4日目、8月18日(月)の午後です。 スプリットに向かって、高速道路を移動中のバスの中で、 ふと昼寝から目が覚めました。
目が覚めて、すぐには気づかなかったのですが、 実は、けっこう山道を走っているようです。 日本の山道は、背の高い木に囲まれているのが普通ですが、 こちらでは背の高い木がありません。 木がないというだけで、無意識のうちに、平地だと思い込んでいました。 改めてよく見ると、山にも平地にも、ほとんど高い木がありません。 せいぜい人の身長くらいにしか見えない低木が、 まだらに生えている感じです。
一瞬、 デスバレー を思い出しましたが、 海も近くて雨も降るはずなので、デスバレーとは違うはずです。 どうやら、石灰岩なので、高い木が生えないというのが正解らしいです。 ということは、車窓から見える山まるごと全部、 というか山脈まるごと全部が、ほとんど石灰岩ということになりそうです。 ひょっとしたら、この辺のヨーロッパ大陸の一部が、 まるごと全部石灰岩ということもあるのでしょうか???
これでは、いくら山口県が、 カルスト台地だ秋芳洞だ 言っても、 最初っからスタートラインが違うので、かないっこありません。 プリトビッチェのような光景も、結局、 この巨大な石灰岩のおかげで出来ていたということかもしれません。
てなことを考えながら、バスに乗っていると、 ときどき、立ち止まらずに高速道路で通過してしまうのは、 もったいないような、すごく良い景色のところがあります。 たまたま、1枚だけ、車窓からのわりには良く撮れました。
さらに進むと、今度は火事も見えます。
思わぬアクシデントに盛り上がりつつ、 バスは、アドリア海に面した港町、スプリットに到着します。 スプリット到着は、夕方の予定でしたが、少し早く着いたようです。 プリトビッチェまでは、ずっと秋の涼しさでしたが、 ここから突然、「普通に夏」になります。
スプリットには、今風の高級ホテルもたくさんあると思うのですが、 我々一行が泊まるのは、旧社会主義時代からあるホテルです。 入口から入って、いきなり「テレビを見る部屋」があります。 広さ的には、隣のレストランに匹敵する、けっこうな大部屋です。 もちろん、個々の客室にテレビがあるので、 今は、この部屋に集まってテレビを見る必要はないはずですが、 以前はどのように使われていたのでしょうか???
さて、その客室ですが、 部屋の面積は広いですし、旧式とは言えテレビもありますし、 エアコンは機能していますし、シャワーのお湯も出るので、 特別に文句があるわけではないですが、とにかく質素です。 冷蔵庫が入っているのかと思って、棚の扉を開けてみたら、 単なるカラーボックス(単なる棚)だったというのもあります。 30年くらい前にタイムスリップという感じでしょうか。
ホテルの外は、すぐ港です。 大型の観光船やクルーザーが多数停泊しており、 今風の先進国のマリンレジャー都市という感じです。 30年前から、瞬時に現在に戻った感じです。
それでは、ホテルからスプリット市街の徒歩観光をスタートします。 上の写真の左側、旧市街方面に向かって歩きます。
豆知識ですが、この辺の地方のことを ダルマチア地方 というそうです。 「101匹わんちゃん」でお馴染みのダルメシアンは、 ここダルマチア地方が原産地と言われているそうです。 言われて見れば、港にいるハトも、ダルメシアンっぽいです。
四方を城壁に囲まれた旧市街と港との間には、 今風の明るい通りがあります。 海水浴帰り風の人も多く、 今風の先進国のリゾート地という感じです。
上の写真の左側には、きれいな白壁の建物が並んでいますが、 そのすぐ裏に旧市街の城壁があります。 昔は、この写真の辺りは海で、城壁の南側が直接海に面していたそうです。 我々一行は、城壁の地下に入り、スプリットの街の歴史を説明する 博物館を見学します。それから、旧市街の中に入って行きます。 世界史は苦手なので、説明を聞いてもよく理解できませんでしたが、 ローマ時代とか言っていたので、 この街の歴史は、大化の改新よりも前に始まったようです。
城壁には、東西南北に門があり、そこから東西と南北にメインストリートが 走っています。その東西と南北の両方のメインストリートが交差する辺りが、 ちょっとした広場になっています。 広場には、昔の兵隊のコスプレをした、にいちゃんたちが立っています。
こんなに観光客が多くなければ、ここの光景も、 千年以上も前にタイムスリップと言えるのかもしれません。
城壁内部には、多くの観光客が押し寄せて、 お土産物屋が並ぶ中心街だけではなく、 実際に、現在も人が住んでいる場所もあります。
歩いているうちに、少しずつあたりは暗くなってきました。 逆光ですが、教会の塔もきれいです。
あとは、旧市街から歩いて行ける距離にあるレストランで、 手長えびの夕食です。 食べ慣れないので、食べるのに苦労しましたが、 まぁまぁ美味しかった気はします。
夕食後は、ホテルまで歩ける距離なので、自由解散です。 さらに、観光するも良し、買物するも良しです。 ということで、レストラン近くにあるスーパーに買物に 行くことにしました。 ワインを買って、社会主義のホテルで飲み直しです。
という感じに、良い景色を見過ぎて、 すっかり感動できなくなった4日目は終わります。 翌日は、国境を越えて、ボスニア・ヘルツェゴビナの モスタルという街に行きます。 スロベニアやクロアチアと違い、 ボスニア・ヘルツェゴビナ は物騒なニュースでしか聞かない名前のような気がします。 どんなところなのでしょうか?