「なんだ、くだらない駄洒落じゃないか。」
世の中にはあなたの理解を超える物事が6つ存在する。それについての一番適切な対処法は「気にしないこと」だ。
少年は言った。
「うそつき!そんな物ここには入って無いじゃないか。」
ブドウは答えた。
「ははは、間違いは誰にだってあるものさ。君だってそうだろう?」
少年は言い返す。
「僕は知らないだけだい。間違えてるんじゃないやい。」
巨人はその昔天と地を引き裂いて、我らの生きる場所を作られた。巨人の毛は林になり、その息吹は風となり、その体は山となった。
その日一千年の時を経てよみがえった巨人は、小さな新しき生命のために小さな香台を用意された。天空からそれを見ていた女神の一人は雲の原に咲く花々を集めて香を作って与えた。与えられた小さな新しき生命は喜んで食べた。
鍋は少年の手を切った。少年はびっくりして言った。
「なんてことするんだ!?」
鍋は言った。
「切れるとは思わなかった。」
「切れるとは思わなかった?!切れるとは思わなかっただって?僕の手は現にこうして切れているじゃないか。」
「じゃあ、よかった。」
「よかっただって?冗談じゃないよ。包丁に切られるかもしれないとは思っていたけど、おまえに切られるとは思わなかった。」
鍋はさらりと言ってのけた。
「意外だったね。」
少年はこの鍋とは手を切ろうかと思ったが、それはそれで困ることになるのが目に見えているのでどうしようもないのだった。
「おまえは俺を軽蔑しているのだろう。」
「とんでもございません。」
「じゃあ尊敬しているのか。」
「そうは言い切れません」
「ではやはり軽蔑しているのだ。おまえの目がそういっている。」
「よくご覧ください。私の右の目は軽蔑のまなざしで、左の目は尊敬のまなざしで見ているのです。」
睡眠薬を盛られたかのような眠気の中で、男は未だに気を失わないでいた。どうしてこんなに眠いのか、彼は知らないでいるかのようだ。
突然時計は叫んだ。
「時間を有効に使いましょう!時間を有効に使いましょう!時間を有効に使いましょう!」
彼は「うるせえなあ100円のくせしやがって。」と言って時計を殴り倒すと、時計は動かなくなった。彼はまた船をこいだ。
例えば、それは他の人が見たらとても馬鹿げたことなのかもしれない。確かにそれは一般的な考え方とは一致しないかもしれない。だけども、それはその人にとって貴重で神聖で欠かすべからざるとても重要な物で、しかしながら、それはあなたにとって大変不愉快で気違いじみていて不可解であったとして、逆にそれは僕にとってはありふれた出来事で大した感動も覚えず、ただ一瞥するだけの些細なことだとしたらどうだろう。
つまり、僕が問題にしたいのは、「こんな考え方があってもいいじゃないか。」と言う考え方が一般的だとしたら、「こんな考え方はあってはならない。」と言う考え方も一般的であると言うことだ。
「つまりさ。人はみんな知らないうちに他人からの影響を受けてる。その人がいなかったら、今と同じになっている可能性は無いって人がたくさんいるんだよ。だってその人から影響を受けてこんなになってしまったんだから。本当なんだぜ。これは。試しに自分の口癖とか物の言い方を思い出してみなよ。しばらく前はそんな風に言って無かったんじゃないか?そうだろ?君はそれを自分で思いついたかのように思っていたかもしれないけど。本当はそうじゃないんだ。別にパクリだとか何だとか言いたいんじゃなくてね。朱に交わればってやつさ。具体的に言うと世の中がみんな侍魂になるんじゃないかとかそういうこと。」
例えば、一つの存在を説明するのに一つの言葉を持ってしようとすれば、いくつかの情報を削らねばならんね。その情報を選ぶのは君だ。つまり、その存在が君にとって何であるかによって、その言葉は決まるのだ。そしてまた、君がその存在からどれだけの情報を得たかによっても、それは変わってくる。
友よ。君の言うことが全く正しいと仮定して、僕はこう言おう。『君はほんの一部しか見ていない。』と。そして同じ言葉を返してくれ。
トラ猫は言った。
「この胸の中に何が詰まってるか、君には解らないんだろ?」
黒猫は答えた。
「さあね。」
トラ猫は黒猫から目を背けて、遠くの方を眺める振りをしながら言った。
「絶望だよ。」
黒猫は言う。
「ため息だろ?」
トラ猫は毛を逆立てて言った。
「ため息じゃないよ!この胸に詰まっているのは。途方もない絶望なんだ!」
こんどは黒猫が尋ねる。
「絶望とため息の違いを?」
「?」
突然の質問にトラ猫の毛は見る間に倒れていった。黒猫は続けた。
「ため息は口から出るけど。絶望はそうじゃない。」
「どうなるのさ?」
「尻から出るんだ。」
トラ猫はため息をついて立ち上がると、その場をあとにした。
ジョー・ジャンタ200スーパー・クロマチック危険感知サングラスをかけて、男は語った。
「例えば、『これをやらなきゃいけない。』という理屈ほど筋の通らない物は無いのさ。つまりさ、何だって天秤の上に乗っかるのさ。例えば『報告書を書かなきゃいけない』なんて言わなきゃいけない理由は何か。そういうことなんだよ。」
サングラスはあらゆる光を吸収して黒く沈んでいる。
男は言った。
「ああ、僕は君のことを考えるだけでこの胸がいっぱいになるんだ。」
女は言った。
「私はあなたのことを考えるだけでおなかいっぱいになるの。」
∀ε:∃Nε:∀n>Nε,|An-α|<ε
こんな物が重要であると同様に……。
どうにかして何とかしたいときに、けれどもなかなかどうにもならないときに、ふっと上を向いてみるといい。いや、ちがう。外でだ。星空が見えたり、暗くてよく見えない場合は部屋に戻って寝た方がいい。青白い空やまぶしい太陽が見えるときは、日が落ちるまでに何とかした方がいい。視線の先から放射状に広がる線が見えるときは、じっと凝視しないで早いところ部屋に戻ってバスタオルで体を拭いた方がいい。それ以外の何か別のものが見えるときは首の角度を工夫した方がいい。
それは小さな本屋だった。少年は探しているものを店員に尋ねるのだった。
「あのぅ。」
「いらっしゃいませ。どういったご用件でしょうか。」
「そのぅ。えーっと。『鼻行類』ありますか?」
「え?」
「すいません。間違えました。『鼻行類』いりますか?」
「いりません。」
「ああ、いや、そうじゃなくて。『鼻行類』いますか?」
「いません。」
「また間違えた。ええとだから……。あ、い、う、う!売りますか?」
「何をでしょう?」
「だから、その、つまり、アレです。その。」
「そういったものは扱っておりません。」
「そうですか。」
精巧に作られた歯車はよいものだ。しかし、それが精巧であるが故に、たった一つの歯が欠けただけで大きな過ちを起こすことがある。一つの歯車の沈黙はすべての沈黙を意味するのだ。
そんなとき、あなたはこびとたちがノコギリエイに乗ってやってくるのを待っていてはいけない。あなたは自らの足でこびとたちを探しに行かねばならない。あなたが探しに行っている間に、こびとたちがそれを片づけてくれるから。
あなたの言葉はあなたのとらえた世界から生まれる。あなたの言葉はあなたのとらえた世界をほんの少しだけ表しているかもしれません。そしてまたそれはあなたのとらえた世界を表現するよい代表ととらえられることでしょう。
仮にあなたが何も勘違いをされたくないとしたら何もしゃべらない方を選ぶでしょうか。それとも言葉の始めから終わりまでを細かく説明する方を選ぶでしょうか。
それでもし沈黙が何らかの答えと解されるような場合や何かをしゃべらなければあなたがそこに存在していないように見えるときあなたはどうするでしょうか。
恐ろしいことに我が家に黒くて平べったくてすべすべしてる方が現れた。僕は言った。
「やあ。」
黒くて平べったくてすべすべしてる方(以下あれ)は言った。
「よう。」
僕は言った。
「『よう。』じゃないよ!なんでこんなところにいるんだ!」
あれは返す。
「俺の勝手じゃないか。ここには飯もあるし。居心地は良い。」
「お前がいると僕は居心地が良くないんだよ。」
「そうか?まあ勝手にするさ。」
僕は完全に頭に来た。
「僕だって勝手にやるさ。」
そう言って僕は近くにあった紙を丸めて握り締めた。いまさらお腹を見せたって遅いぞ。僕は狼よりも残酷なのだ。
教祖様は言った。
「我々は多くのものを力でねじ伏せ、従え、支配してきた。この歴史はいつまでも続かない。我々は新しい歴史を作っていかねばならぬ。命を!我々は互いに支え合うべきなのだ。見よ!美しき共利共生を!」
これに対して何か意見を言いたくなったら、「あれとは共生したくないね。」と言った男が蒸発した理由を想像するが良い。
読まれることを前提にして日記を書くのは、異常な行為であったらしい。少なくとも数十年前までは。それが今やどうだ?!見ろ。日記はついに定期刊行物となった。彼らは日々話の種を探し、自らの思うことを書き、それをまた日々読む人がいる。
我々はこの異常な行為を毎晩11時過ぎから翌日2時に至るまで続け、力つき、倒れてゆく。薄れてゆく意識の中で君は思うだろう。『これは夢か?』しかし、知らない顔の戦友が言うのだ。
「ジョークの解らない奴め。」
猿は言った。
「おあああああ。シリカゲルはどこだあぁああぁあぁあぁ。シリカゲルの海に溺れたいいぃぃぃいいいぃ。」
少年は言った
「おまえはそこで乾いてゆけ。」
「いや、だから……。」
この、人工的な非現実に満ち満ちた部屋のドアを開けたときの現実感ときたらどうだ。押し寄せてくる濃厚な現実感。これだ。これが現実だよ。解るかい?解らないだろ?そんな遠くからじゃな。
今夜こそはと思っていたのに、またやってしまうんだ。自分がいやになってくるよ。どうして自分を自分で制御できないんだ。ひょっとしてこの頭の中に何か埋め込まれているのと違うか?
そういえばこの間から首筋が痛かった。肩も凝ってる。何だか背中に重みを感じる。腰もつらくなってきた。真夜中だってのに耳元で道路工事してるような音が聞こえる。目の焦点が合わない。いや、何だ?!目の前が真っ暗だ!どうしたって言うんだ。ああ、もうだめなのかな。足もがくがく言ってる。誰かが歌ってる声が聞こえてきた。誰だ?お使いかい?偉いねぇ。僕はもうだめさ。