6日目:美しい村村
5月28日(金)曇り時々晴れ時々雨
気温 摂氏18〜21くらい
Part1:アメリカ人と朝食
湖水地方ほどではないがすがすがしい朝だった。ワシントンから来たという大きなおやじさんがバルコニーでお茶していた。宿帳を見るとほとんどの宿泊客がアメリカ人のようだ。日本人は1997年ころちらほらと来ていたらしいが、ここ1年以上は宿帳に日本人らしき客は記載されていなかった。ちなみにここの宿帳を見れば私は何者かがわかる。
Kettle
HouseはB&Bなので朝食はオーナーの家(通りから見て客室のある古い石造りの建物の奥隣)のダイニングでみんなそろって食べることになっていた。大きなテーブルを囲んでアメリカ人(ワシントンとサンフランシスコから来た)2組と私たち6人がちょうどよく座れた。こんな所にいたら1ヶ月で英語を覚えてしまいそうな英会話の嵐。たがいの奥さん同士が超巻き舌のアメリカン・イングリッシュでしゃべりまくり、私たちはちょっと顔をひきつらしつつ「アーアー」とうなずくばかり。みんな笑い出せば訳もわからずつられて「アハハハ」と・・・・。ネイティブなしかも世間話の英会話がこれほど聞き取れないとは予想していたが、この人たちの会話にはほとんど解けこめなかった。こんな所に来ると夫婦の絆が強くなる。
お楽しみの朝食は定番のイングリッシュブレックファースト。スクランブルエッグにしてくれとオーナーの奥さんに頼んだがなぜか「No」と言われ、硬い目玉焼きが登場。やはりソーセージとミルクはおいしかった。
なかなか席を立つタイミングがとれなくて1時間以上座りっぱなしで、手持ち無沙汰で紅茶を5杯くらい飲んで気持ち悪くなってしまった。
Part2:Brordwayでお買い物
10時過ぎに、ほかの客が出ていてしまった後Kettle
Houseを出た。しばらく丘の上の道を走ると菜の花畑の向こうにChipping
Campdenの村並みが見えた。ほかを見渡しても牧歌的なのどかな風景にポツンポツンと石造りの家の集落が見える。A44に入り急カーブが続く丘を下りるとBrordwayの村並みが見えてくる。村というよりは少々町に近い大きさだ。両側に幅の広い緑地帯と歩道がある村の名前の由来となった幅広の道がハイストリートとなっていて、その通りにはとにかくセンスのいい店や建物ばかりが建っている。
駐車場で偶然、ソーリー村で別れた家族に会った。こんな離れたところで会ってしまうとは偶然の度が過ぎる。Brordwayがそれだけ観光客を引き付ける魅力があるということなのか。私たちとほとんど同じコースをたどっていたらしく、これがイングランド・ドライブの黄金コースのようだ。
駐車場からハイストリートに向かうとツーリスト・インフォメーションと雑貨屋の集まったちょっとしたアーケードがある。いきなり英国風かわいらしい雑貨品攻撃である。妻はあの店この店なめるように見て周り、男の私でも物珍しいのもあって退屈しないでいられる。通りに出るとすぐTisanesという紅茶用品を専門に扱う店がある。両手で抱えるくらいのでかい物から、手のひらに乗るような小さなものまで、食器棚や台所を形にしたユニークなティーポットがずらりと並んでいてお勧めの店である。奥ではおいしそうな紅茶の香りがしていたが、ここではその変な形のティーポットを2つ手に入れた。 |
変な形のティーポット |
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ブロードウェイの街並(お店が沢山ある所はもっと手前) |
ハイストリートの西のはずれにBROADWAY
BEARS & DOLLSというテディーベアーのお店がある。入り口に人の背丈ほどのおおきなぬいぐるみが立っているのですぐわかる。店の中はテディーベアーだらけ。奥は博物館になっているし、壊れたぬいぐるみは修理もしてくれるらしい。日本にはなさそうな珍しいアンティークものからお土産用の量産タイプまで200種類近くあった。 妻は30分以上吟味した。
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Brordwayにはとにかく個性的できれいな店がたくさんあって何時間いても飽きない。田舎めぐりの中で唯一、ショッピングが楽しめた。観光バスで来て1時間くらいで帰ってしまうような日本の方がたくさんいたが、この村をそんな短時間で見ても未練が残るだけ。1つの村に3時間以上も居られるのはドライブ旅行の醍醐味である。
Brordwayから丘を登った頂上にBrordway
Towerという城の一部のような不思議な塔が建っている。18世紀に何の目的で建てられたのかは塔の中の展示室を見れば分かるようになっているが、解説を読むことができなかったので、私にとっては謎の塔である。丘の上の何にもないところにただ建っているのだろうと思っていったら、駐車場付近にはレストランとピクニック・サイトがあり、しっかり入場料1人3.2ポンドを取られてしまった。 駐車場からは塔まで約10分、羊の落し物を避けながら芝の丘を歩いていく。内部のらせん階段を登ると塔の天辺にたどり着く。周りは何もないので風が非常に強くて寒い!コッツウォルズのなだらかな丘陵地を彼方まで見渡すことのできる絶好のビューポイントだ。ただそれだけである。 |
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Part4:ふたたびChipping-cambden
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ただマーケット・ホールの前で写真を撮りたたっただけでChipping-cambdenに戻った。すでに道路は路上駐車の車で埋め尽くされ、朝夕とは違ったにぎやかな雰囲気だった。結構人は歩いているのになぜかマーケット・ホールの周りだけは誰もいなかった。アーチ型の支柱の形と何ともいえない石壁の風合いが気に入って私の中ではこの街のシンボルだと思うのだか、観光客はみんな素通りしてしまう。 白いズボンと帽子に淡いピンクのアイスクリームのようなセーターを着たおじさんが路上でアイスクリームを売っていた。そういえばBrordwayにも同じような格好をしたおばさんが売っていた。このおじさん、ボランティアなのかちょっとしたアルバイトなのか?スーツを着たらシティーでバリバリの金融マンをやっていそうに見える人なのだ。英国紳士のアイス売り?である。 アイスは乳成分たっぷりのような自然の甘さでたいへんおいしかった。毎日思ったがイギリスの乳製品はおいしい。ハズレは無いようだ。 |
Part5:ここに来たかった。Borton-on-the-water
この旅を企画して最初に行きたいと思った所がこのBorton-on-the-waterだ。村の真中をアヒルの足が届くくらい浅い小川が流れていて、そこにいくつもの小さな石橋が掛かっていて、まさにBorton村がOn-the-waterである。とにかく見たら昇天しそうなくらいきれいな村なのだ。
村の広い駐車場からその小川(Windrush川)沿いをしばらく歩くとそのすばらしい風景が広がる。
Part6:飛び込みB&B
村を一通り見て周って、1件だけわりと雰囲気のいいB&Bがあったので今夜1晩泊まれるか聞いてみることにした。普通の民家なのでとりあえず呼び鈴を押してみた。なかなか出ないので留守かと思いあきらめかけた頃に、淡い水色のワンピースを着た真っ白い顔のおばさんが出てきた。「今晩泊まれるか?」と聞くとさっそくいくつかの部屋を見せてくれた。建物自体古いのはもちろんのこと、どの部屋も内装がかなり古いいかにも民宿といった感じだった。2人で40ポンドはちょっと高めだが、好立地なのと、もう宿探しはいやだったのでここに決めてしまった。
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Part7:モデルビレッジのモデルビレッジ
Model VillageというBorton-on-the-waterをミニチュアで再現した公園があることはかなり前から知っていた。この村に来たら是非行こうと思っていたのでお昼寝を我慢してB&BからWindrush川沿いをてくてく歩いて行った。2人で7ポンドくらい払って園内に入った。まるでガリバー気分だ。本物とおなじような石を使い一軒づつ忠実に再現されている。川もちゃんと流れている。おどろいたのはこのモデルビレッジの中にミニチュアのモデルビレッジがあったこと。なんとそのミニチュアの中のモデルビレッジの中にさらにミニチュアのモデルビレッジがあって笑いが出るほど芸が細かいのだ。
ほんとに英国人は狭くて小さくて細かいものが好きなようだ。
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Part8:Little Chef
この日も夕食をどこで食べるかが2人にとって重いテーマだった。ガイドブックにも適当なレストランの紹介がなく、入りたくなるような店が見あたらなかったので(お金があればしゃれたホテルやレストランはある)、車でちょっと村の外に出てみた。A429沿いのStow-on-the-Woldという村の手前にLittle
Chefという日本でいえばファミリーレストランのようなものがあったので、珍しさもあってそこで食べることにした。ふりかえってみるとこのLittle
Chefは高速道路のサービスエリアや大きな町の外れに必ずあったような気がする。おそらく私が見た範囲内では全国規模のレストランはLittle
Chefだけだと思う。英国唯一のファミレスとなれば興味がますます湧いてくる。
中に入ってみたら、案の定まるでファミレスである。レジの近くに長椅子と小さなおもちゃ売り場があったり、お姉さんがメニューを持って席まで案内してくれたりと、英国に来て初めて米国風過剰サービスを体験した。お客達はみんなはじめて東洋人を見たかのような目で私達をジロジロ見ていた。(田舎のレストランに外国人が入ってきて私達がジロジロ見るように)
メニューをみるとやはり英国風なものばかり。おなじみのFish&chipsやキドニーパイなど、ちょっと日本では食べられないメニューがたくさんあった。妻はチャレンジ精神不足なため、無難にもハンバーガーセット(メニューの中で唯一日本で食べられるもの)。私はキドニーパイのセットを頼んだ。10分もしないうちに頼んだものがやってきた。相変わらずLLLサイズの大きな仕切りのある皿1枚にメインの品とグリンピースがドーン。ポテトがドーン。とても食べきれないくらいのっかっている。キドニーパイとは牛肉と牛の腎臓をごちゃ混ぜにしたものをパイで包んで焼いたもの。聞いただけでは気持ち悪い吐き気のしそうな食べ物だが、これが結構おいしい。少々クセはあるが脂っこくなくさっぱりしたビーフ味だ。しかしこれが冷めたときの味は保証できない。
当然お冷や(氷水)が出てこないため、飲み物としてジュースを頼むのでけっきょく2人で14ポンドとそれほど安く上がらなかったが明日の夕方まで何も食べなくていいくらい食べたので一応満足。
20:00を過ぎて観光客がまばらになったBorton-on-the-waterは昼間の賑わいが嘘のようにゆっくりと黄昏ていく。そんな川沿いの散歩道を2人で歩いた。異国でこのようなゆったりとした時間を美しい風景の街で過ごすことは何よりの贅沢だ。
宿に戻ったあとの記憶がない。よほど疲れていたのだろう。手帳には22:00就寝と書いてあるのだが・・・・。