「 思考回路 」


迷い込んだこころのラビリンス
誘いかける声が聞こえるのに
探せない
辿りつけない
重たくなったこの足では

道しるべをください
ほんの少しの手がかりでいいから
小さな灯りでいいから

混沌とした思考の中で
何かが叫んでいるけれど
それを聞き取る耳もなく
認知する脳も
休止状態

ほら
外はあんなに明るい
飛び出せば
何かが変わるかもしれない

全て放り出して
出ていこうか
外へ


2004/09/10 12:20








「 大きな顔のアンタへ 」


ぎりぎりのところで頑張ってきたけれど
寄せる波が大きくて
いつかは
境界線からはみ出されるのだろう

なんの境界線なのか
常識と非常識
大人と子供
うそつきと正直者

そんな境界線があるのなら
はみだしてやろうじゃないか
なんて考えるのは危険なのかな

なんでもみんな揃えたがる
しかも
自分の定規で測ってね

権力のある定規を持つものが
大きな顔で線を引く
いったいアンタの定規は
どんな単位がついているんだい

みんな
みんな
ぎりぎりのところで踏ん張っているんだ
頼むから大きな波は起こさないで

いらないものを排除して
残った中にだけ
アンタの幸せがあるというなら

それはちっぽけな世界だね

かわいそうな人と
思ってあげるから
私たちの存在は忘れて
中央だけで大きな顔をしていればいいじゃないか

はみ出されるのが怖いわけじゃない
ただ
この世界で知り合った仲間と
別れたくないだけなんだから


2004/09/11 19:46








「 曼珠沙華 」

ひっそりと
ここで生きている
奥深い森の中


このときを
燃えるように
生きている

誰にも気づかせない
この想い

誰にも伝えない
この想い

ひとり
胸に秘め
燃え尽きる

ひとときの
今を


2004/09/12 16:52








「 まよいご 」

おそらく欲張りなだけ
深いところで何かがのたうちまわる

何をそんなに求めているのか
何をそんなに怖れているのか

手を伸ばす
声にならない声を出す
鏡を覗いて苦笑い

なんて醜い

見つからない
真実

探している
安息を

深く眠ってしまえば
全てが終わるのだろうか
闇に包まれ
思考を止めようと試みてみるけれど
容赦なく夜が明ける

まぶしい光に
動けないはずの足が
動き出す

今日も進むんだね


2004/09/13 07:22








「 露草 」


ひっそりと
川べりに咲く小さな露草
青い色は清清しくて
けして自己主張しないのに
なぜか心にとまる

青空の青よりも
太平洋の青よりも
綺麗な青

花は小さく
いつもいつだって
物陰に隠れてひっそりと咲く

ねえ
おまえは淋しくなあい?
誰も褒めてもくれないのに

雨が降ると
静かに濡れて佇んでいる
まるで
涙に光る瞼のようで

摘んで帰りたいけど
そっとしておこう
おまえには
そこがよく似合う

そこだからこそ
綺麗に輝いていられるんだものね


2004/09/13 21:16








「 渇望 」


眠くてたまらない
朝が早かったからだけじゃなく
たとえようのない疲労感
泥沼にひきずりこまれるような
けだるさ

今の目
きっと死んだ魚のよう
濁って
輝きを失った
暗い目
遠くを見つめているんだろう

自分じゃないものを見つめている
見つめているのではなく
傍観している
時の流れを
ただ
眺めている

眠ってしまえ
何も想わずに
眠ってしまえ
笑うことさえ忘れて

笑顔に何の価値がある
言葉に何の価値がある
誰も答えなどくれやしないから
待ち続けることなどやめてしまえ

眠ってしまえ
眠ってしまえ
時計の針を止めたまま


2004/09/13 23:38








「 夢見たものは 2 」


求めすぎていた
いつもいつだって
あなたの横で

私には笑うしか術がなく
泣くこともできず

ただ
横で笑うだけ

気の利いた会話も
知識もなく
下手な詩を書き
こころを吐き出して

だけど
いつだって
求めていた

あなただけの
笑顔を

あなただけの
言葉を


2004/09/15 00:13








「 せせらぎに 」


木漏れ日の落ちた
静かな川の流れに

映してみる
日々の暮らし
己の姿
こころ

清らかな水面に
とうてい映しきれない
複雑模様

流れていけ
流れていけ

小さくちぎって流すから
どうぞ洗い流して
その水面に
恥じずに映せるようになるまで


2004/09/15 13:29








「 決意 」


登る朝日に背伸びして
今日の一日が輝かしい日であることを祈ろう
自然のドラマの前で
人はこんなにも真っ白になれる

何も考えず
朝を迎えられたことを素直に喜ぼう
この朝日を
苦痛もなく眺めることのできた幸せを
感謝しよう


こうして生きている
ただ
それだけで
しあわせなのだと

神々しいほどにまぶしい
目を細めてあおぎみる
ただ純粋に
今日の日を生きる決意
胸に秘め

深呼吸をして飛び出そう
現実という
世界へ


2004/09/16 19:13








「 時の狭間で 」


いつまでたっても独り言
相手がいなけりゃ独り言
モニター見つめて溜息さ

発信しても届かない
途中で打ち落とされてる
電波はあなたに届かない

もういいかげん
諦めちゃいなよと
こころのどこかで悪魔が笑う

そうだよね

ここではないどこか
本当に
ひとりきりになってみるのも
いいかもなんて

こころにも無いこと考えて
ちょっと冷めた目で外を見つめる
暗い空におつきさま

あなたには何が見えてるの


2004/09/17 00:11






photo by 椎名