平成16年6月25日の金曜日。
このところパパやままはお天気ばかり気にしている。
梅雨という季節だから、仕方ないなあ、僕は単純にそう思っていた。
それにしても27日はどうだ?とか、27日は大丈夫かしら?とか
やたら27日の日曜日の事が出てくる。
さては、またお出かけなんだろうかと、僕は密かに期待した。
今日は僕のお誕生日。
1歳8ヶ月まではマダムパピヨンで過ごし、やしのみ家の家族に仲間入り
してからは1歳4ヶ月が経った。
まだマダムパピヨン時代の方が長いけれどね。
でも、僕はもうどっぷりやしのみ家の子になってるような気がする。
僕がやしのみ家の子になってからすぐの頃、ままはこう話してくれた。
「ハッピー、やしのみ家にはね、実はねえ、二人のお姉ちゃんがいるのよ。
上のお姉ちゃんは、もうお嫁に行ったから、時々しか会えないし、
下のお姉ちゃんは今は天国という所で、幸せに暮らしているの。
だから、今はパパとままとハッピーの3人暮らしというわけなのよ。」って。
夕食はいつもより豪華キャスト版だった。
いつもは、一番下にビーフorチキン缶詰、次にドライフード、そして
一番上にはささみジャーキーと、順番も、量も、種類も決まっている。
でも、今日はなんたって僕の3歳のお誕生日。
ままは特別にいつものメニューのまず量を減らし、種類を多くしてくれた。
つまり、鹿肉ジャーキー、ラム肉、ささみジャーキーetc.盛りだくさん。
一体何種類あったのか、僕は夢中でがぶついた。
いつもならドライフードは残すのに、今日は調子に乗って、きれいなお皿と化した。
食べ終わった頃、ままが言った。
「ハッピーおいしかった?良かったわねえ。
ハッピーのプレゼントなんだけどね、27日までお預けよ。」
えっ、お預け!勘弁してよー、お預けはごはんの時だけにして
欲しいんだけれどなあ・・・
うそ、うそ、お預けの後には確かとてもいことがあるんだよね。
やしのみままは一体何を目論んでいるんだろう?
こないだの事故の時にひょっとして頭をやられていたら、今、僕はここにいない。
不幸中の幸いだって、パパ達は言ってた。
僕はだから、神様にお礼を言ったんだ。
「左目は失明したけれど、僕の命を助けてくれてありがとうございます・・・」って。
「ハッピー、3歳のお誕生日おめでとう♪」
パパとままだけじゃなく、大勢の方々にお祝いのメッセージを頂いた。
心のこもった暖かいメッセージに僕は感激した。
「お祝いをくださった皆様本当にありがとうございました。」
僕も心をこめて感謝の言葉をお返しした。
日中は、パパは2階の事務所にいることが多い。
ままは毎日こみこみ電車に揺られて東京までお仕事だから、ちょつと寂しくなる。
だから、パパから「ハッピー、2階に行く?」って聞かれた時には、
すぐさま階段まで駆け寄り、抱っこってせがんで、上まで連れてってもらう。
僕階段は苦手だから・・・
やっぱ、1人でいるよりパパのそばの方がいいに決まってる。
たとえパパがナニヤラパソコンに向かってお仕事をしていて、僕に一言も話しかけなくともね。
そう、そばにいるだけいいんだ。パパ、ありがとう。
僕が大好きなお散歩はパパが朝早い内に連れてってくれる。
そんなこんなの毎日で、楽しく暮らしている。
「すずらん」から「ハッピー」に名前を変えられたときには、
一瞬どうしようって思ったけれど、今は其の名の通り、
「ハッピー」な日々。
こうして、無事3歳のお誕生日を迎えることができたんだもの。
ふーん、そうなのかあ、じゃあ静かなんだねえ・・・
僕がじゃあ少しは騒いでも大丈夫なのかなあ、でも僕は
あまりわんわんって吠えるの、あまり得意じゃないんだよね。
たまに吠えるとなんだかおじさんみたいな声になっちゃうんだ。
しかも時々「きゃん!」なんて赤ちゃん鳴きもするしね。
なーに?其の鳴き方は?どこか痛いの?って聞かれるんだけど、
実を言うとね、別にたしたことはないんだ。
なんだかクセみたい。
最初の内は本当にうんともすんとも言わなかったから、
声帯がおかしいんじゃないかって疑われてしまった。
今? うん、今はキンコ〜ン♪ってお客様がチャイムを押すと
一言二言吠えるよ。
でもね、インターホンでお話しして「大丈夫だから、吠えないの、
いいの」ってままに言われるとすぐ鳴きやむよ。
僕だって少しは番犬の役目も果たさないとね。
食後はいつもよりたくさんパパ達は遊んでくれた。
遊ぶといっても、ボール遊びとかではなく、僕をいっぱいなでなでしてくれたんだ。
大好きな抱っこをされて、そして「いい子だねえ」ってなでられて、とてもし・あ・わ・せ。。。
いつのまにか夢の世界へと僕は入っていった。