<補遺 小咄 た・な・は・ま・や行>
このページは 「増補落語事典」の「補遺」の項で紹介されている小咄です 。

 ※赤文字の見出しは新たに追加した演題
 ※音源情報は一部省略



大仏の背くらべ
<おもな演者>米朝/他多数
米朝が「桂米朝上方落語大全集」の『鹿政談』のマクラで、
奈良にまつわるマクラをしゃべる時に出てくる、カネ尺と鯨尺の小咄。

大名の名月
<おもな演者>多数
殿様が家臣に「お月様は出たか?」と質問する大名小咄。殿様噺の定番マクラ。

畳の毛羽
<おもな演者>円生/他多数
畳の毛羽をむしる癖の人の小咄。『小言幸兵衛』のマクラなどで使われる。

畳 鰯(新追加)
<おもな演者>5円楽
「商売のコツは、品切れがあれば代わりの似たものを勧める」と教わる小咄。
5円楽がよくやっていた「ポマードの代わりにゴム糊を…」の小咄は、
この小咄のアレンジと解釈して、新たに追加した。

たてかけ
<おもな演者>3金馬
女中と浮気をする主人のバレ小咄。
3金馬がポニーキャニオン発売の艶笑小咄集の中でやった。
サゲのあと3金馬は、「たてかけとけ、てぇのはありません」とセルフツッコミを入れていた。

棚という字(1)(棚丁稚)
<おもな演者>米朝
指で宙に字を書いて教わった時の習慣にまつわる小咄。
米朝のCD「米朝珍品集」3巻の『珍品小咄集』の中で演じられている。

たなという字(2)
<おもな演者>米朝
同題(1)と続けて、『珍品小咄集』の中で米朝が演じている小咄。
他にも『質屋蔵』など、質屋の出てくる落語のマクラで時々披露していた。

箪 司
<おもな演者>多数
『真田小僧』など子供の噺のマクラとしておなじみ。

反物五反の裂れ(反物五反布)
<おもな演者>1春団治
読み方は「たんものごたんのきれ」で、芝居の『山門五三の桐』のもじり。
無筆の男が訳知りに芝居のことを語る。1春団治が『浮世床』の前半でやった。
CD「春団治三代 初代桂春団治」4巻(1999、クラウン)に収録されている。

長命丸屋(四ツ目屋で)
<おもな演者>米朝
張形を売る店で、客に店頭試用されちゃうバレ小咄。
CD「桂米朝 艶笑上方落語 続いろはにほへと」所収。

壷の病気
<おもな演者>米朝
米朝が『壺算』などのマクラでしゃべっていた、上方の一分線香即席噺。

鶴 亀(年の始め)
<おもな演者>米朝
尉(じょう)と姥(うば)の人形というのが、現代では通じない。
CD「桂米朝 艶笑上方落語 続いろはにほへと」に『年の始め』の題で収録。
志ん生のCDにある『鶴亀』は別話で、『御慶』の前半。

剣のお産(とぎゃあいい)
<おもな演者>彦六(8正蔵)
彦六がやった珍しい小咄。CD「廓噺・艶噺集成」に収録。

つんぼの川渡り(川越しのつんぼ)
<おもな演者>米朝
米朝が『一文笛』のマクラで、『三ぼう小咄』の一つとしてやった。

手 打(手打ち)
<おもな演者>7円蔵
お姫様の出てくるバレ小咄は少ないが、そのうちの一つ。
レコード集「落語名演大全集」(国際情報社)の中にある7円蔵『艶笑小噺』の中に、
『真桑瓜』『天狗の鼻(1)』などと合わせて収録された。

手遅れ医者
<おもな演者>多数
『葛根湯医者』などと合わせて、医者噺のマクラでよく演じられる。

丁稚部屋
<おもな演者>米朝
米朝のCD「米朝珍品集」3巻の『珍品小咄集』の中だけでしか聴いたことがない。

天狗の鼻(1)
<おもな演者>5小さん/7円蔵/他多数
同題の(2)より色っぽさで勝る、天狗のバレ小咄。
レコード集「落語名演大全集」(国際情報社)にある7円蔵『艶笑小噺』の中で、
『手打』『真桑瓜』などと合わせて演じていた。

天狗の鼻(2)
<おもな演者>5小さん/他多数
天狗が吉原をひやかす小咄。
5小さんは上の(1)と合わせてCD「スーパー落語1500 傑作小ばなし55話」でやっている。

道具屋(2)(骨とう屋)
<おもな演者>1馬の助/米朝
古道具屋の主人が女中に夜這いをかけるバレネタ
1馬の助の口演がCD「スーパー落語1500 傑作小ばなし55話」にある。

吃のすっぽん屋
吃の道具屋
吃の豆まき

<おもな演者>米朝
吃音者が登場する昔の小咄3つ。
米朝がCD「米朝珍品集」1巻の中で、『吃るはなし三題』のタイトルでまとめて演じている。






長 芋
<おもな演者>彦六(8正蔵)
CD集「古典落語の巨匠たち 第二期」(2000、ゲオ販売)所収『大名の噂』の中で、
彦六が『献立』などの大名小咄と合わせて収録した。

茄子の夢
<おもな演者>多数
SFレベルでスケールの大きな夢の小咄。夢の噺のマクラなどで使われる。

仁 王
<おもな演者>多数
泥棒噺の定番マクラ小咄。8文楽の口調が印象に残る。

握り飯
<おもな演者>川柳
新婚の好き者・留公が主役のバレ小咄。
1994年発売のVHSビデオ「艶笑バレ噺大全集」3巻(ビクター)で川柳川柳がやった。

二本の指(指は知っていた)
<おもな演者>五郎兵衛(五郎)
バレ小咄。五郎兵衛がCD収録時につけた『指は知っていた』の別題はいささかポルノ風。
CD「上方艶笑落語集ライヴ」10巻(1996、コロムビア)の『上方艶笑小咄集』の中で演じている。

蚤の歌(のみの活惚れ)
<おもな演者>鳳楽
蚤が擬人化された珍しい小咄。
NHKラジオ「真打ち競演」で三遊亭鳳楽が『代り目』を口演した際、
亭主が酔って歌った文句の中に、この小咄のストーリーが使われていた。
一席物として、三遊亭吉窓や柳亭こみちらが演じるのを聴いたことがある。






羽子板丁稚(羽根つき丁稚)
<おもな演者>談志/米朝
CD集「談志が選んだ艶噺し」の中で談志が『四季の小噺し』の冒頭にしゃべる小咄。

橋の下の乞食
<おもな演者>2円歌
2円歌しかやらない『壼』のマクラで演じられた小咄。当然音源も2円歌だけ。

張 形
<おもな演者>米朝
後家が質屋へ張形を入れに行くバレ小咄。
CD「桂米朝 艶笑上方落語 続いろはにほへと」所収。

火いじり
<おもな演者>5小さん
火鉢の火を火箸でいじる癖のある男の小咄。
5小さんの口演がCD「スーパー落語1500 傑作小ばなし55話」に収録。

膝と手
<おもな演者>小円遊
デマ情報を吹き込まれて初夜に臨んだ夫婦のバレ小咄。
『助平』と同じく、弘和企画という会社の小円遊の現代艶笑小咄集に収録。

百番番頭
<おもな演者>8文楽
8文楽が『やかん泥』のマクラで演じた泥棒小咄。
CD「立川談志プレミアム・ベスト」の『初席の思い出』の中で、
談志が8文楽の物真似でこの小咄をやっていた。

筆屋嬶
<おもな演者>5小さん
5小さんがやった、タイトルがネタバレの艶笑小咄。
CD「スーパー落語1500 傑作小ばなし55話」に収録。

塀の子
<おもな演者>志ん好
4古今亭志ん好がやったバレ小咄。
「定本艶笑落語」(立風書房)の取材用録音テープが、マニア間で出回っている。

へぼの助言
<おもな演者>6柳橋/他多数
『碁どろ』や『笠碁』など、囲碁ネタのマクラに使われる。
「増補落語事典」のサゲと違い、近年は「ほら落っこちた」でサゲる人が多い。

反古染
<おもな演者>3文我/他多数
『湯巻ほめ(湯文字誉め)』など古風な艶笑噺のマクラに使われる小咄。
他にもいろいろな艶笑小咄集の音源に収録されている。

北国小便
<おもな演者>米朝
米朝が「桂米朝上方落語大全集」の『地獄八景亡者戯』のマクラで演じている。
排泄つながりというだけで、『地獄~』とは直接関係が無い。

骨 皮
<おもな演者>円生/他多数
「骨は骨、皮…いや紙は紙」という、東京の『金明竹』の中のクスグリ。






真桑瓜
<おもな演者>3円歌(歌奴)
『茄子娘』の小咄版。レコード集「落語名演大全集」(国際情報社)の
『艶笑小噺』の中で、7円蔵が『手打』『天狗の鼻(1)』などと合わせて演じている。

松茸屋
<おもな演者>談志/3円歌(歌奴)
サゲの「ツッコミ」とは「均一価格」のこと。
談志はCD集「談志が選んだ艶噺し」で、『四季の小噺し』の中でやった。

豆根問
<おもな演者>1馬の助
マメを女性に例えた根問物の小咄。
1馬の助の口演がCD「スーパー落語1500 傑作小ばなし55話」にある。

まらの陰
<おもな演者>談志
談志がCD集「談志百席」の『欣弥め(金弥め)』の中で
「小さん師匠はお座敷でこんな噺をやっていた」と再現している。

水掛問答
<おもな演者>円生/他多数
『蒟蒻問答』のマクラで出てくる素人同士の問答ごっこ。バカバカしくて可笑しい。

結びの神
<おもな演者>1森乃福郎
「なぜ人間は一年中する生き物になったか」の種明かし。
テープ集「秘蔵版・上方艶笑落語」で1福郎が
『元祖中国艶笑揚子江』と題した高座の中で、小咄として演じた。
2013年にケイエスクリエイトからCDとして再発売。

村芝居(2)
<おもな演者>米朝
昔の村芝居における女性客のエピソード小咄。
CD「桂米朝 艶笑上方落語 続いろはにほへと」の『寄席のはなし』の中で出てくる。
ただし「寄席」ではなく芝居の「客席」の小咄を集めたトラックなので、誤記と思われる。

飯たきの殿様
<おもな演者>多数
殿様が米のとぎ方を知っていると威張れたというのは、
それだけ世俗離れしているという証拠。大名噺のマクラによく使われる。

めす馬
<おもな演者>米朝
CD「桂米朝 艶笑上方落語 いろはにほへと」に収録されている、
なんだかものすごいバレ小咄。

百夜通い
<おもな演者>5小さん
5小さんがCD「スーパー落語1500 傑作小ばなし55話」の中で口演。
サゲに「アルバイト」なんて英語を使うのは、恐らく「日雇い」という表現を避けたため。






焼物取り
<おもな演者>米朝
CD「米朝珍品集」3巻の『珍品小咄集』の中にある小咄の一つ。
生活感がある子供のネタで、他の落語のワンシーンに出てきそうだが、
米朝のこのCD以外で聴いたことが無い。

山は火事
<おもな演者>多数
米朝が『阿弥陀池』のマクラにしていた小咄。
演者によって返答する人物が、与太郎と無愛想な権助との2種類ある。

雪 猫
<おもな演者>円生
子供の小咄。円生は『真田小僧』のマクラで、猫を兎に変えてやった。

由良之助(大星由良之助)
<おもな演者>米朝
「忠臣蔵」四段目の名文句をもじったバレ小咄。
CD「桂米朝 艶笑上方落語 続いろはにほへと」所収。

楊弓陰門
<おもな演者>?
亭主が女房の間男を見届けようとして、逆にノッてしまう珍しいバレ小咄。
演者の「?」については「追加情報」ページを。

養 生(お言葉どうり)
<おもな演者>円菊
フランス小咄のようなソフトな艶笑小咄。
古今亭円菊の艶笑小咄レコード「円菊の艶ばなし」(1978、CBSソニー)に収録。
1995年、CDとして同社(ソニーに社名変更)から再発売された。

四ツ目屋
<おもな演者>?
四ツ目屋と張形が出てくるバレ小咄の中では珍しい内容。
「増補落語事典」のあらすじには与太郎が出てくる。
演者の「?」については「追加情報」ページを。

淀川の鯉
<おもな演者>米朝
川の鯉がしゃべる上方の小咄。米朝が『鯉舟』などのマクラに使った。

嫁の力
<おもな演者>松枝
父と息子が土瓶を使ってイチモツの力比べをするバレ小咄。
CD集「上方お色気噺 秘蔵版上方艶笑落語」で
笑福亭松枝が口演した地噺『大奥物語』に、クスグリとして出てきた。



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