずほ点訳」ホームページ

「みずほ流」点訳入門教室

6.形式名詞・補助動詞



形式名詞その他の分かち書き(『てびき』p33〜)

分かち書きの基本は、文節ごとに切る、自立語に付属語をつけて切る、逆に言えば、付属語だけでは書かない、ということです。
では、付属語とはなんぞや、というと、『てびき』のp33に書いてある、助詞・助動詞がその代表的なものです。
付属語は、いくつ重なっても、読点などで区切られないかぎり、全部続けて書きます。
「そうではあるらしいみたいなのですけれども」なんていう妙な文も、切るのは「ソーデワ」のあとだけ。
「アルラシイミタイナノデスケレドモ」は「アル」は自立語ですけれど、そのあとの「ラシイ」「ミタイ」「ナノデスケレドモ」は付属語の助動詞なので、切れないわけですね。
あまり長く助動詞が続いたりすると、時には行末が大きくあいてしまうことがあって、点訳者によっては、助動詞も適宜切って、行末を埋めている人もいますが、付属語は続ける、というのが、分かち書きのルールなので、少なくともはじめのうちは、やはりきちんと続けたほうがいいと思います。

続けるべき付属語の前が数字である場合、仮名遣いのところでもお話しましたように、その付属語がア行・ラ行の語だと、数字に読み間違えられてしまいます。
『てびき』p33にあるように、そういった場合は、つなぎ符を使います。
これは、簡単ですね。間違えても、Tエディタが教えてくれますし・・・と、あんまり文明の利器に頼らないで、自分で確認してくださいね。

付属語の前がアルファベットだったら、前を切って書きます。
それが、外字符が前置された語であっても、外引符で囲まれた文であっても、同じです。
もう一つ、『てびき』p34にあるように、アルファベットと仮名が組み合わさって形容動詞のように使われている場合も、やはりアルファベットと仮名の間は切って書きます。
「とてもfriendlyな人だ」
「よく考えられたcontentsだね」
こういった場合も、「な」「だね」の前は1マス、ということです。
アルファベットのあとに仮名がきたら、全部1マスあけ?と思われるかもしれませんが、さにあらず、 『てびき』p30に、つなぎ符を使う場合の例が載っていますから、じっくり読み比べてくださいね。

さて、自立語と言っても、はっきりした意味があるものとは限りません。
形式名詞といって、実質的な意味が薄れた名詞、というのがあります。
これは非常に使用頻度が高い。しょっちゅう出てきます。
とくに、「こと」「もの」などは、それを使わないで話すのは不可能だろうと思われるくらいです。
「あんたのこと、よく知ってるわ」
「そんなものだよ、人生は」
「そんなふうに言わなくたって」
「そういうわけでしてね」
・・・・この中の、「こと」「もの」「ふう」「わけ」はみな、形式名詞です。
よくこんな言いかたしますよね。
実際には、これらの語が指し示す明確な対象というのがはっきりあるわけではないのですが(「そんなものだよ、人生は」って言われたって、どんなものなのか、誰もはっきりとは知らないんですよね)、日本語では、こういう言い回しが頻繁に使われます。
これらは、みな自立語、普通の名詞と同様に扱います。

しかし、中には、同じ形をしていて、品詞の種類が違うものもありますので、要注意です。
「このあたりに、コンビニはないかな?」の「アタリ」は形式名詞ですが、「一人あたり300円」の「アタリ」は接尾語です。
「とっても素敵なことね」の「コト」は形式名詞ですが、「まあ、なんて素敵だこと」の「コト」は終助詞です。
接尾語も終助詞も付属語ですので、前に続けます。
じつは、この終助詞の「コト」「モノ」というのは、けっこう混乱のもとなんです。
だいたい文章の前後関係でわかるのですが、ときには、形式名詞でも終助詞でもいいように思えるときもあるので、よく迷います。
「素敵なこと」というだけでは、それが終助詞か形式名詞か、判断材料が少なすぎます。
「素敵な事だ」と言っているのか、「まあ、すてきなこと!」と、感嘆してるのか、わかりません。
その他の形式名詞も、他の品詞と同じ形のものがありますから、気をつけてくださいね。

では、練習問題9です。
点字のカギ括弧は、開きも閉じも同じ記号で3、6の点です。
墨字のカギ括弧と同じように、中の言葉と続けて使います。
閉じカギのあとに助詞・助動詞など続けるべきものがあれば続け、自立語がきていれば切ります。
疑問符(?)は、2、6の点です。

      −−−−−−−−−−−−−−−−−−−−
  練習問題 9
 1.僕は中学生なのだけれど、去年あたりから背丈ばかり伸びて、いまは175センチくらいにまで伸びちゃった。
 2.おばあちゃんなんかは、身長145センチで、しかもこのごろはどうも縮んできているようなので、僕が立ったままで話していると、首が疲れるから、座ってちょうだいなんて言われちゃう。
 3.お母さんは、僕の靴が玄関に並んでいるところを見ると、「ボートが2艘並んでいるみたい」だって。そんなふうにいわれるのは、ちょっと心外だけれど、僕の靴のサイズって、27センチだものな、イアン・ソープほどじゃないけど、仕方ないことかもしれないね。
 4.でも、僕の友だちあたりでも、サイズ30センチなんていう、Bigな足のやつがいる。そのあたりのお店じゃ、もう靴が見つからないから、舶来品のお店で、高いものを買うことになるらしい。SFに出てくる、大足の巨人みたいなものだね。
 5.僕もそんなふうになったら、たいへんだから、このあたりで、足が大きくなるのは、止まって欲しいところだ。でも、隣のおばさんときたら、僕を見て「まあ、将来が楽しみですこと」だってさ。足が大きいと、将来がどんなふうに楽しみなのだろうか?
      −−−−−−−−−−−−−−−−−−−−


<練習問題9>について

ここでは、話し言葉がたくさん出てきました。
話し言葉は少し面倒なことが多いですね。
外国語のことはよくわかりませんけれど、話し言葉と書き言葉がこれだけ違う言語もあまりないかもしれません。
「言われちゃう」などは、ほんとうは、「言われてしまう」ということですが、「言われちゃう」なら一続きで、「言われてしまう」だと「イワレテ■シマウ」というように切ることになります。
話し言葉には、本来の言い方を省略した形が入り込んでいるので、本来切るべきところで切りづらくなっている場合が多いんですね。
しかし、これらも、切って不自然でないように切ればいいわけですから、慣れれば大丈夫。

練習問題9のポイントをいくつか書きます。
「立ったままで」の「まま」は、漢字では「儘」と書き、形式名詞ですから、ほとんどの場合切っていいのですが、前の語について一語化しているものがいくつかあって、それらは続けて書きます。
「このまま」「そのまま」「わがまま」「ありのまま」「ほしいまま」が続ける例です。
「あのまま」は切るので、注意して。

「27せんちだものな」の「もの」、「楽しみですこと」の「こと」は終助詞です。
「そんなの、知らないもの」とか「君は、嫌いだものな」「うれしゅうございますこと」「驚きましたこと」なんていうときの「もの」「こと」ですが、終助詞の「こと」ってちょっと気取った言い回しの女性言葉に多く使われてるような気がします。
今、こういう言い方をする人はあまりいませんね。

「イアン・ソープ」などのカタカナ表記の人名は、中点をつけずに1マスあけることになっています。
これはもっとあと、固有名詞のところで出てきます。

Bigは英語の単語ですので、外引符で囲みます。そのあとの「な」はBigについて形容動詞的に使われているわけですが、こういった場合、外引符の閉じ記号のあとは1マスあけます。
SFの方は、略語なので外字符、大文字が2文字なので、二重大文字符を使います。
この場合も、アルファベットのあとは1マスあけです。

その他、問題の中の「あたり」「ところ」「ふう」なども形式名詞ですね。

点字を習い始めたころ、人から聞いたこと、教えてもらったことをノートにまとめようとしたような記憶があるのですが、結局かなり早い時点で挫折しました。
覚えることがありすぎて、とてもまとまらなかったのだと思うのですが、それよりも、やはり実践あるのみ、覚えては忘れ、忘れては覚えるの繰り返しで、しだいにわかってきたような気がします。
ルールを覚えることも大事なのですが、実際にいろいろ点訳してみて、たくさんの言葉に出会うことで、切ったり続けたりする方向性みたいなものが見えてくるように思います。
抽象的であまり役にたちませんね。
未だに迷うことばかりのなかでやっています。
たいていの点訳者はそうなんじゃないでしょうか?
だから、点訳って飽きないんですよね、きっと。


Q. 「こと」はわかるような気がしますが、「もの」は難しいですね。

形式名詞・終助詞・接尾語・・・実は私もちんぷんかんぷんです。
なんてこと言うと、それでよく「点訳教室」に説明らしきことを書き込んでるね、っていわれちゃいそうですが、ちょっと言い訳をさせていただければ、点訳者のほとんどは、ふつう、言語の専門家でも、国語の先生でもないわけですよね。
どこにでもいるふつうのオバサンがやっていたりする。
そういう人たちが、みんな日本語の文法に精通しているか、といったら、もちろんそんなことはないわけでして、たいていは、「てびき」や講習会で基本的なことを覚えて、あとはもうひたすら経験的に覚えていっているんだと思います。
一応、「点訳教室」という看板を掲げているし、文法用語を使わないとなかなか説明しにくいこともあるので、名詞だ、動詞だ、接尾語だ、って言ってますけど、実際の点訳活動では、そんなにかまえて考えることはないんです。
「もの」も、やっているうちに、なんとなくわかってきます。で、そのとき、別に形式名詞・終助詞という区分けで覚える必要は、必ずしもなくて、こういう感じ・雰囲気の「もの」は切る、って自分でわかれば良いんじゃないか、と思います。
なんだか、真面目に点訳に取り組んでいる人に顰蹙を買いそうなことを言っちゃいましたが、気楽に、気長にやる、がいちばんだと、私は思ってます。


補助動詞(『てびき』p36)

形式名詞が、名詞としての意味は薄れたものの、形の上では名詞なので自立語として扱う、というのと同様に、補助動詞と言われるものも、動詞としての意味は薄れているけれども、形の上では動詞で自立語です。
副詞句を作ったり、文の中の主たる動詞にくっついて、意味を添えたり限定したりします。
「ポチが靴をくわえる」というのと「ポチが靴をくわえてくる」「ポチが靴をくわえていく」「ポチが靴をくわえている」「ポチが靴をくわえてみる」「ポチが靴をくわえてしまう」などを較べてみると、「くわえる」という動作をすることは確かなのだけれど、どんなふうにくわえるのかとか、その動作の方向性などが言い添えられていることがわかります。
この場合の「くる」「いく」「いる」「みる」「しまう」などが補助動詞です。
私たちは普段なにげなく使っているので、「持っていく」「食べている」「買ってくる」など、ひとつの言葉のように思っていたりするのですが、実は文法的に言えば、動詞(持ち)+助詞(て)+補助動詞(いく)なのですね。
点字では助詞は前にくっつくので、「モッテ■イク」ということになります。
形式名詞と同様、補助動詞も、これを使わずに話したり文を書いたりするのはとても大変です。
言いたいことがちっとも言えないんですよ。
それだけ多用されているということですね。

「補助動詞は切る」というのと混同しやすいのが、あとで出てくる「複合動詞は続ける」というルールです。
たとえば「滅びゆく」というのは「滅ぶ」という動詞と「ゆく」という動詞がくっついた複合動詞です。
「滅んでゆく」(もとの形は「滅びてゆく」)は動詞+助詞+補助動詞です。
違いはおわかりですか。
「て」や「で」という助詞を挟んでいたら、概ね複合動詞ではないと思ってくださってそれほど間違いではないと思います。
(ちょっと例外があるかもしれませんが)

では、練習問題をどうぞ。
補助動詞だけでなく、形式名詞や助詞・助動詞、仮名遣いにも気をつけて打ってみてください。

      −−−−−−−−−−−−−−−−−−−−
  練習問題 10
 1.押し入れを片付けていたら、古い手紙の束が出てきた。そんなものを読んでいると日が暮れてしまうと知ってはいるけれど、放っておくことはできない。読んでいくうちに、記憶の底に埋もれていた過去の映像がみるみる鮮明な色を帯びてきたり、逆に、どう考えてみてもそんなことがあったという記憶はない、あるいは、自分が覚えている事の顛末はこうではなかった、と思うことも出てくる。

 2.人間の記憶というのは怪しいもので、長い年月の間にすっかり消えてしまったもの、妙に生々しく残っているもの、自分に都合のいいように変わってしまったものなどが混然となっていて、その集合体を自分の確かな記憶だと信じている。それは場合によっては相当怖いことである。

 3.たとえば、ご主人は先月5日の午前2時すぎに帰ってきましたね、と弁護士にきかれたとする。確かに先月の前半は帰りの遅い日が続いていて、そういえば夜中にトイレに起きていった折に、帰ってきたばかりの主人とばったり会ったことがあるような気はする。よく思い出してみればあれは息子の遠足の前の晩で、朝早く起きて弁当を作ってやらなきゃと思っていた日ですから、確かに5日です、間違いありません、と証言をする。

 4.ところが実は、それは大変な思い違いであって、日にちが違うとかいう問題ですらなく、そもそも単なる夢であったということもありうるのである。後日、他の証拠によってそんな事実はなかったとわかり、奥さん、でたらめを言ってかばってもご主人のためにはなりませんよ、と言われてしまう。あなたの偽証により裁判官の心証はきわめて悪化。さてご主人の運命はどうなっていくのか。

 5.あるいは、8年前の10月14日にあなたは30歳くらいの男性に道を教えてあげましたか、と刑事にきかれたとする。だがそれがよほど変な男であったとか、特別いい男であったとか、行き先がとんでもなく変わっていたとかいうのでない限り、大して珍しくもないようなことについて、いちいち覚えているわけがない。でも、それによってしかあなたのアリバイが証明できないのだとすると、これはおおごとである。窮地を救ってくれるような記憶力がほしいものだ。
      −−−−−−−−−−−−−−−−−−−−


<練習問題10>について

 1.「放っておく」――正式な、そして一般的な読みは、「ほうっておく」でしょう。
それが短くなったものとして「ほっておく」もあると思いますが、どちらかというと、しゃべり言葉でしょうか。
この場合は会話文ではないので、「ホーッテ■オク」の方がいいかもしれません。
 「思うことも」――「思う」は確かに言い方によっては「おもー」と聞こえますね。
ですが、これは『てびき』p13〜14の、動詞の語尾の「う」は「ウ」と書く、というのに当てはまります。
 3.「2時すぎに」――「すぎ」は造語要素といわれるもので、前に続きます。
「2時過ぎる」なら「過ぎる」は動詞ですから切れるんですが。
 5.「8年前の」――この場合の「前」は切ります。
「10分前」「3日前」「100年前」「少し前」「しばらく前」「ずっと前」「入学前」「結婚前」「開店前」「夜明け前」・・・こういう時間的な「前」は切るのですが、それに対して、「駅前」「皇居前」「市役所前」「第1中学校前」など場所的な「前」は続けることになっています。
 「14日」――この読みは「じゅうよっか」です。「じゅうよんにち」ではないんです。
ですから、発音どおりがモットーの点字では「数符14カ」と打ちます。
日付の表記は厄介ですね。
「ついたち」〜「とおか」と「はつか」は和語読みなので仮名書き、「14日」と「24日」が数字に「カ」、あとは数字に「ニチ」です。
「よっか」は「みっか」「よっか」「いつか」という和語読みの系列に入っているので仮名書き、「14日」は「13日」「14日」「15日」という漢字音の系列に入っているので数字で表記するわけです。
でも、「にち」と発音するわけではない「14日」「24日」については、「ニチ」と打つわけにもいかない、といったところですね。
点字表記が厄介なのではなく、日本語の読みが厄介なのです。
外国人が日本語を学ぶとき、この複雑さにびっくり、というか、呆れてしまうそうです。
 5.「ほしいものだ」――「もの」は形式名詞ですね。ですから「ホシイ■モノダ」となります。

念のため、1〜5に出てきた補助動詞を書き出しておきます。
 1.(片付けて)いた、(出て)きた、(読んで)いる、(暮れて)しまう、(知っては)いる、(放って)おく、(読んで)いく、(埋もれて)いた、(帯びて)きた、(考えて)みて、(覚えて)いる、(出て)くる
 2.(消えて)しまった、(残って)いる、(変わって)しまった、(なって)いて、(信じて)いる、(場合に)よって、(ことで)ある
 3.(帰って)きました、(続いて)いて、(起きて)いった、(帰って)きた、(思い出して)みれば、(作って)やらなきゃ、(思って)いた
 4.(思い違いで)あって、(夢で)あった、(ありうるので)ある、(証拠に)よって、(言われて)しまう、(偽証に)より、(なって)いく
 5.(教えて)あげました、(男で)あった、(男で)あった、(変わって)いた、(ことに)ついて、(覚えて)いる、(それに)よって、(おおごとで)ある、(救って)くれる

これらは自立語なので、前を切るわけです。


テ切れ・ク切れ

助詞の「て」、「やってきた」とか「見てみたい」とか「聞いてやる」とかの「て」 ――点訳するとき、この「て」がきたら後ろを切る確率が高いんです。
また、「美しくなる」「わからなくなった」「面白くない」など形容詞の連用形、「うつくしく」とか「わからなく」とか「おもしろく」のように、「く」がきた場合も、そのあとを切ることが多いんです。
だから、市販の点訳の説明書などでは、「テ切れ」「ク切れ」と覚えなさい、なんて書いているものもあります。
この覚え方は、いっけんわかりやすくて、覚えやすいので、これから分かち書きを勉強していく入口にいる者にとっては、飛びつきたくなるような判断の仕方です。
しかし、わかりやすい覚え方、というのは、だいたいにおいて、その背後にある無数の例外を、無視するか、四捨五入するかして、無理矢理簡素化したものが多いので、これを鵜呑みにすると必ずあとでつまずきます。

「て」がきたら切る、といっても、「て」のあとに、別の付属語がくることもあるし、「て」が入って一語化している語だってあるかもしれません。
てびきのP47に「打って出る」「見て取る」など「て」の入った複合動詞の例が載っているのですけれど、てびきではこういった語も「て」で切ってよい、となっています。
しかし、複合動詞は続ける、という原則どおりにすると、「て」があっても、こういった語は切れなくなります。
「ク切れ」についても同様のことが言えます。
「やさしくて、ちょっとバカ」なら、「く」のあとさらに助詞の「て」がありますから、まさか「て」だけにするわけにもいかないのは、わかりますよね。
「いくら美しくたってねえ・・・」も、「く」のあと切るわけにはいきません。

だから、切る切らないの判断目安として「テ切れ」「ク切れ」を使いこなそうと思ったら、それがあてはまる条件もいっしょに覚えなくてはなりません。
動詞+「て」+補助動詞(または、他の自立語)のときの「て」、形容詞の連用形+自立語の場合の「く」、というように覚えていてこその「テ切れ」「ク切れ」です。
しかも、それでもまだ例外はつきまとうわけで、あとで出てきますが「なくなる」なんていう言葉は、「く」で切る場合と切らない場合があるし、なかなか一筋縄ではいきません。

しかし、それでも「テ切れ」「ク切れ」というのは、覚えておいて損はないと思います。
もし『初めてでも簡単! 1週間で覚える点訳』なんて本があって(そんなものがあるとも思えませんが)、点訳のルールを集約して細かいところを切り落とし、「こういうふうに覚えなさい」なんて書いてあっても、全面的には信用しないで、でも、一応頭の隅に入れておいて、そこから漏れる例外にも思いを馳せつつ、役立てていくといいと思います。
どんなものでも、覚えるのに近道ってないんですよね。






<<BACK   INDEX   NEXT>>