稲牛の農家に行ってきました.
稲牛地区は,市街から10数キロ離れた山の中にあります.ここの農家は最近,おばあさんが亡くなり,今は80に近いおじいさんが独りで住んでいます.家の入り口には川があり,小さな吊り橋を渡らなければなりません.車で行くときには渡河をして,急な坂を登っていきます.
粗末な家.ここで人生の大半を過ごしてきました.家の中は狭く,それにもう傾きかけています.水道は近くの沢の水を引いています.電気は幸い利用できています.ニワトリを飼って卵を採り,畑に作物を植えて,ほとんど自給自足しています.子供に一緒に住むように言われても,長年暮らしたこの土地が好きだと,移る気はないようです.自然とともに生き,暗くなれば寝て,明るくなれば起きる.好きな酒をたしなみ,来客を喜ぶ.粗末な生活ですが,実に幸せそうに見えます.社会が,政治がたとえどう変わろうとも,このおじいさんの生活は変わりそうにありません.