「カラオケ面白かったねねー、ちょっと行かない間に随分
変わったわよねー、本が一切なくなって、選曲は全部
コンピュータでやるなんて、アレ便利よね。」
ままの興奮覚めやらずの声がする。
そうかあ、ままたちも吠えてきたんだ。
どおりですっきりしたお顔をしてると思ったよ。
楽しくてよかったね。
僕も結構いい子にしていたと思うよ。
寝不足も解消できたしね。
でもね、宇実お姉ちゃん、僕は本当はお姉ちゃんと遊ぶ方が
好きなんだけどね。
平成16年8月12日の木曜日。
昨日から宇実お姉ちゃんが遊びに来ている。
お姉ちゃんと会うのは、久し振りだ。
今年の3月まではアメリカにいたし、その前は仙台、そして
今は福岡に住んでいる。
だから、なかなか会う機会がないんだ。
それでも、僕はお姉ちゃんのことをしっかり覚えている。
なんでかって?
それはね、きっとお姉ちゃんは僕のことがとっても大好きなんだって
分るからかもしれない。
ままは、お散歩の時しかお歌は歌ってくれないけれど、
お姉ちゃんは、僕の顔を見る度に「ハッピー♪ハッピー♪ハピピノピ↑♪
ハッピー♪ハッピー♪ハピピノピ↓♪」って、僕の顔を見て、そして、
触って口ずさむんだ。
僕はお歌が大好きだから、途端にご機嫌になってくる。
ピアノの後に寝ていたりして、少しでも姿が見えなくなると
「ハッピー、ハッピーはどこなの?おいでー」
って、すぐ呼ばれるから、いつもより睡眠時間が
少なくなっちゃったけど、でもね、僕はお姉ちゃんと遊ぶのが
大好きだから、そんなのヘッチャラさ。
午前中は、そんなわけで、寝る暇もなく、とても
にぎやかだった。
でも、2時頃になって、なんだか皆の様子がおかしいのに
気付いた。
どうもお出かけらしい。
「ハリーポッター」なんて以前にも聞いたことがある言葉を
口にしている。
「3時40分から始まるから30分前には着いていないとねえー」
なんて言っている。
思い出したぞ!映画だ!
去年もパパとままは「ハリーポッター」を観に行ったけど、
きっと続きなんだ。
出かける前に、おやつをもらった。
長い時間のお留守番の時は、必ずままはおやつをくれる。
そうかあ、今日はたくさん「待て」だな。
僕は午前中の睡眠不足くを取り戻すべく、
おやつを食べてから、すぐに夢の世界へと入って行った。
辺りはもうすっかり真っ暗だ。
そうかあ、映画だけじゃなかったんだ・・・
「ただいまあ!」まま達の、ご機嫌な声が聞こえた。
僕は待ちかねました、とばかりにワンワン吠えた。
だってとても嬉かったんだもの。
最近は我慢しないで、こういう嬉しい時は吠えることに
している。