CAPCOMが発売し、ネットなどで人気が広がったシリーズ第3弾。
前作は第1弾の欠点を意識しすぎて面倒くさい部分が増えてしまいましたが・・・
今回はどうでしょうか?
ナルホド編の最後を飾る「逆転裁判3」のレビューを進めていきます。
このゲームの導入は、シリーズの主人公「成歩堂 龍一」(なるほどう りゅういち)がまだ弁護士になる前の話。
なんと殺人犯人として裁判にかけられるという意外な展開から始まります。
そして第1話の主人公は、将来のナルホドくんの上司・綾里 千尋(あやさと ちひろ)。
しかもまだ新人の状態で舞い上がっている状態で、裁判のやり方も忘れてしまうほど。そういう意味で、導入としてはまたしてもお見事です。
しかしあまりにもナルホドくんがアホすぎて、今の面影が全くありません。彼に一体何があったのか?という謎は、この事件以外はあまり説明されません。
そこらへんはプレイヤーに考える余地を与えてくれているのでしょうね。
自分は出だしはうまいけど、強引過ぎない?と思っていましたが、しかしそれは後に間違っていたと気づくことになります。
キャラの掛け合いがこのシリーズの売りと言えますが、もうキャラが「自分はこういうキャラ」とわかっていて、前作以上に楽しい漫才のような会話を 繰り返しています。もうここはシリーズを通してやれば、非常に楽しめます。今作が初めてだと置いてけぼりを食いそうです。 とにかく巧さんのテキストは3作続けたことで、さらに思い切りが出たように感じます。
このゲームで大きな軸の一つとなる新キャラクター・ゴドー検事はクールと渋さを持ちつつ、洒落っ気たっぷりのギャグもかまし、常にコーヒーを愛好する謎のマスクをかぶったダンディーな検事。
しかもナルホドくんの熱さにも負けないほどの情熱も併せ持つある意味最強キャラとも言えます。
これまでの逆転裁判シリーズの裏の軸というべき存在で、名台詞も多く発する個人的に大好きなタイプのキャラですね。
最後に見せるもう一つの顔は正直泣きそうになりました。
前作では損なわれ気味だった”テンポと快適さ”。しかし今回は見事に克服しています。
その元凶とも言える”サイコロック”も必要最低限におさえて前作ほど頻繁に出ず、答えも
ある程度納得いくものになっていました。今回は特別に新機能の追加はありませんが、すでに
完成されていた感のあるゲームでしたから、余計な新機能は不要でしょう。
裁判シーンもゴドーの手元にコーヒーカップが来たり、飲むシーンが妙なテンポを作っています。
ここでちゃんと修正して復活してくるのが、逆転裁判シリーズの非常に優れた点であると思います。
このゲームは1のいいところ+αという素晴らしい作りに仕上がっています。その中でも下記の点は非常に素晴らしいです。
1.プレイ時間
今回は非常にプレイ時間のバランスが良く、短いもしくは長すぎると感じる方は少ないのではないかと。
2.音楽
前作はどうも印象に残らなかったBGMですが、今回はアレンジも含めて素晴らしいものがあります。ゴドーのテーマはもちろん裁判シーンに流れた曲も印象に残っています。
ゲームをクリアしてからMIDIを集めたほど気に入りました。
3.動かすキャラが変わる
基本的に今までプレイヤーが動かすキャラはナルホドくんだけでしたが、今回は千尋や御剣たちを操ることができます。
これを通じて、彼らのナルホドに対する印象や想いなどがわかり、さらに世界観を広げることに成功したと言えます。
ナルホドとマヨイのマンネリ感が出てきた夫婦漫才捜査の対策としても、お見事でした。
4.宣伝関連
今までも体験版をWEB上で公開するなどマルチメディアな宣伝を行っていましたが、様々な方法で告知をしていました。
東京ゲームショウ2005で公開されたプロモーションムービーでは台詞ありで話題を呼びました。
JRと提携して、体験版を遊べるキャンペーンも実施していました。また携帯版と連携した宣伝もしていましたね。
上にも挙げましたが、今作では見事に前作の弱点を克服しています。しかし不満点も若干あります。
1.強引すぎるトリックが・・・
さすがに無理だろ?と思えるトリックが今回はありましたね。しかも最後だっただけに残念でした。
まあゲームだから許せる部分はあるものの、もったいないなと。かなり複雑にしすぎたために多くのプレイヤーも
「どういうことだ?」と感じたのではないかと思います。
2.調子に乗りすぎた面も
キャラ漫才がこのゲームの売りとも言えますが暴走気味になる部分もあり、それで引く人もいるかもしれません。
個人的にはOKですが「やりすぎてるかなあ」と感じる部分もありました。
総合的に言えば、実に素晴らしいナルホド編完結です。
1から始まるストーリーと今回触れた過去の話、そして2で登場した綾里家のエピソードが全て一つの線で繋がった
時の衝撃は個人的に「すごい」と思いました。そしてゴドーの真実・・・これ以上に綺麗で物悲しい終わり方は難しいと思います。
そしてこのキャラたちで行われたキャラ漫才もこれで終わりと思うと「もっと見たかった」と思うところはありますが、それくらいで
終わらせる方が有終の美を飾れるという面も否定できません。
ファンの中には「台詞を全部音声にして欲しい」という方もいらっしゃると思いますが、自分は反対です。
最近痛感していますが、ゲームに大切なのはテンポとバランスだと思っています。音声が入ることで少なくてもロード時間が発生し、テンポが損なわれます。
最近のゲームで多いのは、外面だけは綺麗だけど内容がプレイヤー思いではないというもの。
正直開発者のエゴを感じるものが多く「こざかしい」「ウザイ」と思うものも多いです。
昔のゲームが面白いと感じるのはシンプルゆえに煩わしさが少ないせいかもしれません。
そういう意味でも逆転裁判シリーズ(ナルホド編)は好感が持てるゲームでした。
次回作4からは新キャラによるシリーズが始まるということですが、ナルホド編に負けない素晴らしいゲームを開発者の方々が作ってくれることに期待しています。
値段も安いですし、体験版が公式サイトにありますので、興味のある方はそれをやってみてください。また独自展開している携帯コンテンツもありますので、そちらもチェック。
よろしければレビューを読んでのご感想をお聞かせください。
(他に取り上げて欲しいものがあれば、そちらもお知らせください。)
・逆転裁判:逆転裁判1をレビュー!
・逆転裁判2:このゲームの前編をレビュー!
・逆転裁判4:このゲームの続編をレビュー!
・逆転裁判公式サイト:体験版や製作者裏話が楽しい公式サイトです。
・たのみこむ 逆転裁判コーナー:みんなの願いが届き、サウンドトラックなどを限定発売。