町の中に虎がいるはずもないが、もし三人の人が虎がいると言うと、ついには本当に虎がいる
というようなことになる。
事実無根のことでも、大勢の人が騒ぎ立てると、事実のように思われる。
龐葱(ほうそう)が趙(ちょう)の国の都邯鄲(かんたん)に、人質として捕らわれていた時
のこと。
国王の魏王(ぎおう)に、もし誰か一人の人が町に虎がいると言ったら、それを信じるかと問うと、
王は、信じないと答えた。
そこで、では、二人の人が、町に虎がいると言ったら、それを信じるかと問うと、王は、疑うだろうと
答えた。
では、三人の人が、町に虎がいると言ったら信じるかと問うと、王は、信じると答えた。
「三人市虎を成す」
根も葉もないことでも、大勢の口から繰り返し言われれば、人は信用してしまう。
冤罪という言葉がある。
どうしても、今読んでいる本の話になってしまうが・・・
眠い目をこすりこすり読んでいるのは高杉 良著作の「不撓不屈」。
節税か脱税か?
脱税の指導をしたと疑われた計理士の冤罪を晴らすまでの物語である。
国税当局と最後まで戦う権力に屈しない男の、後に税理士・公認会計士界の第一人者となった人物の
熱き物語である。
事件は国会にまで、持ち込まれ激しい論争が繰り広げられる。
最後の勝利まであとどの位?
まだ、下巻に入ったばかりなのだが、先を急いで読みたくなるほどの力強い筆致に、心は動く。
三人市虎を成す