蝶が舞うかの如くに・・・

平成18年03月31日

「今年は力いっぱい生きよう、と思う。
去年はそんなことさえ考えなかったのに、この1年で変わっていた。
谷川が石と草の間をぬい、小川が陽光にきらめき、川が堰を滑らかに越えるように、途中でしぶきをたて、
渦を巻きながら、精一杯、自在に流れたい。」

『空夜』(帚木 蓬生(ははきぎ ほうせい)著)の中の一節である。
印象的に心に残り、ノートに書き留めていた。
そういえば、若い頃は本を読んだり、新聞を読んだり、また人から聞いた話の中でも、「うん、いいなっ、
この言葉、この文章!」と思ったらば、すぐさまノートや手帳に書き付けていたものである。
そう、若い頃と言っても漠然としている。
そう、あれは学生の頃だったろうか。
青春の真っ只中、人生とはなんぞや?と試行錯誤し、自分は何の為に生きているのだろう?とか、悩みを
楽しんでいたかの如く悩み続けた。

よく青春を謳歌してなどと言われるし、現に自分自身にしても言って来たが、実際は謳歌どころか、
この思春期と言うものは混迷の時期であり、謳歌できているのは一握りの人だけなのかもしれない。
良い学校に入る為に、必死に毎日勉強をして、学問とはなんぞや?と悩んでみたり、試験前になると
無性に本を読みたくなって逃げの体制に入ったり・・・

親の言うことが全てではないと反抗心に燃えた時期もあった。
そんな時、家で飼っていたワンコとお散歩に出て、海を眺めながら、このまま家に帰りたくないよーと
ワンコに話しながら涙したり・・・

しかし、ある日突然、そう、「今年は力いっぱい生きよう」と思った時期があった。
曇り空から晴れ間を覗き、そして、暗雲が遠のいていくさまをしっかりと見つめ、蝶が舞うかの如くに
大空に飛び立って行った。
何がきっかけだったのだろうか。
このままではいけない!
そう思った。
こんな気持ちを周期的に繰り返しながら、今年も何年目かの生を満喫している。
この年になってようやく、それもまだ幼子の程度ではあるが、生に対する欲が出てきたように思う。

この1週間、実は胃痛で大変だった。
心配するといけないので、家族には黙って一人密かに、ああーこのままガンと診断され、死ぬのではないかと
恐れていた。
大体、毎年の人間ドックで、慢性胃炎だと診断されるのだが、今回の痛みはいつもと違った。
よくお酒は健康のバロメーターだからと巷では言われている。
ビールが大好きなのに、実を言うとあまり飲みたくなかった。
ますます変だ。
でも、これで飲まなければ本当に病気になる気がして、恐る恐る飲んだ1週間だった。
週の前半はいつもより少な目に飲んでみた。
なんだか飲んでいるうちに元気が出てきた。
でも、これで調子に乗るべきではないとグッと堪え、もう一本!は差し控え、これ止まり。
やはりお酒は健康のバロメーターなのか。
週の後半は完璧ではないにしろ、揚げ物を拒否しないくらいまでに回復。

病は気からともよく言われる。
年度末で仕事が忙しく、確かに知らない間にストレスが溜まっていたのであろう。
今日で、今期も終わりだ。
なんとか無事仕事も捗り、新年度への準備も万端整った。
いよいよ週末の休暇を終えれば、新年度の開始だ。

さて、公私共々、「今年は力いっぱい生きようと思う」を実行できるのであろか。
誰に頼る訳にもゆかない。
それは自分自身の手にかかっている。

蝶が舞うかの如くに・・・野原を駆け巡り、都会の喧騒をも、ものともせず、舞い降りて、そしてカムバック!
また田舎の息吹を感じ取り、巷をぬうように飛び回り、煌く。
勿論、大事な胸の中にはいつも蝶がいて、ドキドキと胸を轟かせる感動も忘れずにね。
やはりちょっと欲張りか!

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