恐怖を克服                      トップページへ

 ボールを怖がるのは人間の本能で、上手に捕球出来そうにない打球が怖いのは当然ですね。自転車の練習のようなものですので、選手の状態によって、効果的な練習方法も様々です。怖がる理由は、技術よりも精神的な要素が大きいので、数をこなしても克服出来ない選手が少なくないのはそのためです。

怖がる理由にも色々ありますので、大まかに区別して改善方法をご紹介します。


1−実力以上にプライドが高い

 見た目によらず、実力以上にプライドの高い選手がいます。実力以上にプライドが高い場合の特徴は、ミスが多くなると、投げやりな態度が多くなってくる事です。実際によくあるのが、弾いた打球を追いかけずに、悔しさをアピールしたりしますので、すぐに分かります。

改善方法

守備の場合、アウトにするための一連の動作、つまり、送球までの動作を、ミスの有無に関わらず、最後まで全力でやる習慣を付けます。その前提として、「守備は、アウトにするのが目的で、上手な捕球は、アウトにする可能性を高める手段」である事を、常に強調して伝えます。そして、捕球に失敗しても、アウトに出来た場合は駄目だし厳禁です。

 この練習方法の主な目的は捕球姿勢です。体が逃げた場合と逃げなかった場合の後処理の差は明確ですので、選手のプライドの基準を、ミスの有無からアウトの有無に変える事で捕球姿勢の安定(逃げない)につながります。

 打席の場合は、結果が全てです。痛烈な打球でもアウトはアウトです。アウトになる原因が必ずあるものですが、詰まっても、引っ掛けても、ヒットはヒットです。全てが悪い場合はヒットになりません。ヒットになったと言う事は、何かが良かったと言う事ですので、見た目よりも、結果を重視して評価してあげましょう。

このタイプは、学年が上がる程、苦労も増えますので、手段が目的にすり替わってしまわないように習慣付けるのが最大のポイントです。


2−痛いのが怖い

 小学生の初心者に多いタイプですが、中学・高校になっても改善されていない選手もいます。

最終的には、「痛い」と「出来ない」は別である事を学習しなくてはならないのですが、練習方法によっては、「野球が嫌い」に、なりかねない大きな危険を伴います。好きな事への努力は出来ますが、嫌いな事への努力は難しいものですので、最初は、野球が好きになる事が最も大切です。それゆえ、他の選手よりも上達が遅いからといって駄目扱いしないよう注意が必要で、他の選手が10上達して、その選手が1の上達だったとしても、その1を、きちんと評価してあげなければなりません。

 一人のプレイが、チーム全体の勝敗を左右してしまうのが、野球の怖いところでもありますが、良いところでもあります。まずは、自分の良いプレイが、チームの役に立つ事を学ばなくてはなりません。そして、自分がチームに必要とされていると感じるようになれば、怖くてもボールから逃げる事はなくなり、それが上達へとつながっていきます。


改善方法

 この練習には、チームメイトの協力が必要です。普段の練習から、良いプレイが出来たら、みんなで「ナイスプレイ」と、声を掛け合う習慣が必要です。一般的な声掛けで足りなければ、良いプレイ毎に、選手同士でハイタッチするのも良いでしょう。

 「上手になりたい」と言う願望を育てるのが最初の目的となりますので、難しい打球と容易な打球を組み合わせるのがポイントで、願望が少ない選手には容易な打球を増やし、願望が育つにつれて難しい打球を増やしていくのが良いでしょう。初心者の場合は、「バウンドを合わせる」のページも参考にしながら、「上手になりたい」と言う願望を育てて下さい。そして、ある程度願望が育ったら、「ボールがぶつかれば誰でも痛い。でも、痛いのは自分だけで済む。良いプレイは自分だけじゃなく、みんなも嬉しい。」とか、「ボールが当たれば体は痛いが、アウトが取れれば、心は痛くない。体が痛くなくても、アウトが取れなければ、自分を含めたみんなの心が痛む」と言ったような言葉を掛けて下さい。チームプレイの意味が伝われば何でも構いませんので、選手の性格に応じて工夫して下さい。


3−叱られるのが怖い

 叩かれて(叱られて)育つタイプと褒められて育つタイプがいるのはご存知だと思いますが、野球を指導する場合は、叩いて育てるのが美学のような気持ちになりやすいものです。長年野球をやっている人にはそれ程戸惑いは有りませんが、経験の浅い選手が戸惑うのは自然な事です。どんな選手でも、褒められたり、認められたりするのは嬉しいものです。出来て当たり前の事でも、出来た時はきちんと評価してあげたいですね。

この、叱られるが怖いタイプは、叱る人を非常に気にします。症状が重い場合は、叱る人から一時的に切り離す必要がある事もありますが、長期的に考えれば、叱られる事にいちいち驚かないよう、習慣付ける方が理想的です。

改善方法

 凡才先生は、叱られなくなるのがとても恐怖でした。叱られるのは期待されている証拠ですからね。まあ、ミスは良くありませんが、叱られる事自体は悪い事ではありません。選手に「叱られる事にいちいち驚かないようにしよう」とか、「期待していない選手は叱られる事も無い。期待されているから叱られる。」と、日々、明確に伝えましょう。



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