そんなことがあってから、すぐお隣の大型犬用ドッグランで、
ドッグショーが始まった。
音楽に合わせてフリスピーを追いかけ取って来る。
わー、僕には到底できないやあ。
合計4頭のわんちゃんが得意技をご披露してくれた。
僕は心の中で拍手した。
すごい!
僕にはとてもあんな真似はできない。
僕を生んでくれたパパやままは、両親共にチャンピオン犬
だけど、だけど僕は・・・
あまり覚えていないけれど、僕がもっと小さい頃、そう
マダムパピヨンにいた頃、チャンピオン犬になるように訓練
されたらしいけど、性格的に向いていないことが分かり、
途中であきらめたらしい。
もっと自己主張する積極的な性格でないとチャンピオン犬には
絶対なれないんだって・・・
「いくら好きだからって、ちょっと危ないよ、これは」
「そうー?」ままは意外と鈍な所があって、パパにこうやって
いつも注意されている。
(しまった!後でままに謝らなくっちゃ)
でも、パパはパパであわてて降ろそうとしたもんだから、
僕は足を踏み外し宙吊りになった。
「ああーっ!」でも、よかった!普通の首輪じゃなくって、
胴で締めてるベルト、あれ何ていう名前だっけ、とにかく
アレだったから、僕は災難から免れた。
パパはいつも落ち着いているのに、珍しくドジを踏んじゃったなと嘆いていた。
「僕全然首痛くなかったよ、大丈夫だって、パパ」って僕は
パパの顔をペロペロした。
僕よりもパパの方が、なんだか緊張してるみたい・・・
でも、今のままの態度だけは、「いつものまま」だったけどね。
「ああ、よかった!」ままに抱っこされなかったら今頃は・・・
リードを外されてなくてよかったな。
でも、わかんないな?
きっとじゃれようとしてきたのかもしれないしね。
ところが、しばらくしてまたもや同じことが起きた。
今度も飼い主は一言もない。
でも、今度はコーギーに対しては怒っていたけれど・・・
まあ、今日はリード付きでも仕方ないかアー
僕はあきらめた。
僕は高い所が平気だからって、ままが結構高い平均台の上に座らせてくれた。
いくら高い所が好きだからって、まま、ちょっとこれは怖いよ〜
そんなままを見て、少し離れた場所からビデオを撮っていたパパが
「危ないよ!」と慌てて駆け寄ってきた。
あっ、大丈夫みたい!
先客は、ダックスフンド、シーズー、コーギー、全部で10頭位いた。
どんなわんこかなあ?
僕は平気さと思ったけれど、パパやままは不安なのか、
いつまで経ってもリードを離してくれなかった。
一通り、ドッグランの周りを1周しても、まだ離してくれない。
パパ達はちょっと用心し過ぎなのでは思っていた矢先、
いきなり2頭のコーギーが僕に向かって吠えながら飛びついて来た。
その時、リードはままが持っていたんだけど、ままは咄嗟に僕を抱きかかえた。
飼い主は、すぐそばのベンチに座っていたがすぐさま駆け寄り引き離した。
でも、「ごめんなさい」という言葉は聞くことができなかった。
そして、コーギー達に対しても何も言わず・・・
でもね、そのお蔭で今はすずらんからハッピーになって、
やしのみ家の家族になることができたんだから、何が幸せを
もたらすかなんて本当に分からないって、そう思う。
「コーギーはまだいそうだね、そろそろお腹も空いたことだし出ようかア」
どこかおにぎりとか売ってる所がないかな?
観覧車のそばにある売店にありますよ、とのことでそちらに向かって歩き始めた。
途中、パパが用足しをということで、近辺をうろちょろしながら待つ。
しかし、待てど暮らせど出て来ない。
ついに20分が経過した。
ひょっとして、トイレで倒れているのでは?とままはとても心配した。
ままが男性トイレに入って行くわけにはゆかず、もう少しで
ままはトイレへ入って行く男性に調べてもらうよう頼む所だったが・・・・
つづく