<補遺 小咄 あ・か・さ行>
このページは 「増補落語事典」の「補遺」の項で紹介されている小咄です 。
※赤文字の見出しは新たに追加した演題
※音源情報は一部省略
合図の太鼓
<おもな演者> ?
性に無知な殿様が主役のバレ小咄。
演者の「?」については「追加情報」ページを。
あとの二人
<おもな演者>米朝
長屋の女房たちが話す不倫のお噂。
CD「桂米朝 艶笑上方落語 いろはにほへと」(1988、東芝EMI)所収。
油屋猫
<おもな演者>米朝
米朝が「こんな他愛もない小咄もある」とたびたび高座で紹介している。
甘酒屋
<おもな演者>志ん生ほか
『時そば』の小咄版のような内容。
志ん生が『松山鏡』のマクラでやっていた。
雨 風
<おもな演者>枝雀
酒が雨なら、餅は風。『蛇含草』の中でクスグリとして使われる。
按摩はんご苦労
<おもな演者>多数
『真田小僧』の前半の山場。タイトルが大阪弁なのは、元が上方の小咄だから。
猪飼野
<おもな演者>米朝
大阪・猪飼野の畑に出没する女のバレ小咄。
「桂米朝 艶笑上方落語 いろはにほへと」所収。
行き倒れ覚え帳
<おもな演者>円生
円生がアポロンのテープ『双蝶々・下』(1983)でマクラに使っていた。
居 候
<おもな演者>円菊
古今亭円菊の艶笑小咄レコード「円菊の艶ばなし」(1978、CBSソニー)に収録。
1995年、CDとして同社(ソニーに社名変更)から再発売された。
一円のお盆
<おもな演者>円生
五人廻し どことなく植田まさし氏の4コマに通じる世界。
円生が『五人廻し』のマクラで演じた。
いつ受ける
<おもな演者>円生
円生が『骨違い』のマクラでやった、不思議な味わいの小咄。
井戸に水
<おもな演者>志ん生/米朝
志ん生の『羽衣の松』のマクラに出てくる。
その他、5小さんがCD「スーパー落語1500 傑作小ばなし55話」(1994、ビクター)でやった。
田舎芝居(2)
<おもな演者>五郎兵衛(五郎)
小咄というより、露の五郎が芝居小咄集の一部としてやった。
CD「落語仮名手本忠臣蔵」(1997、クラウン)の『おちゃるか(落ちゃるか)』の中にある。
犬の足
<おもな演者>五郎兵衛(五郎)
五郎兵衛がかつてTBSラジオ「ビアホール名人会」で『浮世床』をやった際、
クスグリとして入れていた。
いらちの丁稚
<おもな演者>多数
粗忽噺のマクラでおなじみ、「何も変わった事はありませんでした」の小咄。
鰯干し(干しもの)
<おもな演者>談志/4春団治(春之輔)
男は丸干し、女は割干し(もしくは開き)…というバレ小咄。
CD集「談志が選んだ艶噺し」で、談志が『四季の小噺し』の中でやっている。
淫売買いや(せんずり/千擦)
<おもな演者>3金馬/米朝
3金馬が『目黒のさんま』のマクラで、世情に疎いお姫様の小咄としてやった。
淫売五人
<おもな演者>米朝
米朝が『冬の遊び』のマクラにしている。こちらはバレではなくただのシャレ。
印 籠
<おもな演者>8柳枝/1福助
落語の考えオチを紹介する際に使われる、分かりづらい小咄。
1福助が『やかん』のマクラでやっていた。
氏神様(逢いびき)
<おもな演者>米朝
神社の境内で逢いびきをする、気の利いたバレ小咄。
『逢いびき』の題でCD「桂米朝 艶笑上方落語 いろはにほへと」に収録。
鰻のかざ
<おもな演者>多数
ケチ噺のマクラで一般的にもおなじみ。よく聴くと小咄として質が高い。
易の殿様
<おもな演者>円生
円生が『蕎麦の殿様』のマクラに使った小咄。
絵手紙(2)
<おもな演者>?
無筆の男が仲間からの誘いに絵手紙で返事するバレ小咄。
演者の「?」については「追加情報」ページを。
海老床
<おもな演者>多数
『浮世床』などのマクラに使う、床屋の看板をめぐる口論の小咄。
縁の下の間男
<おもな演者>2円歌/談志
2円歌が新作落語『香典返し』のマクラに使っていたバレ小咄。
談志が『四季の小噺し』の中でやっていた。
扇
<おもな演者>多数
ケチ噺のマクラとして有名。扇を孫子の代まで使う方法。
大長兵衛芝居(あと一合/一合残ってた)
<おもな演者>10文治/他多数
バレ小咄。タイトルは「おちょべえしばい」と読む。
上方では鳴り物入り芝居仕立ての演出でやることがある。
東京では小咄で、10文治がCD「スーパー落語1500 傑作小ばなし55話」で口演。
お父さんの土産(暇乞い)
<おもな演者>5今輔/円菊
5今輔が『成田土産』(「増補落語事典」には未掲載)という艶笑落語と一緒に口演したバレ小咄。
鬼笑い
<おもな演者>米朝/他多数
上方の長編落語『地獄八景亡者戯』のクライマックス前のクスグリ。
東京の『地獄めぐり』では、ここでサゲにする場合がある。
帯 屋
<おもな演者>米朝
浄瑠璃「帯屋」にまつわる上方小咄。
米朝のCD「米朝珍品集」3巻の『珍品小咄集』の中で演じられている。
親子のつんぼ
<おもな演者>米朝/他多数
米朝が『一文笛』のマクラで、『三ぼう小咄』の一つとして紹介している。
「わたしゃまた横丁の源兵衛さんかと思った」でおなじみ。
親同士
<おもな演者>多数
与太郎噺の導入部のクスグリ。至極ごもっとも。
書いたものが物言う
<おもな演者>米朝
米朝が『いもりの黒焼』のマクラなどでやっていた、昔の慣用句を元にした小咄。
柿栗松茸
<おもな演者>円生
円生が『庖丁』を口演した音源の中で、
マクラに『柿栗松茸』『米櫃松茸』『老子(ものいう赤子)』と
松茸小咄を続けて三題やっている。
隠れ蓑(宙のり)
<おもな演者>談志
不倫ネタの小咄。「増補落語事典」では隠れ蓑だが、談志は消える薬でやった。
CD集「談志が選んだ艶噺し」で、談志が『四季の小噺し』の中で演じている。
懸け橋
<おもな演者>米朝/他多数
大きなイチモツネタの中では比較的よく演じられるバレ小咄。
CD「桂米朝 艶笑上方落語 いろはにほへと」所収。
傘の化け物(1)(破れ傘)
<おもな演者>五郎兵衛(五郎)
傘の化物が関わる艶笑小咄。五郎兵衛(前名・露乃五郎)がじっくり聴かせる。
CD「上方艶笑落語集ライヴ」10巻(1996、コロムビア)収録の『上方艶笑小咄集』の中で演じる。
「増補落語事典」で紹介されている同題同サゲのバレ噺(2)は音源ナシ。
火事の引越し
<おもな演者>多数
火事の噺のマクラに使われる。火事の家族が引っ越すと…。
火事の火の粉
<おもな演者>多数
こちらは火事の小咄でなく、ケチの心情を現したケチ小咄。
かすがい
<おもな演者>4志ん好
艶笑落語が得意だった4古今亭志ん好の持ちネタ。
「定本艶笑落語」(立風書房)での取材用録音テープが、マニア間で出回っている。
鰹 節
<おもな演者>川柳
1994年発売のVHSビデオ「艶笑バレ噺大全集」3巻(ビクター)の中で川柳川柳がやったバレ小咄。
葛根湯医者
<おもな演者>枝雀/他多数
藪医者が登場する落語のマクラとして広く演じられる小咄。
蚊梯子
<おもな演者>多数
他の落語にも出てきそうだが、意外と『二十四孝』だけで使われているクスグリ。
壁松茸
<おもな演者>多数
壁に書かれた松茸の落書きを消そうとするバレ小咄。
艶笑落語のマクラや、市販の艶笑小咄集でよく使われる。
神信心
<おもな演者>5文枝(小文枝)
かわらけの娘に毛が生えますように…と母親が神信心する噺。
5文枝の高座が通販テープ集「秘蔵版・上方艶笑落語」に収録、
2013年にケイエスクリエイトからCDで再発売された。
雷の褌
<おもな演者>彦六(8正蔵)/他多数
彦六が『あたま山』のマクラに使っていた小咄。紛らわしいがバレではない。
雷の弁当
<おもな演者>多数
こちらはバレ小咄。雷の弁当のお重は、上がヘソでその下は…。
雷夕立(日と月の下界旅行)
<おもな演者>彦六(8正蔵)/他多数
太陽と月と雷が旅の宿に泊まって…というおなじみのマクラ小咄。
別題にある昔の冒険小説風のタイトルは、明治の曾呂利新左衛門のSP復刻音源の題名。
蚊屋は
<おもな演者>米朝
蚊の羽音が会話になるという、米朝がよくやっていた一口小咄。
通いとんび
<おもな演者>米朝
子供の使いが可愛らしい小咄。CD「米朝珍品集」3巻の『珍品小咄集』にある。
雁 首
<おもな演者>3金馬
項目の読みはガンクビ。
3金馬が『目黒のさんま』のマクラで、世情に疎いお姫様の小咄としてやった。
木具屋丁稚
<おもな演者>米朝
CD「米朝珍品集」3巻の『珍品小咄集』にある、お店の聞き違い小咄。
狐と馬
<おもな演者>5小さん/他多数
馬が出てくるバレ小咄。お決まりのイチモツネタ。
CD「スーパー落語1500 傑作小ばなし55話」で5小さんがやっている。
禁 酒
<おもな演者>多数
酒好きが「1年禁酒して願掛けをした」という、酒ネタの定番のマクラ小咄。
クイ違い(かげかくれ)
<おもな演者>?
大きいモノ同士の男女が出会う、なかなか強烈なバレ小咄。
CD「桂米朝 艶笑上方落語 いろはにほへと」には『かげかくれ』の題で収録。
「定本艶笑落語」(立風書房)にはさらに詳細な速記が載っている。
演者の「?」については「追加情報」ページを。
ぐいっ
<おもな演者>
お小姓好きな殿様のバレ小咄。
CD集「上方お色気噺 秘蔵版上方艶笑落語」(2012、ケイエスクリエイト)で、
笑福亭松枝が口演した地噺『大奥物語』の中で、クスグリとして使っていた。
口無し
<おもな演者>米朝
米朝が『松医者』のマクラでやった、しゃべる植物の小咄。
首筋の虱
<おもな演者>5小さん
そそっかしい小僧が、主人の首筋の虱を大声で指摘してしまう小咄。
5小さんが演じると実によくハマって可笑しい。
CD「スーパー落語1500 傑作小ばなし55話」に収録。
国定忠治
<おもな演者>五郎兵衛(五郎)
月にまつわるバレ小咄のうちの一つ。国定忠治の名場面パロディ。
CD「廓噺・艶噺集成」では五郎兵衛が『名月』の中でやっている。
熊公の顔
<おもな演者>10文治/他多数
長屋ののんきな艶笑ネタ。10文治がやるとピッタリ。
CD「スーパー落語1500 傑作小ばなし55話」に収録。
鍬 烏
<おもな演者>米朝
米朝が『べかこ』のマクラで演じた、鳥の鳴き声の聞き違い小咄。
ツッコんでサゲるのが上方らしい。
鍬盗人
<おもな演者>志ん生/他多数
志ん生の『和歌三神』のマクラに出てくる小咄。米朝は『魚の狂句』のマクラでやった。
下女の屁
<おもな演者>10馬生
昔の主人と下女の関係が如実にわかる艶笑小咄。
10馬生が『鈴振り』のマクラで演じている。
下馬札
<おもな演者>円生
何かに凝ると何でも違うように捉えてしまうという小咄。
円生がCD集「古典落語の巨匠たち 第三期」(2000、セブンエイト)の『蚊いくさ』のマクラにしている。
高野雪隠
<おもな演者>米朝
CD集「桂米朝上方落語大全集 第一期」の『地獄八景亡者戯』のマクラに出てくる小咄。
これ自体は『地獄~』と何の接点も無く、共通点は排泄シーンがある点だけ。
九日十日
<おもな演者>8柳枝/1福助
落語の「トントンオチ」の例に使われることが多い小咄。
8柳枝は『山号寺号』、1福助は『やかん』のマクラで使っていた。
乞食の産
<おもな演者>多数
『たがや』に出てくる、妊婦の女乞食が人混みに押される場面のクスグリ。
子造り(早合点)
<おもな演者>?
『合図の太鼓』同様、殿様の性的無知をからかったバレネタ。
演者の「?」については「追加情報」ページを。
米搗き
<おもな演者>馬風
馬風がCD「談志が選んだ艶噺し」3巻の『欣弥め』の中で演じているバレ小咄。
米櫃松茸(のりとふんどし)
<おもな演者>円生
わりと珍しい松茸小咄。円生が松茸小咄をまとめて演じる時にやった。
CD「スーパー落語1500 傑作小ばなし55話」には10馬生の口演がある。
献 立
<おもな演者>彦六(8正蔵)
CD集「古典落語の巨匠たち 第二期」(2000、ゲオ販売)所収『大名の噂』の中で、
大名小咄として構成を変えて口演している。
悟りつんぼ
<おもな演者>米朝
「桂米朝上方落語大全集」1巻の『愛宕山』のマクラとして収録。
本編とは関連が無く、レコード・CDにはあったがテープではカットされていた。
三軒長屋(2)
<おもな演者>川柳
『三軒長屋』の裏バージョンではなく、別話のバレ小咄。
1994年発売のVHSビデオ「艶笑バレ噺大全集」3巻(ビクター)で川柳川柳がやっていた。
三人馬鹿
<おもな演者>多数
兄弟と親父がそろって馬鹿という、与太郎小咄のマクラ。
近年は「1年は13ヶ月」という小咄もよく聴く。
三人娘
<おもな演者>5柳朝
母と三人娘だけの女家族の家に男の来客があったら…というバレ小咄。
5柳朝の口演がCD「スーパー落語1500 傑作小ばなし55話」にある。
三拍子
<おもな演者>米朝
CD「桂米朝 艶笑上方落語 続いろはにほへと」所収のバレ小咄。
場面を想像すると、バレというよりマンガの世界である。
地震茶漬(地 震)
<おもな演者>円菊
古今亭円菊の艶笑小咄レコード「円菊の艶ばなし」(1978、CBSソニー)に
『地震』のタイトルで収録された、ライトな艶笑小咄。
仕付け陰門
<おもな演者>4染丸(染二)
世話になっている隠居から処女をリクエストされた夫婦の作戦。
4染丸(染二)の高座が、エヌジーシーの通販テープ集「上方艶笑落語」に収録。
始末の金槌
<おもな演者>多数
「カネの釘打つのか、竹の釘打つのか」という、ケチ噺のマクラとしてポピュラーな小咄。
釈迦と阿弥陀
<おもな演者>10文治
阿弥陀のヒゲを釈迦が剃る小咄。
10文治が『お血脈』の中でクスグリとして使っていた。
順礼陰門
<おもな演者>1馬の助
バレ小咄。ただし1馬の助も他の演者も「順礼」でなく「乞食」でやる。
助 言
<おもな演者>5小さん
5小さんが『碁どろ』のマクラで使った小咄。 武骨な展開が小さんに似合う。
新内たばこ
<おもな演者>円生
音曲小咄。円生がCD「円生百席」の『鶉衣』のマクラでやっていた。
助 平
<おもな演者>小円遊
バレ小咄。三遊亭小円遊が艶笑小咄集テープの中でやっている。
このテープは「追加情報」のページで触れている演者不明のテープ同様
弘和企画という会社が出した「落語名人選 現代艶笑落語」というタイトル。
その後、音源が別の会社を転々として再発売されているようだ。
雀の巣
<おもな演者>5文枝(小文枝)
前をはだけて昼寝している女房を見て、油売りが…というきわどいバレ噺。
5文枝(小文枝)の高座がテープ集「秘蔵版・上方艶笑落語」に収録され、
のちに2013年にケイエスクリエイトからCDで再発売された。
粗忽の火事
<おもな演者>5小さん/他多数
粗忽噺のマクラ。8橘家円蔵のアレンジでは、半鐘に頭を入れたまま叩いちゃう。