キモだめしに参加した子供達が帰った後、ミサトは脅かし役の五人に撤収の連絡を入れた。 怪人赤マントの扮装をしたアオイとトイレの花子さんの扮装をしたサツキは本校舎三階中央の階段前で合流した。 「そっちはどうだった?」 「それが、姿を見せたらいきなり銃を突きつけられて、逆にこっちがびっくりさせられたわよ。」 「そう…こっちは無視されたわ。扉を開けられて姿を見せる事も無く…。」 「あらら…まあ、カエデよりは楽だったわね。」 「カエデはヒデコの格好で水中に待機だったからね。」 二人が階段を降りていくと、目の前に人体標本男と骨格標本男が現われた。 「「わあっ!?」」 「「あ、佐藤と鈴木です。」」 「…何だ、脅かさないでよ。」 「いい加減にその服脱いだら?」 「お二人もまだ着てるじゃないですか。」 「大体、外の車の中で着替えてきたんですから。」 それはアオイやサツキも同じだった。 と、次の階へ降りた所に猫が数匹屯していた。 「こんなに猫いたっけ?」 「さあ?」 だが、その猫達は四人ににじり寄ってきた。四人は何か不気味な気配を感じた。 「な、何だ?誰か猫が好きな人いるんですか?」 「うーむ…階段に猫がおんねん(怨念)、なんつって。」 だがその瞬間、猫は全部ずっこけ、慌てて何処へと逃げ去っていった。 「魔法の呪文?」 「一体、何だったのかしら。」 四人はさらにまた下への階段を降りる。 「ここの階段だけ、色がグレーですね。」 「グレーの段階、なんつって。」 佐藤と鈴木がわかる人にしかわからないネタを交わす。 だが、踊り場で最後尾のアオイはふと足を止めた。 「ちょっと待って。」 「どうしたの?」 「あたしとあんたは一番上の三階で合流したんだよね?」 「そうよ。」 「で、そっちの二人とは二階で合流したんだよね?」 「「ええ。」」 「で、二階から降りたら猫がいたんだよね?」 「「はい。」」 「…じゃあ、私達、なんで今階段を降りているの?」 「「「………。」」」 この本校舎は三階までしかないのである。 四人の背筋を冷たい物が流れ落ちた。 「「「「うわああああーーーーっっっっ!!!!」」」」 四人は悲鳴を上げて走り出した。 一人ヒデコの扮装で歩いていた濡れ鼠のカエデは、叫び声を聞いて後ろを振り向いた。すると、他の四人が凄まじい表情で走ってきた。 「きゃあーっ!!」 カエデも慌てて走り出した。 「お、戻ってきたわね。みんな、ご苦労さ…。」 ミサトは言葉を途切れさせた。 怪人赤マントとトイレの花子さんと人体標本男と骨格標本男とヒデコが絵にも描けない怖ろしい表情で横一列で自分に向かってくる。 「………な、何よ何よ何よ〜〜〜っ!?」 ミサトも何か恐怖を感じて走り出した。 そして、ミサトを先頭に全員校門から外に出て、夜の街を一目散に駆けていく。 彼らは何処まで走り続けるのだろうか?それは作者にもわからないのであった。 EXTRA HUMANOIDELIC MACHINARY EVANGERION 2 A midsummer Nightmare 「真夏の夜の悪夢」―――怪談七不思議? 完? あとがき