平成11年7月23日(金)、 歩き回って疲れたせいでしょうか、 妙にぐっすり寝られました。 このままアメリカで時差ぼけのまま過ごした方が、 日本に帰ってから時差ぼけにならなくて済むからいいや、 と割り切ったとたんに眠れました。皮肉なものです。
さて、今日は終日フリータイムです。 オプショナルツアーで、デスバレーに行く日です。 ラスベガスは、カジノだけでなく、他にもいろいろな楽しみ方ができるので、 1日くらい簡単に過ごすことができます。 無理にオプショナルツアーに参加しなくても良いと考える方も多いと思いますが、
さて、オプショナルツアーの一番人気は、グランドキャニオン観光でした。 私も2ヶ月前に行ったばかりでなければ、選んでいたかもしれません。 後で行った人たちに聞いたら、もう二度と行かないと言っていました。 グランドキャニオン付近まで、セスナみたいな小型飛行機で片道約1時間かけて行ったのですが、 その揺れがハンパじゃなかったらしいです。
さて、デスバレーですが、申込者はたったの2名だけでした。 ガイド兼運転手さんと、3人だけのアットホームな旅となりました。 交通手段は車です。 通常は、ワゴンタイプの車だそうですが、 客が2名だけということで、本革シートの高級そうなセダンで行くことになりました。 社内はエアコンも完璧に効いており、気分はすっかりお大尽です。
すっかり上機嫌になったところで、ガイドさんが言いました。
「普通は、こういう時期(真夏)には、デスバレー行く人は少ないんですね。
他の旅行会社では、夏の間はデスバレーツアーをお休みしているところもありますし。
車内はエアコンが効いていますし、死ぬことはないと思いますけど。
私も、こんな時期にみなさんをデスバレーにご案内することできて、
いやぁ、いい経験をさせて頂きます。」
と、突っ込もうかと思ったのですが、 それなりに楽しそうにしているようにも見えたので、 気にせず行くことにしました。
デスバレーは、ラスベガスから北西の方角にあります。 地図で見ると、200kmくらいありそうに見えます。 車は、地平線に向かって走っているようです。
行くまで知らなかったのですが、デスバレーというのは、 かなり広い面積があるらしいのです。 ここから先がデスバレーだと告げる標識?があります。
さて、標識を過ぎたからといって、すぐに大渓谷が目前に迫ってきたりはしません。 とにかく広いです。徐々に斜面を降りるような感じで車は走ります。 東西の山に挟まれた南北に長い盆地状の広大な空間を谷(デスバレー)と呼んでいるようです。 車は、東側の山の南の方から、その広大な谷間に降りていきます。 そして、東側の山に沿って谷の東側を北上します。
しばらく行くと、モルモンポイントという場所があります。 ここは、海抜0mの地点だそうです。 この先をさらに北に進むと、海面下ということになります。
余談ですが、このモルモンポイントで写真を撮っているときに、 ついでに乗ってきたセダンの写真も撮りました。
デスバレーは、どのくらい前かわかりませんが、 以前は湖だったそうです。 現在は、死海が干上がりつつあるような感じという表現が近いと思いますが、 塩の結晶の白い砂漠が広がっています。 モルモンポイントの写真後方に写っている白い部分は、塩です。
さらに進むと、デスバレーの中で海抜が最も低い地点に到着します。 この最も低い地点では、わずかに水が残っています。 しかし、塩分濃度が高くて飲用には適さないということから、 Badwater(バッドウォーター)と名づけられています。
バッドウォーターの周囲は、塩の白い砂漠が広がっています。 しかし、穴を掘ってみると、下には水(たぶん、高濃度食塩水)があることがわかります。
バッドウォーターを見たら、ランチタイムです。 バッドウォーターをかなり北上したところに、 オアシスのように木々が生えている場所があります。 ここに昼食を食べるレストランがあります。
朝のガイドさんのお話では、真夏にデスバレーに来るやつはいねぇとも聞こえたのですが、 大型バスが何台か停車していたり、けっこうたくさん人がいました。 昼食は、アメリカ流セルフ大皿盛り付け食い放題形式です。 見た目よりは、かなり美味しかったです。
さて、昼食後は、次なる景勝ポイントを目指して車は進みます。 次に行くのは、Zabriskie Point です。 たぶん、ザブリスキー地点とでも訳すのでしょう。 私の記憶が確かならば、ザブリスキーさんという写真家が見つけた、 景色の良いポイントという意味だったと思います。
そろそろ、車外の温度は40℃を超えています。 写真を撮るために車外に出るとムチャクチャ暑いです。 デジカメが熱暴走も起こさずに、最後まで働いたのは誉めてやりたいです。
デスバレーの暑さは、東京の暑さとは違います。湿度が全然ないからです。 蒸し蒸しする不快な暑さではない代わりに、 口を開けた瞬間に口の中が乾いていくような暑さです。 汗も瞬間的に乾いているのでしょう。ジトジト感もありません。 私にとっては、東京の暑さの方が不快ですが、 暑くて死ぬのはデスバレーだという感じです。
さて、Zabriskie Point をあとにすると、最後の景勝ポイントである Dantes View を目指します。Dantes View は、 谷の東側の山にあり、標高1669mとかなりの高地です。 高地なので気温も涼しく、景色をじっくり堪能するのには、 なかなかのポイントらしいです。
さて、車は、Dantes View を目指して、斜面を登って行きます。 それとともに、車内に異変が発生しました。 車の中は、エアコンが効いていて、温度は一定に涼しく保たれているはずです。 むしろ、高度の上昇にともなって、外気の温度は下がっているはずです。 なのに、なぜか 車内の温度は明らかに上昇 しているのです。 おかしいな、どうしたんだろう?と思っていると Dantes View に到着しました。 車から降りると、 車外の方が涼しい のです。これはマジでヤバイと思ったのですが、 とりあえず景色を堪能します。
Dantes View で景色を堪能したら、あとはラスベガスに帰るだけです。 しかし、やはり車のエアコンは満足には効いていません。 少しは効いているようなのですが、やっぱり暑いです。 ガイドさんが言うには、山を登ったのでちょっと調子が悪くなっただけで、 これから下り坂だからすぐにエアコンが効き始めるでしょうとのことです。
しかし、標高が下がり車外の気温が上昇する一方で、 まったく車のエアコンが正常動作に戻る気配がありません。 とりあえず、暑いと感じずに済むように、昼寝をして時間をつぶします。
30分ほど寝ていたでしょうか。暑くて目が覚めます。 朝、ホテルの売店で買ってきたペットボトルの水も底をつきました。 こんなことなら、大きなペットボトルを買えば良かったです。 ラスベガスまであと1時間半くらい、大丈夫だろうか?と思った瞬間、 何事もなかったかのように突然車のエアコンが効き始め、 あっという間に車内は涼しくなりました。
この夜は、ツアー最後の夜ということで、フェアウェルパーティがありました。 しこたま飲んでから、調子こいてカジノに出かけました。 スロットで貯金(カジノにお金を預けるの意)をしてから、 KENOという数当てゲームにチャレンジしました。 このゲームは、お酒でも飲みながら長時間楽しむのには最適です。 しかし、よし9倍ゲットと喜んだ瞬間、係員の数字の読み間違えだったという、 一位入線後、審議の結果 降着 みたいな作ったようなオチまでつき、さんざんでした。