ゼロ戦の真実B


◎武装の問題点について


さてさて ゼロ戦の武装の問題点を書いてみようと思いましたが
困った事が一つ・・・
ゼロ戦に搭載されていた20ミリ機関銃
99式一号銃はスイス・エリコン社のエリコンFFのライセンス生産で
ドイツのMGFF20o機関砲と基本スペックはほぼ同じです。

おお!!
技術先進国のドイツと同じスペックの機銃を搭載していたとは!!
我が日本の技術も捨てたものではない!!

・・・しかし 落とし穴が一つ
それは・・・

この機銃は初速が遅くして 弾が重いので
弾道特性が悪く いわゆる「ションべン弾」

放物線を描くような弾道でした。
さらに!
携行弾数がドラムマガジンである為に僅か60発しか無く
あっちゅー間に撃ち終わってしまう・・・
そして機械的信頼性も疑問があり
急旋回などで高い荷重が掛かると故障してしまう事もしばしば有ったようです。
故障してしまったらただのオモリでしかありませんし
さらにマガジン内に残っている弾薬に
敵の銃弾を受けたら・・・
木っ端微塵になってしまいます。

この問題は日独共通で
ドイツのパイロットはMGFF20mm機関砲を
機体から取り外してしまうケースも有ったそうです。
日本は軍の命令で取り外してしまうのを禁じていましたが
パイロットにはかなり不評であるエースパイロット等は
「無用の長物」と酷評していました。

後に改良型の99式2号銃が搭載されてこの問題は
だいぶ改善されました。
しかし 同じドイツのMGFFの改良型MG151/20
は99式2号銃のそれより遥かに性能の良いものでした。orz

ゼロ戦の機体強度の問題で発砲すると
翼内に搭載されているこの銃は翼を激しく振動させ
弾があっちこっちに散り
如雨露で水撒き とよばれていました。
これは2号銃になっても改善されませんでした。

欠点は多いですが
運良く弾が当たればその威力はナカナカのもので
連合軍には「トゥエニー・ミル」と呼ばれ恐れられていました。

20mm砲の性能比較
重量kg 初速m/s 発射速度rpm 弾頭重量 g
99式1号銃 25 600 500 124
MGFF 20mm 28 600 520 134
99式2号銃 35 750 450 128
MG151/20 42 800 700 92


次に 照準器

照準器の性能は世界的レベルからは10年は遅れていました
ゼロ戦に搭載されていた照準器は
98式射爆照準器と言うもので
ドイツのRevi C2照準器をコピーしたもので
これは初歩的な光学照準器
この当時ですら骨董品の様なものでした

欧米諸国はすでにジャイロコンピューティング式の
照準器が装備されていたのに・・・

そして 弾道特性の悪い20mmと
弾頭特性が素直な7.7mm機関銃を
同じ照準器で狙うのですから パイロットの技量が
余程高くなければ 命中は期待出来ませんでした。


無線機

さてさて これのレベルはもう悲惨です。
雑音が多すぎて使い物にならない!

そもそも外国製品の模倣品なのですが
技術が低く 模倣したのに
終戦まで使い物にならない物しか造れませんでした

終戦後に分かった事ですが
回路内のアースの取り方を変えたら
ちゃんと使える無線機が出来たそうです。

無線機が使えないとどうなるか・・・
戦闘中に個々の機体同士の意思の疎通
危険を知らせる 等の連係プレーが出来ず
各々の判断で闘うしかなく

無線機を有効に使う敵に対して
甚だ不利な戦闘を余儀なくされてしまったようです

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