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逆転裁判2

CAPCOMが発売し、ネットなどで人気が広がったシリーズ第2弾。 第1弾は元々欠点が少ない良作でしたが、その少ない弱点を減らそうとする意思が見られるのが好感触。 それでは、「逆転裁判2」のレビューを進めていきたいと思います。


導入のうまさ

 このゲームは前作の主人公「成歩堂 龍一」(なるほどう りゅういち)が何者かに襲われ、記憶を失うことから始まります。 ゲームの導入として非常にうまい手だと思いました。これが第1話の事件と関わりがあり、なおかつ2から逆転裁判を楽しむ人も 1からやっている人にも違和感なくゲームのやり方の説明がスムーズに出来るためです。 そして裁判を通じて記憶を取り戻して蘇ったナルホド君は持ち前の「異議あり!」を発し、状況を覆していくのですが、これは まさに逆転裁判の醍醐味である爽快感をシナリオ全体で味わえるわけです。
 そういう意味で、導入としてはお見事だったと思います。


前作以上のキャラ漫才

 いつもの2人(ナルホド君とマヨイ)だけでなく、前作でも登場したイトノコ刑事や御剣検事、そして裁判長(ゲーム中では今作から”サイバンチョ”とお茶目な部分を強調したような表記になっています。)も引き続き登場して、実に 楽しい漫才のような会話を繰り返していきます。これは前作以上に面白さが増しており、それは前作をやったからこそわかるものと言える部分も多いのですが、 これはやはりシリーズのファンを増やす大きな原因だと思われます。  とにかくキャラが動き出してしゃべるようなテキストは巧さんの上手さが出ているといえます。


新キャラ”狩魔 冥(かるま めい)”

 このゲームで欠かすことができない新キャラクターが狩魔 冥(かるま めい)です。 前作の大きなキーマンとなった狩魔検事の娘で、クールなのに裁判中にムチでナルホド君をはじめとしてサイバンチョまでしばく怪しい面がありますが、魅力的なキャラです。 前作ではライバルとなっていた御剣がある理由で登場できない間にこのキャラが埋めたのはかなりの功績といえます。
 また御剣が再登場する理由をつなぐ意味でも意義のある設定であり、キャラ漫才も彼女のおかげで深みが増したように思います。

 最後に新たな一面を見せてくれるのはある意味お約束でしたが、非常に良かったですね。


探偵パートをよりスリリングにする”サイコロック”

 前作の探偵パートは緊迫が少なく、結構淡白に進んでいました。 個人的にはそちらの方が裁判重視でテンポがいいので好みでしたが、前作の感想ではそこに物足りないと感じたという声が多かったようです。 そこで今回登場したのが「サイコロック」システムです。これは霊的な力を使って、証人が閉ざしている心の壁を解き放つというもので 裁判パートで使われる”揺さぶり”や”異議あり”のシステムを探偵パートに持ち込んだ形と言えます。  比較的ゲーム中でも選択肢が多いのでゲーム全体の難易度を上げる役目をし、前作が簡単すぎると思われた方には満足のいく追加システムといえます。


前作の弱点を見事に克服

 このゲームは不満と感じる部分が非常に少なかった前作のわずかな弱点を非常に意識した作りに仕上がっています。

1.プレイ時間の短さ
 今作では話数も増え、非常にプレイ時間が延び、短いと感じる方は少ないのではないかと思います。

2.台詞にほとんど音声がない
 前回よりも声が出る場所が増えました。そのおかげで裁判中のやり取りが白熱したものになった要因になっています。

3.プレイヤーは基本的に犯人がわかってる
 今回は犯人がわからないケースが多く、推理物の側面が強いものになっています。そのため「そうだったのか!」ということもしばしば。


総合的感想

 上にも挙げましたが、今作では見事に前作の弱点を克服しています。しかしそれを意識しすぎたためか、前作にはない不満が増えてしまいました。

1.無駄に長くなったプレイ時間
 今回のシナリオは特に後半にいくにつれて無駄に展開が2転3転するなど、冗長な面が出ています。「もういい加減にしてくれ」と感じることも多かったです。 個人的に前作の良さであった爽快感を損なう結果につながったと思われます。

2.強引すぎるサイコロックとトリック
 今回のゲーム難易度を上げるのに貢献した”サイコロック”ですが、選択肢が多いのはいいのですが、どちらでも良さそうなものなのにも関わらず ダメということが多かったです。またトリックも「う〜ん」と思えるようなものが多く、全体的に強引な面が目立ちました。

3.印象に残らない音楽とシナリオ
 音楽とキャラクターデザインは前作と違う他の方に担当が変わっています。キャラデザは個人的にはOKですが、音楽は全体的に印象に残らず、 盛り上がるはずの裁判パートのたたみ掛けるBGMもイマイチ消化不良でした。音楽はゲームの雰囲気やテンポなどを大きく左右するだけに、非常に残念でした。  シナリオも無駄に長くしすぎたせいか、あまり印象に残っているものが少なかったです。全体的にキャラ漫才やトリックに終始したため、焦点がぼけてしまったという感じです。

4.後味が悪すぎた最終話
 弁護士として最大のピンチを迎える今作の最終話ですが、どうにも後味が悪すぎました。 終わり良ければ全て良しではありませんが、これが与えた影響も大きかったと言えます。 弁護人が必ずしも無罪の者だけではないことは現実にはある話ですが、それがあまりにもひどい方向に行き過ぎた印象があります。 タブーに挑戦したことは評価できますが、残念ながらやりすぎてしまったかな?と思います。

 全体的言えば、やりすぎて悪さも出てしまった作品といえます。前作をプレイしていなければ問題ありませんが、プレイしていると気になる点が多くなりやすいかもしれません。 ただ次回作である3につながるエピソードやキャラクターも出ていますので、プレイしておいた方がいいというのも事実です。 値段も安いですし、体験版が公式サイトにありますので、興味のある方はそれをやってみてください。

 続編である3もプレイしていますが、そのレビューはまた次の機会に。

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 (他に取り上げて欲しいものがあれば、そちらもお知らせください。)


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