7日目:さらに南へ

5月29日(土)曇り時々晴れのち雷雨のち晴れ 気温 摂氏18〜23くらい

Part1:Borton-on-the-waterを2人占め!  

 
朝のボートン・オン・ザ・ウォーター

 ベッドが柔らかすぎて腰が痛い朝だった。しかしそんな弱音を吹き飛ばすBorton-on-the-waterの朝の散歩は格別である。カメラと三脚を持ち出して人目も気にする必要も無くベストポイントで写真を撮りまくった。風景があまりにも良すぎるので、だれでもいい写真が撮れてしまいそうだ。観光客がほとんどいないのでのびのびと散歩が楽しめた。

Part2:またアメリカ人と朝食  

散歩から帰ってすぐ8:30ころに宿の薄暗いダイニングで朝食をいただいた。この日もアメリカから来た夫婦1組がいて、おそらくここのオーナーであるおじさんがウニャウニャとあまり呂律のまわっていない英語で話し込んでいた。何語だか分からないような英語で同じように話し掛けられたので困ってしまったが、おじさんは一方的にしゃべるだけの陽気な人だったのでこっちも笑ってごまかしていた。

朝食のメニューはいつものようにイングリッシュ・ブレックファーストの定番、目玉焼き、ベーコン、ソーセージ、しいたけのようなきのこのソテーと焼きトマト、パン、おいしいジャム、ジュース、ミルク、そして薫り高い紅茶などなど。手作りのジャム(原材料不明)は絶品で、このときはバターを使う必要はなかった。

10:00すぎに宿を出た。宿代は2人で40ポンドでまあまあ安く上がった。  


ダイニングで朝食

Part3:Lower-sloter  


ローワースローター

あまり知られてないが、少しコッツウォルズについて調べれば行きたくなる村の一つがLower-sloterだ。私もガイドブックに小さく取り上げられているわりにはなぜか引き寄せられる魅力のありそうなところだなと思っていた。Borton-on-the-waterからは歩いていけるくらい近いところにあるこの村はEye川のほとりにひっそりとある、おとぎ話の絵本に出てきそうな村だ。

駐車場らしき場所が見当たらなかったので川べりの木陰になった路上に車をとめて村の散策を始めた。ここはほんとうにただの静かな村で、観光地と思わせるものはほとんど無い。1軒だけマナーハウス風のホテルがあったくらいだ。

とにかく落ち着いたのどかな村である。  

Part4:Barfordで熊のはちみつ

ただこの蜂蜜入りの熊の置物が欲しくて、遠回りしてまでBarfordという村に寄った。
BarfordはA429からA40をOxford、London方面に15分ほど走ったところにある。A40は高速道路のような幅広の交通量が多い幹線道路なので、注意していないと通り過ぎてしまいそうだ。ラウンドアバウトを左に曲がるとすぐに、ハイストリートが下り坂道になっていていてたいへん眺めの良い街並みが現れる。この日は土曜日でこの国で初めて混雑というのを体験した。駐車場はいくつかあったが結局街外れの大きな駐車場に車を置いて歩くことにした。  

お目当ての熊の蜂蜜はその駐車場から歩いていってハイストリートに出たすぐの所にあるMrs Bumblesという食料品店ですぐに見つかった。ずいぶんつまんないものを目指して行動しているように思われそうだが、じつはその通りで「マップルマガジン・イギリス98」というガイド雑誌に載っていたこの愛くるしい熊の蜂蜜がなぜか欲しくなって、2人でこの蜂蜜をGetするまでコッツウォルズをさまようぞと決めて旅だったのだ。1個5ポンド程度なのでお土産に最適。中身の蜂蜜は「ウ〜。異国のハチミツ!」と言わせるちょっとくせのある味だが、私は気に入って帰国後は夜毎はちみつパンを食べていた。  

       
          熊のはちみつ


バーフォードの町並み

 

Part5:コッツウォルズののどかな田園

Barfordからはちょっと裏道に入ってコッツウォルズらしい風景をたずねに走ってみた。のどかな牧草地が続く丘陵地帯だったが、このあたりでは近くで羊をみることはなかった。日差しが暑くて車を止めてじっとしていることができなかった(まだ車にクーラーがあることに気づいていなかった)ためBiburyまでの道のりはあまり覚えていない。

ただ、のんびり走っていると後ろから猛スピードで追いかけられて道を何度も譲ってやるほど、英国人の田舎道での暴走ぶりは半端じゃないのだ。街中では歩行者に道を譲る紳士な方が多いのになぜ?と思うが、気をつける所は細心の注意をして、どう見たって見通しの良いところは猛スピードで走る。周りの状況を考えず標識通りのスピードで走るよりも自己責任で安全を確認して走るほうが合理的と考えるのは危険だろうか?とにかく交通法規さえ守っていればいいと思っている日本的な運転よりも安全で合理的な運転だと思う。

Biburyまではひたすらのんびりゆっくりと、すばらしい英国田園風景をながめながら走った。

Part6:Arlington Row

B4425の細い道をタラタラ走っていると急に小川の流れている小さな村Biburyが現れた。観光バスがズラリと並び、観光客が波のように歩道を闊歩していた。のどかな田舎町を見たい方は土日祝日を避けたほうがよろしいかも。(この週は月曜日がBank Holidayで3連休だったのでなおさら混んでいた)なんとか車を駐車場に押し込んでColn川沿いを歩いた。

そのColn川に架かる橋の向こう側Arlington村にあるArlington Rowは建てられてから300年近く経つたいへん古い長屋のような建物だ。石造りの建物はこのあたりに来るとChipping Camdenに比べてずいぶん灰色がかっていて、いっそう古くて落ち着いた歴史を感じさせる建物に見えるが、実際はコッツウォルズ地方の地層が北へ行くほど黄色くて、南に行くほど灰色っぽくなっているそうで、そこに建っている建物でその地域の地層が分かるそうだ。別にほかと比べて古いわけではないようだ。

Arlington Rowや、そのそばの湿地帯はナショナルトラストに管理されていて、建物も自然も昔のままに保存されている。  


アーリントン村のアーリントン・ロウ

Part7:暗雲のCastle Combe(カースル・クーム)

BiburyからはB4425を西へ向かいCirencesterの街をいくつものラウンドアバウトを通り抜けながら迂回してA429をCastle Combeに向かった。ここからは地図がなかったので、大まかな位置しかわからず、Castle Combeの村は見つからなかったら行かなくてもいいやと思っていた。しかしここは英国の充実した道路標識のおかげで、地図なしで苦労なくCastle Combeに着いた。


カースルクーム

最初村の観光用駐車場に車をとめて歩いたのだが、村までかなり急な坂を歩くようだったので、車で村の近くまで行き、広い路上に車をとめて村を散策した。ここも大勢観光客がいた。そしてニアソーリーとブロードウェイで会った親子とここでも偶然の再会。どうやら湖水地方からは私達とほとんど同じコースを走ってきたようだ。夕方の飛行機で帰国するようだった。
Castle Combeはじつに渋い。家は灰色ぽい薄黄色で今まで見てきた村の中で一番古くて、観光客がいなければ中世にタイムスリップしたような錯覚をしそうな見事な保存がされている。濃い曇り空で薄暗かったため余計に渋く見えたのだろうか。

ここではセピア色の絵葉書を買った。今まで各地で2,3枚ずつ絵葉書を買っていたがここだけセピア色のはがきがきにいってしまった。建物の輪郭の崩れ具合というか古めかしさがセピア色にすることでいっそう引き立つのだ。
この村は楽しい所ではないが英国の昔ながらの本当の村を見たい方におすすめだ。  

Part8:大雷雨

Bathを目指しA420を走っていると前方から雷鳴が轟き真っ黒の渦を巻いた積乱雲が近づいてきた途端、風呂をひっくり返したような超ドシャブリの雨が降ってきた。視界3m以下。まったく身動きが取れず近くのBus・Stopに止めて雨が小ぶりになるのを待っていた。雨はますますひどくなり、車の塗料が流れてしまうか穴があいてしまうかと思うくらいの恐怖の大雨だった。ヒョウが降ってきてガラスが割れたらどうしようとか、洪水で道路が流されて動けなくなったらどうしようとか真剣に考えてしまうほどこの旅で最大のピンチだった。30分くらいでやっと普通の大雨程度の降り方になってきたので走り出すことにした。急激に気温が下がってしまい、フロントガラスが曇って前が見えないので空調で何とかしようとあれこれやっていて送風機のダイヤルを押したら緑のランプが付いてクーラーが効き始めた。5日目にしてやっとこの車にクーラーが付いていることに気が付いたのだ。大バカである。妻は呆れ顔。

視界がすっきりしたことでゆっくり走り出した。道路はあちこち冠水していて、少々被害が出たようだった。英国でこのような激しい気象現象や災害があるとは以外だった。

Part9:雨のBath

雨の中それとなく古い街並みが続くようになって、坂道を下るようになるとBathの町にたどり着いた。田舎ばかり走り回っていたのでずいぶん大都会に見えた。狭く急な坂道は雨で視界が悪いこともあって緊張の連続。街並みをゆっくり見る余裕はまったくなしで、このときの状況はあまり覚えていない。とにかく今宵の宿を見つけることに必死だった。

事前に地図を何度も見ていて、頭に叩き込んであったイメージを頼りになんとなく走っていたらあっけなくたどり着いてしまった。土地感の良さに自分でもほれぼれしてしまう。

Part10: 今宵の宿 Lansdown Globe Hotel  

Bathの中心部からグンと丘の上に上り詰めたあたりに今宵の宿 Lansdown Globe Hotelがある。今回の旅で一番大きくてきれいで設備の整ったホテルである。

ここは日本の旅行代理店で予約してもらいクーポン券があったのでチェックインはスムーズに済んだ。私は疲れ果てていたので一刻も早くベッドで横になりたかったが、案内された部屋は2Fの一番外れ。歩けど歩けどたどり着かない迷宮のようなホテルだった。スーツケースを引きずる腕が笑ってしまうくらい引きずり歩いてやっと部屋にたどり着いた。部屋はものすごく広くてベッドもセミダブルのアメリカンサイズだった。別にBath(お風呂)の名前の発祥の地だからという訳ではないだろうが、足がゆったり伸ばせることが出来るきれいで大きなバスがあった。おおきなバスと寝心地の良いベッドがあるこのホテルは旅の最後にふさわしい良い選択だった。


ランズダウン・グローブ・ホテル

Part11:街に繰り出す  

1時間ほど休んで雨が止んだ頃Bathの街に繰り出した。急な坂をずーっと下ってパルトニー橋まで歩いた。さすが超一級の観光地だけあって人人また人の波。人をみているだけで疲れてしまった。この日はAvon川を眺めた後、有名建造物は見学しないで駅周辺の街中を歩いた。ここはBathなのか?と思うような普通の商店街が続く。喧嘩の強そうな兄ちゃんたちがおお暴れしていたり消防車のサイレンが響き渡りと、今までののどかな風情は感じられない。好みのかわいらしい雑貨屋とか土産屋がほとんど無かったので30分くらい歩きまわった後ホテルに戻ることにした。とにかくこの日は体力の限界だった。今度は急な坂を登って帰らなければならず、タクシーにでも乗ろうかと探しているうちに人通りのさびしい急な坂道を歩いていって、ホテルに着いてしまった。  


パルトニー橋とエイボン川

Lansdown Globe Hotelとは名前通りのほんとうに見晴らしの良い丘の上のホテルだ。坂を登った感じでは標高差は100mはあるだろうか?車で来た人はぜひ車で街に行った方がいい。

Part12:最後の晩餐

始めはBathの街のレストランでぱーっとおいしいのを食べようなんて考えていたが、7日間の強行軍ですっかり萎えてしまい結局ホテルのレストランで食べることにした。メニューが分からなかったので、フロント近くにあった本日のメニューを見て研究をした。2,3泊目の夕食の失敗はしたくなかったからだ。しかしどのメニューも高い!味が保証されているのならちょっとくらい奮発してもいいのだが・・・・。とにかく他の選択肢がなかったのでここで食べることにした。

大きなホテルのレストランはちょっと緊張する。ジーンズ・スニーカーで行っていいのか?とか予約しなきゃいけないのか?とかいろいろ心配しながらレストランに行ったら、私達が1番のりだった。きれいな内装のレストランだった。背中に洗濯板を背負っているような背筋のいいおじさんがメニューを持ってきた。見るとなかなか結構なお値段である。そして例のごとく何が書いてあるのか良く分からない。あまり高いのを頼むとワインの味見でもさせられそうだねとかチップはどこにおくのかねぇ〜。とか食べることよりその他のことで頭が一杯だった。が、しばらくすると短パン姿のおっさんや子供ずれの夫婦が入ってきて緊張は一気にほぐれた。宿泊費を考えるとそんなに硬くなっているのもバカバカしいのだ。

メニューの最後に本日のお勧めセットがあってまあまあ手の出る値段(10ポンド程度)だったので2人ともそれにした。内訳は・焼いたサーモンにサワークリームがかかっていてサフランの葉っぱがのっかっているもの・たっぷりの温野菜・パン・デザート・コーヒー  だ。味は抜群で最後の夜に最高のディナーとなった。

英国に行ったら頼む料理は魚料理。これは覚えておいたほうがいいと思う。

Part13:BATH の Bath

日本を出る前から数えて8日ぶりに湯船に浸かった。あー気持ちいい〜!疲れが一気にとれる。英国最後の夜にBathの名前発祥の地BATHでBathに浸かって至福の時をすごした。

夜は最後の荷造り。いつのまにか細かいみやげ物がたまって、だいぶ荷物が増えてしまっていた。

 

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