またまた復活作業から脱線する。
われわれ北国のジープ乗りにとって、冬は長くてつらい。おまけに幌屋根とくれば、「幌車乗りの憂鬱」でも述べたとおり、乗り切るのは一苦労なのだ。
復活なったJ54は、幌もましになり、床の穴もふさいだので、以前ほどの隙間風はなくなった。しかし、やはり寒いものは寒いのだ。今回はいわば、「幌車乗りの憂鬱」復活後の巻だ。
私の場合、冬支度はほぼ決まったメニューがあって、
といったところが定番だ。
冬タイヤ
冬タイヤは、トラック用の7.00-15のスタッドレスを履いている。ダンロップのSPLT01のチューブタイプというやつだ。ジープは軽いので、乗用車用のほうが効きがいいだろうとは思うのだが、10月下旬だった復活車検のときに履いていたのでトラック用LTタイヤでなければならなかったのだ。でも良く効く。10年以上前の出始めのトラック用スタッドレスはよく滑ったが、今のはきちんと停まってくれる。2003年冬のシーズンも、まったく不安はなかった。
とはいえ、タイヤの「効き」などというのはかなり主観的で個人差が大きいので、誰もが私と同じ感想を持つかは保証の限りではないので念のため。
なお、忘れてならないことがある。
ジープのような、前後軸の回転差を吸収する「センターデフ」のない、前後直結の4WD(センターデフのある「フルタイム4WD」に対して「パートタイム4WD」などとも呼ばれる)では滑りやすい路面での、4WDでの高速走行は十分な注意が必要なのだ。
カーブでは「内輪差」が発生するのは教習所でも教えているが、そのとき、前輪よりも内側を通る後輪は、前輪よりもゆっくり回転しなければ滑らかにカーブを回れないのだ。ところがジープのようなシステムでは、構造上前後軸につながるプロペラシャフトの回転数は、常に前後同じになってしまう。つまり、4WDの状態では、直進していない限り、前後輪の間で何らかの矛盾が発生してしまっているのだ。ジープのコーションプレートに、舗装路面では4WDにしないこと、という注意書きがあったり、うっかりそんなことをすると車庫入れなどでステアリングを切ったときにブレーキがかかったようになって二進も三進も行かなくなる「タイトコーナーブレーキング」という現象が発生するのは、その矛盾が原因だ。ジープでは舗装路面で4WDに入れていると前輪の摩耗が加速されるといわれているので、前輪のほうがよりスリップしやすいのかもしれない。
そしてこの矛盾は、滑りやすい路面では、どれかのタイヤのスリップとして吸収される。タイヤがロックするわけではないので、ゆっくり走っている分には、氷の上だろうと、4WDでまったく問題はない。路面の摩擦係数に対してタイヤの能力に余裕があるからだ。しかし、滑りやすい路面でタイヤの能力に余裕のない高速走行中では、4WDでは、ごくゆるいカーブでも突然曲がれなくなってカーブを突っ切ってしまったり、スピンしてしまったりすることがあるのだ。私も経験があるし、私の友人知人も何人も経験している。前輪が滑れば曲がれなくなり、後輪が滑ればスピンする。4輪のうちどれが滑るかは運次第だ。
ジープの場合2WDにしているとFR(フロントエンジン・リアドライブの後輪駆動)なので、カーブではあらかじめ常識的な速度まで減速してさえいれば、前輪はクルマに転がされているだけなので、急ハンドルやブレーキをかけない限りはめったなことではコントロールを失わない。後輪は、アクセルを踏みすぎなければスピンすることはまずない。それを利用したコントロールさえ可能なのだ。もっとも、相当の技量が要求されるだろうが。
冬道では4WDは無敵のようなイメージがある。たしかに、発進、登坂は、キャタピラとかクローラとか呼ばれる無限軌道以外には無敵だし、直線では実に安定している。しかし、ことカーブでは2WDのほうが安全な場合があるのだ。
フルタイム4WDでも油断は禁物だ。私は、ツルツルの凍結路でフルタイム4WDで走行中、アクセルを離しただけでフロントが滑った経験がある。任意にフロントを断続できない分、ドライバーの意思に関係なく動いてしまう恐ろしさがある。それで事故を起こしても、「ハンドル操作を誤って」しまったことになり、ドライバーの責任になってしまうのだ。確かに、もっと速度が低ければ滑ることはなかっただろうと思うので、むしろ「アクセル操作を誤った」のだろうが・・・。
それはともかく、そのような危険が現実に潜んでいることは、ドライバーとして知っておかなければならない。減速などの運転操作であらかじめ回避できる可能性がある以上ドライバーの責任が大きく、また、冬道無敵というイメージで売れ筋のフルヨンに弱点があることなど、メーカーからは絶対に知らされないのだから。
ついでに言うと、ABS(アンチロックブレーキシステムの車輪ロック防止装置付きブレーキ)は、ツルツルの凍結路面では制動距離がえてして伸びる。なかなか停まれないのだ。
ABSはもともと、着陸した航空機のタイヤが、クルマなど比較にならないような強烈なブレーキングでタイヤがロックして、タイヤがバースト(破裂)してしまうのを防ぐために考えられたシステムで、いわば車輪の回転を停めないためのシステムなのだ。ブレーキという停まるためのシステムの要求とは矛盾しているが、タイヤがバーストして火災になるよりはまし、ということなのか。それでも航空機の車輪には、バーストしても発火しにくいように、燃えない窒素ガスが充填されている。
それはともかく、ABSがクルマに流用されたとき、その利点というのはなんだろうか。レーサーは別として、一般のクルマ程度の速度では、ブレーキングでタイヤを燃やすのも逆に難しいだろう。車輪が停まらないブレーキシステムのただひとつの使い道は、走ることなのだ。つまり、パニックブレーキを踏むような状況で、ハンドルをきちんと操作して、冷静に、あるいは反射的に障害を回避できる、訓練を積んだ、相当の技量と精神力のあるドライバーにとっては、ブレーキのコントロールに気を使わなくて済むだけ、役に立つこともあるシステムなのだ。たしかに、私のような素人でも、きちんと心の準備をしてその気で回避操作をすれば、停まれなくてもきちんと回避できる。しかし、パニック状況ではどうか。まさにパニックで、ハンドルを握り締めてブレーキを踏みつづけるしかできない大半の一般ドライバーにとっては、回避できる可能性もあるが衝突速度が高くなる可能性もあるという、両刃の剣なのだ。私とて、冷静な、あるいは反射的な回避ができるか、まったく自信はない。
冬道でもっとも安全なのは、冬道など走らないことだ。しかしそうもいかないので、きちんと冬タイヤを履いて、夏道とはまったく違うのだということを肝に銘じた上で、慎重に走ろうではないか。
冬用ワイパー
温暖な地方にお住まいの諸兄にはなじみがないだろうが、冬用、あるいは雪用ワイパーというものがある。
ワイパーの「弓」部分全体が薄いゴムの袋で包まれていて、「刃」はやや厚手で幅が広く、水切りの溝などがほとんどない、のっぺりしたものが付いている。
このワイパーが雪用である所以は、そのゴム袋とのっぺりした刃の形状にある。
おなじみのワイパーは、金属の弓が剥き出しで、刃は水切れを良くするための溝が刻まれた複雑な断面の、薄いものが付いている。雪の中を走ると、金属の弓に着氷し、それがどんどん成長して、弓の間に詰まってくる。やがては弓が固まったようになって、ガラスの表面に沿った曲線を維持できなくなってしまうのだ。また、水きり溝のついた刃は、水きり溝に入った水分が凍結してふくらみ、刃先を波打たせてしまう。それらが重なって発生するため、短時間でまともに拭き取れなくなってしまうのだ。そうなると前方視界の確保は至難の業だ。ウォッシャーを出しても改善はしないのだ。
冬用ワイパーの弓を包んでいるゴム袋は、ワイパーへの着氷をしにくくする防氷効果とともに、大半のクルマに用いられている曲面ガラスでは、ワイパーが立ったときには弓が伸び、ワイパーが倒れたときには弓が縮む、という伸縮運動を行う際、弓の動きによってゴム袋が変形し、着氷を割って落としてしまう、という除氷効果ももたらしている。航空機の主翼前縁に用いられている「ニューマチックディアイサ」と同じ原理だ。分厚く幅広の刃は雪の重さに対抗して拭き取り能力を保ち、のっぺりした表面は凍結による刃先の波打ちを防止する。かなりの雪でもなんとか視界を確保することができるのだ。
ジープ用の冬用ワイパー、というのも、ちゃんと存在する。ワイパーの短い50系ではディーラーなどで専用品を入手するしかないが、20、30、40系なら、普通のクルマのリアワイパー用として売られている汎用品が使える。
もっとも、ジープの場合、ガラスが見事にまっ平らなので、ゴム袋の変形による除氷効果は望めない。しかし、着氷しにくい、というだけでも、ずいぶんちがうのだ。
純正品の冬用ワイパーはかなり高価で、しかも刃先だけを交換できない。だから、私は夏用ワイパーにゴムをかぶせる加工をして、刃の入る溝を少し広げてPIAAの交換用雪用ブレードを使えるようにしてみた。交換用ブレードは、525mmのを買ってくれば、254mmのジープ用のが2本取れる。詳しい経緯は、VOJ掲示板ログ 251-300の、記事番号276から278に述べている。加工するなら、バヨネット金具を外したり付けたり、刃の溝を開いたりする際に、弓というかレール本体をひん曲げないように注意する。わずかでも曲がると拭き取りにむらが出てしまうので、クルマに取り付ける前に曲がっていないことをよく確認し、曲がっていたら修正する必要がある。
で、ためしにゴムコーティング加工したのとしてないのを両方つけて、走ってみた。結果はこのとおり↓。
運転席側が黒いゴムコーティング加工、助手席側は金属剥き出し。
これほどの差が出るとは、予想以上だった。
助手席側のワイパーについている氷は、ワイパーの動きと共にガラスを撫でてしまい、ガラスに水を塗りつけ、視界を悪化させる。しかも氷はこれほどの大きさに成長してもはがれないのだ。
運転席側にはほとんど着氷しておらず、拭き取りも良好だった。
2004年2月8日、北海道空知管内幌加内町にて。
天候は雪、気温は-15℃以下だった。
まさに、「こうかは ばつぐんだ!」だった。もちろん純正品でも、汎用品でも同じ効果はある。ただ、純正品は弓の部分の面積が大きく、高速走行でワイパーが跳ねやすくなるので要注意だ。
オーバークール対策
オーバークール対策は、ラジエターグリルのカバーと、高温型サーモスタットへの交換を行った。
詳しい試行錯誤の経緯は、VOJ掲示板ログ 201-250の、記事番号217あたりから始まって、236あたりまでが第一弾、260と275が第二弾なので、興味のある諸兄はご覧いただきたい。
それらについては、ここでは結論だけ述べよう。
グリルカバーは、定番は「幌車乗りの憂鬱」でも紹介していた、「ダンボール」をグリルとラジエターの間に挿入する、というものだ。エンジンをかけると、ファンの吸引力でダンボールはラジエターに密着する。ダンボールの前面になる側をラッカーなどで黒く塗装しておけば、雨にも強く、目立たない。
このダンボールの場合、開口面積の調整がしにくいのが欠点だ。折り曲げただけだと元に戻ってしまうし、グリルの裏に引っかかる程度に折り曲げると開け過ぎになったりする。それでも、ないよりはるかにましなのだが。
で、VOJ掲示板ログ 201-250の、記事番号218にあるように試行錯誤の実験を重ねたのだ。
最終的に落ち着いたのは、「ダンプレート」のグリルカバーだ。グリルカバーは自衛隊仕様のキルティングのものがおなじみだが、そのカバーは高価なので、同様の効果のあるものを作製した。板をグリルにベルクロで縛って固定するだけだが、上下にスライドすることで開口調整可能だ。
【たのしいグリルカバーの作り方】
サーモスタットはウチのファミリーカーである日産キャラバン(E24)のTD27エンジン用が寸法的に互換性があり、しかも88℃の寒冷地用が設定されていたので、流用した。
品番は「21200-05D10」が88℃の寒冷地用で、82℃の標準用は「21200-05D00」になる。
交換の結果については、VOJ掲示板ログ 251-300から、記事番号275のレポートを引用する。
=================引用ここから===========================================
[275]サーモスタット再び - by おとうさん@大家族---2004/01/25/09:14
J50系の水温計の目盛は、50℃、80℃、110℃、120℃となっています。目盛の間隔は等しくなく等しいかどうかわからないので、厳密には単純な 1/10読み取りはできませんないかもしれませんが、一応80-110℃の範囲では、30℃を1/10に割って、3℃まで読み取れます。以下はそれをもとにした数値ですので、決して真の値とはいえないことをあらかじめお断りしておきます。
ラジエターグリルをカバーで全閉、冷却ファンは装備状態で、気温0℃前後の場合、40-50km/h程度の低負荷走行では、いままで 80℃の目盛の針幅下(約75℃?)だったものが、83℃程度になりました。同様に、60-70km/hの定常 走行では80℃→86℃、平坦地80km/hの中高負荷走行で83℃→89℃、停車中のアイドリングで約70℃→80℃以上と、全域で水温が高く安定しています。
さらに高負荷になると、たとえば100km/hのほぼ全負荷走行では、サーモスタットの設定にかかわらず、水温は短時間で100℃以上まで上がってしまうため、グリルカバーの設定を変える必要があります。
また、ヒーターの温度はかなり高くなるのが体感できます。これはかなり効果があると言っていいでしょう。
また、TD27用のサーモスタットはボトムバイパス式で、4DR5の純正品と同じです。北国ならば、夏場でもそのまま使用できるでしょう。
今回の交換では、サーモスタットハウジングのフランジガスケットを新品にした(当然ですね)のですが、フランジからの漏れがありました。漏れはフランジを徹底的にきれいにしても、新たにガスケットを作って取り付けても、 何をしても止まらず、結局液体パッキンにして、やっと落ち着きました。ただのサーモスタット交換で、普通にやれば15分くらいの作業なのに、真冬日の寒い中、クーラントの甘ったるいにおいにまみれ、なんだかんだで2時間もかかってしまいました。たぶんハウジングがゆがんできたんですね。
=================引用ここまで(一部訂正あり)===========================================
そのようなわけで、エンジンのオーバークールの心配がなくなったばかりでなく、ヒーターの温度が体感できるほど高くなるという、うれしいおまけがついた。
暖房効率向上策
ここでのポイントは、隙間風対策、間仕切り、それに追加ダクトだ。
隙間風対策には、幌ドアにウェザーストリップを施工する。
幌ドアは車体や幌屋根との間にけっこう隙間があるはずだ。まずは、幌ドアを微妙に曲げたり伸ばしたりして、車体や幌屋根にできるだけフィットするように調整する。幌ドアは細い鉄棒の骨なので、少し力を入れれば簡単に曲げたり伸ばしたりできる。ボディの曲がり具合に合っていて、なおかつ、ロックをかけなければ弾力でややドアが開いている程度に調整すれば、サイドカーテンの骨ががたつくのを防止もできる。
次に、家庭用のドアの隙間をふさぐためのゴムを入手する。ホームセンターなどにいろいろなものがあるはずだ。スポンジのものは水を含んで凍結したりするし、耐久性も低いので適さない。ゴム製で、P型やM型の断面を持つ、粘着剤つきのものが施工しやすくてよい。
幌ドアの側は、ドアの骨に沿ってゴムを貼っていく。貼る前に、ブレーキクリーナーなどで貼る部分をよく拭いて脱脂する。ワックスなどが付いていると粘着剤が効かない。
これだけでは、おそらく幌のサイドカーテンとの間に隙間が残るはずだ。そこで、サイドカーテン側にも、カーテンの縦骨に沿ってゴムを貼る。このゴムと、ドア側のゴムは、位置的には多少ずれているはずだし、それぞれ相手側に接触していないかもしれない。しかし、隙間がラビリンス(迷路)状になるため、一応のシール効果がある。走行中はその隙間からは吸い出しになるため風が入らないし、停車中は雨や雪が吹き込まない程度の効果があるのだ。
ついでに、テールゲートも、ボディと当たる部分にゴムを貼っておくといい。両サイドだけでなく、下側も貼っておくと、走行中に風の巻き込みによるそこからの風や水の侵入を防止できる。荷台に敷いたマットが濡れずに荷台の床だけが濡れていたため、ここからかなり入ることがわかったのだ。
間仕切りは、室内容積を小さくすることと、隙間風の防止、それに断熱性の向上により、暖房効率を高める。
間仕切りの施工は、幌骨からポリエチレンの「窓張りシート」を垂らすだけだ。暖房効率重視なら前の骨から、旅行で荷台に荷物を積むとか、荷台をよく使うなら後の骨から垂らす。ロールバーから垂らすよりも、幌骨から垂らしたほうが、隙間がない分いいようだ。透明のシートなので、後方視界も確保している。後ろの骨から、幌に沿ってボディにかかるまで垂らして、幌といっしょに車外にカーテンの裾を出しておくと、停車中に幌の隙間から雪が吹き込むのをほぼシャットアウトできる。ただし、幌とカーテンの間には雪が入る。
「窓張りシート」は、北国で家屋の窓の外に張って窓の隙間風を防止して断熱性を高めるために売られている、透明ポリエチレンのシートだ。北国のホームセンターでは普通に入手できる。
私の54には、1978前半までの標準装備の幌がついている。リアカーテンやサイドカーテンの合わせ目は、すべてヒネリ留めのやつだ。1978後半からのジッパー+ベルクロのタイプに比べると、どうしても合わせ目の隙間が多く、走行中は、幌のばたつきで幌全体が 「呼吸」している状態になるため、隙間から風を吸ってしまう。ドアやキャビンをいくらシールしても、荷台側から冷気が入ってくるのだ。足元はヒーターが出ているのでまだいいのだが、首筋が寒く、特に腿の上面や、ハンドルを握る手が冷えてしまう。
カーテンを施工すると、走行中首筋に感じる冷気がほとんどなくなる。いかに後ろの隙間から外気を吸っていたかがわかる。このカーテンはそれほど大きな効果がある。
追加ダクトも、オールドジープの定番アイテムだ。
ダッシュパネルにヒーターアウトレットができる前(〜1980)の50系では、ヒーターに丸いアウトレットが余っている。ここに、 ホームセンターで売っている流し台用の排水ホースを取り付ける。
デフロスタモードにすると、そのホースから 温風がガンガン出るので、ホースを足元に向けると足元も暖かい。また、ヒーターモードではホースからゆるゆると温風が出るので、尻の後ろに差し込んだり、リアシートに導いたり、缶コーヒーに当てて保温したり、助手席の彼女に持たせて手を温めたりできるのだ。
ホースは、ホームセンターなどの水道機材売り場で、「差込型排水ホース」というようなのが売られているので、それを使う。一端が軟質塩ビのラッパ状になっていて、呼び30-50の排水口に対応できるようになっている、蛇腹ホースだ。長さは1-3mで何種類かある。
ヒーターの右側面に余っている丸いアウトレット(メクラ蓋がしてあれば外す)に、このホースをつなぐ。多少きついかもしれないが、きついときは、ホースのラッパ部を少しあぶってやわくして、押し込む。差し込んだ部分の固定は、ホースに付属する鉄のクランプよりも、電線結束用のタイラップ(ナイロンのラチェットバンド)がいい。ホームセンターなどの電気部品や工具の売り場で見つかるだろう。
ホースは、そのまま自由にしておくと、先を好きなところに動かして、任意の場所を暖めることができる。その場合、ホースは2m程度あると、可動範囲が広くなるだろう。
また、間仕切りのところで述べたような腿や手の寒さ対策としては、そのあたりを重点的に暖めるダクトを作ることができる。
まず、ホースを買ったのと同じ売り場で、そのホースに合う、Y型の分岐継手を買う。
ヒーターにつないだホースをパーキングブレーキの左側からインパネの裏側を通し、ステアリングコラムに沿って、イグニッションスイッチのあたりまで配管し、要所を車体にタイラップで固定する。ホースの先端は適当なところでカットし、Y型分岐継手を、分岐側が左右を向くようにホースにねじ込んで、これもタイラップでホースに固定する。これで、左右の腿のあたりに温風を導くことができるのだ。
腿だけでなく、ハンドルスポークの下のほうに親指を引っ掛けるような運転(だらしないが、私はよくやる)をすれば、手も温めれる。
この効果はこれまた絶大で、上の間仕切りカーテンと併用すると、気温が0度くらいでは、運転していて暑いほどになる。
吹き出し口の位置や角度は、乗員の体格に合わせて設定すべきだろう。
そのような次第で、ヒーターの温度が上がり、修理なった幌はこの改修でさらに気密性が高まったこととあいまって、ぐっと快適に冬を過ごせることとなったのだ。北国でがんばるジーパー諸兄、よろしければお試しあれ。
また、絶好の耐寒テストの機会となった、「天使の囁きを聴く集い」にも感謝したい。
2004年2月7日、士別峠 幌加内町入り口にて。
後方は幌加内町のカントリーサイン。-41.2℃という日本最低気温を記録した町だ。
イベントでは、ダイヤモンドダストを見ることができた。手作りの、楽しいイベントだった。