静かに時が流れるから

今は吹く風に身を任せよう



冷たい空気の中

そっと開いた梅一輪

膨らんだ蕾の愛らしさ

命の色



春がくるよと告げている

寒さの中



この素晴らしい喜びを

分かち合えるなら



2011.01.06 00:01












「河津桜」





上気した頬を寄せ合って

まだ寒い早朝にひっそりと



妖しいほどに可憐なその姿に

何を想うのだろう



わずかな希望と

諦めと



まだ遠い春に



2011.02.18 22:36












春よ

春よ

私のこころそっと包んで



憂いや

迷いや

苦しみ



みんな

みんな

包み込んで隠して



春よ

春よ

そのやさしい微笑みで



ぬくもりだけ

今は

それだけでいいと



2011.03.17 22:04












春が逝く

薄紅色の花びらが

風に舞う

舞う



花吹雪の中

走馬灯のように

想いが吹き抜ける



言葉にならぬ想い

花びらに乗って

舞い狂う



春が逝く

これが最後

これで最後と



振り向けば愛しい笑顔



2011.05.08 16:34












そこにいる

それだけで安心できる

どこにいても

きっと

あなたは見ていてくれる

そう信じさせてくれる極上の笑顔



最後のそのときまで

特別の時間を一緒に



共有する歴史

共有する喜び

共有する哀しみ

二人なら怖くない



離れたくないのに

離れてしまう運命に



こうして向き合っている



最後まで

笑顔で





2011.07.07 00:02












ひとつひとつ

小さな想いが重なって

大きな雲のように膨らんで

膨らんで



ちいさな笑顔が

たくさんの笑顔になってゆく



たくさんの胸の中で生き続けていけるような

そんな

素敵な人になりたい





2011.08.01 23:43












ここへおいで

眠れない夜は唄ってあげる

静かな海のららばい



火照ったこころ

潮風が冷ましてくれるでしょう



押さえ込んでいても

時折

ふと顔覗かせるさみしさが

眠れなくさせているのなら



ここへおいで

唄ってあげる

やさしいららばい





2011.08.25 01:08












「 ふるさと 」





虹の彼方を探していた

そこに幸せがあるような気がして



わかっていたのに

そんなところに幸せなんてないこと



足元を探すのに疲れてしまったのは

わたし



与えられた領土を放棄したのも

わたし



いまさら

戻れないことわかっている



それでも

他に行くところがないから戻ってきた



母のもとへ



何も言わず受け止めてくれる

唯一無二の存在

母の懐へ



大丈夫

きっと

ここからまた

歩き出せる



まだ

動いてくれる体があるから





2011.09.10 20:43












「夕暮れに」





閉じ込めた想い

知っているよと言いたげに

燃え上がる空



夕暮れ時は

人恋しくて



前を向いて進むと決めた

くじけそうになるこころ

振りほどいて



進む

この足で



まだ動いてくれている

そのことに感謝して



今は

それだけを信じて歩いて行こう





2011.09.22 23:29












過ぎ行く季節の足音

振り向けばそこにあるはずの笑顔

今は

こころの中でそっと



不確かなもの

手を伸ばしても届かないから

抱きしめる

空白の想い



笑っているよね

わたし



今は

進むしかないから



もうすぐ

白い冬がくる





2011.10.02 00:34












やわらかな日差しに包まれて

煌く湖水にため息

素晴らしいこの風景を

見られることの幸せをかみ締めて



今の私には何も無い

綱渡りの日々に

不安だらけの毎日



全て忘れられる

生きてる

それだけで

幸せなのだと



日差しと

風と

世界が



味方だよと

囁いてくれるから





2011.10.09 14:16












風が季節を告げる

間違いなく移り変わる季節の使者

頬を

髪を

撫でて

そうして囁く声は

こころを

やさしくさせる



ほら

日差しが

まだこんなに暖かい

もう少し

もう少しだけ

こうしていられるね



やわらかな笑顔

胸の中をよぎるから

思い出を抱きしめて

陽だまりの中

まどろんでいよう



冬までは

まだ

もう少しあるから





2011.10.12 20:05












駆け足で過ぎていく季節の

香りが色が

こころをそっと癒してくれる



こんなに素晴らしい世界で

生きている

そう感じられるこころに感謝



みんなこの世界で生きている

自分に与えられた役目を

精一杯に



小さなことで悩んでいても

大きなことで苦しんでいても

明日は笑顔でやってくる



ねえ

顔をあげようよ

素晴らしい笑顔を見ようよ



手足伸ばして深呼吸

生きているんだもの





2011.10.23 10:11












「秋の日に」



燃える秋

胸焦がす

そっと手を当て確かめる

ここに

間違いなく在る





届かないところにあるから

手を伸ばすよ

あなたへ



この目に映るものすべて

届けたい

あなたへ



素晴らしい色彩で

染め上げられてゆく季節を



あなたへ

あなたへ





2011.11.03 22:51