5日目 「国境越え」


5日目、8月19日(火)になりました。 5日目の予定は、 前日の最後に書いた通り、まずは、 スプリットを東側の内陸方面に進み、 国境を越えて、ボスニア・ヘルツェゴビナの モスタルという街を観光します。 それから、南下して、再びクロアチアに戻り、 海沿いの街、ドブロブニクに行きます。

社会主義のホテルの朝食は、 なぜか他のホテルより少し早く、朝の6時からやっています。 バスの出発は朝の9時なので、 そんなに早起きして食べる必要はないのですが、 早めに食べて、朝のスプリットの街を散歩することにしました。 朝食開場のレストランは広く、テーブルも普通で、 特に質素と言う感じではないのですが、 スタッフがちょっと無愛想かなという感じはします。

スプリットの朝は晴れていて、今日も暑くなりそうという感じです。 規模は小さいですが、魚市場もあり、 日本で見覚えがありそうな魚も並んでいます。 普通に平日なので、街を走る路線バスには、 通勤に向かうと思われる人たちが乗っています。 きれいな港町ですが、普通の都会の朝という感じもします。

さて、朝の散歩も終わり、ボスニア・ヘルツェゴビナの モスタルに向けて出発です。 バスは、東側の内陸に向かって進みます。 途中から、けっこう山道になっているようで、 カーブも多く、地図で見た距離の割には、 進むのに時間がかかっているようです。

大きな木々もなく、 なんとなく山道らしい感じがしない山道を進むと、 国境があります。ゲートは二重になっていて、 おそらくクロアチア出国のゲートと、 ボスニア・ヘルツェゴビナ入国のゲートだと思います。 ここでは、バスの中まで係の人が乗ってきて、 一人ひとりのパスポートの顔写真をチェックします。 でも、バスに乗ったままで国境を越えられるのですから、 「アメリカ−メキシコ」 よりは、楽だと言えるかもしれません。

国境を越えても、しばらく山道が続きます。 山道に大きな木々がないということは、 山道からの景色が良いということです。 そのうちに、モスタルの街が近づいてくるのが見えます。

バスは、徐々に山を下り、街の中心部に向かいます。 街中の観光バス用駐車場には、 すでに大型観光バスが10台くらい止まっていて、 けっこうな観光地であることがわかります。 それもそのはず、これから向かう「モスタルの橋」は、 世界遺産に登録されています。

モスタルの橋には、バスを降りて、歩いて向かいます。 バスから外に出ると、とにかく暑いです。 内陸で湿度が低いのだと思うのですが、 日なたと日かげの体感温度がかなり違います。 熱中症にならないように、日かげに隠れながら進みます。

駐車場近くの横断歩道を信号待ちしていると、 道の向かいに物騒なものが見えます。

民家では、壁を塗りなおして銃弾の痕跡を消す場合も多いそうですが、 ここは観光客も多いので、ひょっとしたら、 あえて戦争の悲惨さを伝えるために残しているのかもしれません。

物騒な壁を過ぎると、観光地らしい景色に変わります。 石畳の歩道の両側には、御土産物屋や飲食店が並び、 日本で言えば、大きな寺か神社の参道という感じです。 薄目で見れば日本の参道のような雰囲気ですが、 よく目を開けて見れば、 御土産物屋に並んでいる商品と、 御土産物屋さんの背後にそびえるイスラムっぽい尖塔が、 日本にはありえないものです。

まずは、この「参道」のレストランで昼食にして、 それからさらに奥に向かって進みます。 人ごみの向こうに、上りの石段のようなものが見えます。 これが、モスタルの橋のようです。

橋の手すりの上には、赤い海パンのお兄さんが立っているのが目を引きます。 下の川からはけっこうな高さなのですが、 怖そうでもなく、平然としています。

あとで聞いたのですが、チップをもらうと飛び込むらしいです。 この海パンのお兄さんに驚いているうちに、 わけのわからないまま、世界遺産の橋を渡り終えてしまいました。

この橋は、きれいなアーチ状の橋なのは確かですが、橋だけを見れば 錦帯橋 だって、けっして負けてはいない気がします。

この橋が世界遺産になっている理由を理解するには、 この国と橋の歴史を理解する必要があるようです。

橋の先にあるモスクに立ち寄り、 現地ガイドさんから、この地の歴史について説明を受けます。 私の記憶が確かなら、以下のような感じです。 (間違っていたらごめんなさい)

単に橋の形状がきれいだというだけではなく、 上記のような歴史や周辺の景観も含めて、全部が世界遺産ということのようです。 歴史的な説明が終わったら、モスタルの橋がきれいに見えるポイントに 案内してもらいます。

その後は、しばらくフリータイムです。 が、とにかく暑いので、御土産物屋をはしごしたり、 いろいろな建物を見たりして、歩き回る気がしません。 フリータイム終了後の集合場所に行き、 その近くのアイス屋さんで、アイスを食べたり、 ジュースを飲んだりしてすごします。

以上で、モスタル観光は終了です。

  1. 日差しが強くて暑い
  2. 赤い海パンが橋の手すりに立っている
  3. 橋は、きれいで立派だが、錦帯橋よりはかなり小さい
というイメージを心に刻んで、次の目的地のドブロブニクに向けて出発です。

ドブロブニクは、モスタルの南のほうにある、 クロアチアの海沿いの街です。 (位置関係がわからなかったら、Googleの地図でも見てください) 途中で、また国境を越えて、クロアチア側に入ります。 午前中に通過した場所とは、また別の場所で国境を通過します。

午前中の国境は、有料道路の料金所という感じでしたが、 今後の国境は、「料金所+パーキングエリア」という感じで、 出入国手続き中と思われる多くのトラックが停車しています。 停車している車の台数を見て、かなり通過に時間がかかるのでは?と 心配になりましたが、午前中と同じくらいの感じでした。

国境を越えてしばらく進むと、やがて海が見えてきます。 ドブロブニクまでは、海沿いの道路をまっすぐ南下するだけです。 海沿いの一本道を進むだけなので、 日本人の常識で考えれば、ずっとクロアチア国内を走っていると 思いたいです。 しかし、途中のネウムという街のあたりだけ、 ボスニア・ヘルツェゴビナ領になっています。 改めて地図で見ると、10kmくらいでしょうか。 特に国境の検問とかはありませんので、油断していると気づきませんが、 バスで走っている間に、また両方の国を行き来しています。 相模原から横浜に向かって、神奈川県内の国道16号線を走っていると、 途中に町田(東京)があるようなものです。(ちがうか?)

ところで、この辺の海沿いの景色は非常にきれいです。 また、ところどころに海水浴場もあり、どこもにぎわっているようです。

と、1日に4回国境を越えて、景色を見てはしゃぎながら、 夕方にドブロブニクに到着しました。 ドブロブニク観光は、翌日に丸1日予定されていますので、 この日は、ホテルのレストランで夕食を食べて、泊まるだけです。

今回のツアーでは、1泊限りのホテルばかりでしたが、 このホテルだけは2連泊します。 今回のツアーで唯一連泊するホテルが、最も新しくて、 最もグレードが上だったように感じました。

夕食は、ホテルのレストランのビュッフェですが、 かなり豪華(けっこう高いらしい)です。 美味しいものがたくさんありましたが、 蛸の炒め物が柔らかくて美味しいのに驚きました。

さて、ドブロブニクという街は、かなりきれいな街のようです。 翌日の観光に期待しつつ寝ました。


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