そうだっ!あまりにも夢中で昼食のお話が抜けていました。
ふかひれに目がない妹は、ふかひれがおいしいお店へ連れて行ってもらうよう、
要望していたが、徳○さんがお勧めのそのお店は、取引先の中でも、特にVIP
のみ利用しているという高級なお店だった。
妹は、ふかひれが大好きなだけあって、舌が肥えている。
うーん、昨夜のお店のもおいしかったけれど、こちらはまた一味違うわー
私好みかもーと舌鼓。
ふかひれのみならず、日本ではとてもお値段が上等で手が出ない、ツバメの巣
のミルクスープが出てきたのには驚いた。
うん?ということは、私たちはVIPなの?
食事中、徳○さんは、ご自分のご両親のお話をされた。
優しそうなその話し振りに、如何に親御さんを大事になさっているのかが、言葉の
端々に表れ、私達の母のことにしても、まるで自分の親のように、気を遣って
頂きましたし、実の娘の方が恥ずかしくなるくらいだった。

母の思い出の地・・・台湾

part6

back
next
home
旅行というと、殆ど日本旅館が多い母は、ホテルのこういう
セキュリティー関係には疎い。
実は、この3日間で何度か練習をしていたのだった。
「うん、大丈夫よ!」とカードを受け取った母は、一人で部屋に向かった。
本当に大丈夫だろうか?
心配になった妹は、そーっと後を付け、見守っていた。
そして、そんな妹の後をやしのみも付いて行く。

うまくカードが反応せず、何度もチャンレンジしているようだ。
いつもだったら、我が家へ遊びに来た時も、「ねえー、この雨戸、何度
やっても開かないのよー、この鍵は上に上げるんだった、それとも横に
倒すんだった?どっちだったかしら?どうやっても開かないのよー」と
頼ってくるのだが、今夜は何故か「大丈夫よ!」と自信持って答えた
手前があるのか、諦めずに、何度もカードを通し、頑張っている。

まさか、そんな様子を見られていただなんて、つゆ知らず・・・
たまりかねて、妹は駆け寄り、「お母さん、こうするのよ」と・・・
台湾へ来てからもうこれで何度目だろう?
母はどうもこういう方面は弱いようだ。
しかし、母の為に言い訳をしておくと、こんな一面もある。
母は俳句をもうかれこれ、15年くらいやっているが、以前お誕生日の
プレゼントに電子辞書をプレゼントした時のこと・・・
ローマ字や英語は若い頃、学んだ経験がある。
洋裁教室を80歳になるまで、やっていたのだが、あれは70歳くらいの頃
だったか、洋裁の本を見ながら、この頃はやたら英語が出てくるのよね、
困るわと言っていたかと思うと、いつの間にか近所の英語教室へと
通いだしていたのである。
自分に良いことは即実行には参った。
ほんの初期的な英語ではあるが、そういう経験が幸いしたのか、ローマ字
変換はすぐ覚え、最初の頃はgyaとかdu等の変換には戸惑ったものの、
今では、広辞苑や歳時記の季語を調べる時などススイノスイである。

その話をすばやく耳にした徳○さんは、「そうですねえー、街中では
あまり見かけなくなりましたねえ。
でもね、田舎の方に行くと、まだまだたくさん植えられていますよ。」と
教えてくださった。


ぐるりと公園を一回りした母は、やはり、疲れが出てきたのか、はたまた
暑さも手伝ったのか、だんだん歩くテンポが遅くなってきた。
そんな母の様子を、勿論徳○さんが見逃すワケもなく、すばやく
「お母さん、ちょっとお疲れのようですねえ。
そろそろホテルに戻りましょうか?」とねぎらってくださった。
お日さまは、既に西に傾きつつある。

普通シャワーといえば、お風呂の中にセットされていて、シャワーを
浴びる時には浴室の外に水が飛び散らないように、カーテンを引いて、
それから・・・と順番を踏む所だが、そこはホレッ!5ツ星ホテルのことだけ
あって、全面ガラス張りの洒落たシャワー室が別個に設けられていた。
うーん、なんて気持ちがいいの。
日中の、汗ばんだ身体はきれいサッパリ!
日中は活動しやすいように、ラフなジーンズスタイルだったが、
夜のお食事処は、どんな所か分らない。
一応、お色直しでお洒落をしようかな?
しかし、やしのみは慌てて用意をしたのが、いけなかった。
スーツケースの中には、シマッタ!こんなお洋服を持ってくるんじゃ
なかったわ!と後悔、しきり。

でも、今更後のマツリ。
これらの中で選ぶしかないじゃないの。
これで、いいかっ!
あきらめて、着てみたものの、今度は靴の替えを持ってくるのを
忘れたわあー・・・どうしよう・・・
結局、妹の靴を借りることになり、治まった。
さあー、スッタモンダ、やっと着替えたと思ったら、もう待ち合わせの
時間だ。
準備万端、オッケーねえと部屋から出てエレベーターの前まで行った
その時、「あらっ!お母さん、スリッパのままよ!」と妹のすっとんきょうな声。
大変!大変!
「ハイ、お母さん、このカードを差して入るのよ、もう自分で
出来るわよねえ。」妹はサッとバッグからカードを取り出し、母に渡した。

まあ、人間は得手、不得手があるわけで、母にとってはドアーに関する事項は(笑)
大の苦手のようである。
電子辞書の変換よりもドアーの開閉の方が簡単なような気がするが、それが
母にとっては難題なのだから、不思議なものである。
そういえば、人の事は言えない。
そうなのだ。たとえ、他人にとっては簡単なことでも、自分には出来ないことって、
あるものだ。
例えば、やしのみは今日も駅の売店で、小さな箱に入っているミントを買ったのだが、
その開け方が分らず、5分くらいはその小さな箱の隅々を引っ張ったり、押したりして
やっと探し当てたのだから。
これは電車の中の出来事であるが、きっと、お隣に座っていた若い女の子は
「この人って・・・?」と白い目で見ていたに違いない。
残念!昼食は最初のウーロン茶を撮っただけ・・・
夢中で頂いた証拠だ。

タクシーの昇り降り、段差のある道路、道路を歩く時のサポート振り等々、
自然な振る舞いに、頭が下がる思いだった。
おいしい、昼食を頂いて、それから、母が住んでいた跡地へと
向かったのだが、すっかり話が前後してしまって・・・
まあ、後でも先でも、おいしかったことには間違いないわけでして・・・

公会堂の話へ戻ってっと・・・
公会堂もかすかに覚えがあったようだ。
建て替えがなされているので、原形は留めてはいないが、なにせ、
60年振りに訪れるのだから、全てを覚えているわけではなかろう。
人間の記憶というものは、不思議なものである。

忘れてもいいくだらない事をいつまでも後生大事に覚えていたり、
逆に大事なことをいとも簡単に失念してしまうこともあるのだから。

植物園へは、地理的にお食事処からは裏門の方が近く、裏から
廻ることになった。
母の歩く早さは、依然として変らない。
我ら娘より常に一歩先をスタコラサッサと歩いて行く母は、意気揚々と
している。

広い池には、きれいなピンク色をした蓮の花が咲いており、しばらく佇む。
バナナの木を見た母は、「昔は、そういえばバナナの木が多かった
けれど、なんだか少なくなったわねえー」と目はバナナはどこどこ?と
キョロキョロキョロキョロ(笑)
自宅の庭にも、その当時は植えられていたらしい。

余談になってしまった。

楽しい夕餉。
それは生簀の魚介類をまず選ぶことから始まった。
実はこのお店は、前回の台湾旅行の時に行ったお店のコックさんが
独立して、開店したお店だった。
いわば、日本で言うと「のれんわけ」だ。
生簀の中の魚介類を最初に選ぶということからして、まるで同じだった。

おおーっ!シャコが大きいこと!
台湾蟹もおいしそう〜♪
そして、なんと大きなしじみを見つけた。
日本のしじみでは、茨城の涸沼で採れるしじみがかなり大きくて、しかも
おいしいが、ここにあるしじみは大きい上に色が変っている。
少し黄土色というか黄金色というか、不思議な色合いなのだ。
しかも、生で食べられるのだと言う。
勿論、コレもー!と指さした。
なんてったって、新鮮なのがいい。
想像通り、大きなシャコは甘くて、以前奥松島の漁師が経営している
民宿で獲れたてのシャコを頂いたことがあるが、それに匹敵する程の
お味であった。
台湾蟹は、残念!
ロブスターに似た感じで、ちょっと大味だ。
やしのみはやはり、日本の松葉蟹や、毛蟹の方が好みかな。
あのミソがたまらない。
生のしじみは生まれて初めて口にした。
ちょっとピリリとした味付けは、ビールのおつまみにぴったりだ。
蟹を食べてる時って、どうして、皆静かになるんだろう。
夢中になって、細かな所まで身を取ろうとするから、話す余裕が
ないのかもしれない。
さあー、蟹さんを片付けた!
次から次と出てくるご馳走にビールも進む。
妹は紹興酒が好きで、途中でそちらの方に切り替えた。
母は、日本酒だとお猪口で2杯くらいが限度。
ビールだとコップに半分くらい。
紹興酒は日本酒と大体同じ位の割合かな?
全然飲めないというわけではなく、ほんのちょっとだけ、昔から父と一緒に
飲んでいた記憶がある。
お酒は百薬の長とよく言われるが、微量のアルコールは元気な身体を
作る秘訣なのかもしれない。
やしのみも母に似れば良かったのに、どうもその点はビール党の父に
似たようだ。
ビールは尿酸値が高くなるから、痛風になり易いというが、そういえば、
父はよく風が吹くだけで痛いその病によくかかっていたなあ・・・
おいしい食べ物に、おいしいビールを飲んで、そして、おいしいお話を
いっぱいして、瞬く間に台湾3日目の夜は過ぎていった。
公会堂の前でにこやかに・・・
この生簀の中から選んで注文
台湾蟹は初めて食べたが・・・
大きな生のしじみ&こちらも大きくて甘いシャコ・

NO.3

日程表

7/9(土)

1日自由行動

かねてより頼んでおいた徳○さんの
案内で、母の嫁ぎ先の住居跡に
訪れる。
そして、よく遊びに行ったという
植物園にも行くことが出来た。

「徳○さんのお蔭で、たくさんの思い出の場所を廻ることが出来ました。
そうですねえー ちょっと足が疲れたかな・・・」
気持ちはまだまだなのだろうが、
さすがの母も興奮冷めやらずで、
一気に跡地を隈なく廻ったものの、もう限界のようだ。
「徳○さん、本当にありがとうございました♪」
母は深々と感謝を込めてお辞儀をした。
「では、また7時に、ホテルのロビーで待ち合わせしましょう!」
今日の最後の仕上げは、またぞろおいしい夕餉であった。

今日も、たくさんいい汗を掻きました!
待ち合わせまで、シャワーを浴びる時間があったので、交代でシャワーを
浴びた。
スタコラサッサと軽やかに・・・
椰子の木はあちらこちらで見かけられたが・・・
最近母に似てきたとよく言われるが・・・
まだ開店されたばかりの新しいお店
裏口から入って正門に出てきた
時計は早5時になろうとしていた
きれいな蓮の花がちらほらと・・・

つづく