平成16年5月7日の金曜日。
いよいよ明日は抜糸の日。
このヒサも取れるかなあ。
僕はままのパソコンとソファーの間にある、食べ終えた後の
食器を見つめながら考えた。
後でままに聞いたんだけれど、10分位じーっと食器を
見つめていたらしい。
ままにシャッターを切られたのも知らなかった。
いつもはカメラを向けられると、構えるのに、身動き一つ
しなかったんだって。
僕はそれ程、明日の抜糸と、このオヒサが気になって
いたんだと思う。
どうか、神様、抜糸がうまくいきますように。。。
そして、ヒサも取れますように。。。
僕は寝る前に呪文のようにつぶやいた。
平成16年5月6日の木曜日。
今日はままはいない。
長かったゴールデンウィークが終わったんだ。
ままがいないせいではないと思うけれど、今日はなんだか
元気がなかった。
やはり、僕はお庭に出られらいのが辛い。
なんでかなあ〜なんでかなあ〜
僕はトイレ用ドアーを目の前に考え込んでしまった。
せっかくパパが作ってくれたのになあ・・・
何度も何度もそう思った。
でも、だからって、怖くてくぐれないんだ。
いくじなしの僕・・・
夜、ままが帰ってからも僕はいつまでもしょぼくれていた。
「ハッピー、どうしたの?
もう大丈夫よ。土曜日にはねえ、多分ハッピーがお利口さんに
していると、このヒサが取れるから、ねっ!」
えっ、ままほんとに本当なの?
僕は途端に元気が出てきた。
平成16年5月5日の水曜日。
今日は端午の節句。
玄関に飾った鯉のぼりは、実はお友達に頂いたんだ。
パパやままが買わなきゃと思ってたところに、心が通じたかのような
お届けもので、それはもう「わ〜、嬉しい〜♪可愛いわねエー」と
パパとままは子供のように大喜びしていた。
「本当にありがとうございます♪」
僕もとても嬉しくて、おおはしゃぎした。
今日はままのおばあちゃんが茅ヶ崎からやって来た。
おばあちゃんは電話で僕の眼の事を大体は知ってたけれど、
ままは心配かけるといけないからって、詳しくは言ってなかった。
だから、僕の顔を見るなり「まあ、ハッピー、大丈夫なのお〜」と
驚いて「左のおめめは全然見えないの?」と、僕の顔を覗き込み
悲しそうな眼をした。
おばあちゃんの自慢をしてもいいかなあ?
おばあちゃんは、今年で85歳になるんだ。
80歳まで洋裁教室をやる位元気で、病気もほとんどしないんだよ。
だから、どこでもひょいひょいと自分1人で,どこへでも出かける。
ままもおばあちゃんに似て長生きして欲しいなあ。。。
僕はおばあちゃんに見つめられながら、ふとそう思った。
平成16年5月4日の火曜日。
この長いお休みはゴールデンウィークって言うらしい。
どうしてかな?
う〜ん、確かに僕にとってもパパやままにたくさん遊んでもらえるしなあ。
ゴールドと言う名前は分かるような気がする。
昨日はお風呂にも入ったし、僕は結構、朝はご機嫌だった。
狭いリビングなんだけど、隙間を縫っては走り回った。
でも、ちょっとお調子に乗りすぎたのかな。
午後は疲れて寝てばかりいた。
ままはこれ幸い、明日はままのお母さんが来るってんで、
あわててお掃除にとりかかったそうだ。