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Input-Output Analysis「産業連関分析の覚え書き」



2. 国際産業連関分析
2.2 競争輸入型
2.2.4 国際連関表における非競争輸入方式と競争輸入方式の比較

 完全非競争方式の国際産業連関表を作成するには、「国別·財別・産業部門別」の輸出入統計が必要であるが、これが完全に整備されている国は日本をはじめほんの一部であり、特に途上国を対象とした場合は事実上不可能に近い。この点、競争輸入型モデルでは、「国別·財別」の輸出入統計で作成可能なため、もちろん膨大な作業が必要になるとはいえ、実現可能性は高い。また、モデルの操作においても、外生条件として与える各国の財別最終需要で、国産品 / 輸入品(輸入相手国別)の区別をする必要がないため、単純計算でデータの量は半分になることになり操作が簡易である。さらに、1国表の競争−非競争輸入方式の違いと同様、技術係数としての投入係数が安定するため、経済・技術の予測·計画に適している。

 非競争輸入方式と競争輸入方式の対応を比較してみると、次のようになる。

Figure 2-8 多国連結完全非競争輸入方式と競争輸入方式の対応
注) Q = 1,...,Z かつ Q ≠ I

国別中間需要部門  国別最終需要 



II


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I AI I·XI
⇒(I - ^
M
I
- ^
T
RI
)AI
XI
YI I
⇒(I - ^
M
I
- ^
T
RI
)YI
ErI 0 XI
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Q
注)
AQI·XI
^
T
QI
AI
XI
YQI
^
T
QI
YI
ErQ 0 XQ
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I
AmI·XI
^
T
RI
AI
XI


YmI
^
T
RI
YI

0 -MrI 0
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付加
価値
VI  
総生産 XI


 ここで、扱うデータの総数を比較してみる。( n : 部門数、z : 連結国数)

非競争輸入型と競争輸入型モデルのデータ数の比較
非競争輸入型競争輸入型
中間需要部門n2 × zn2 × z
最終需要n × z × zn × z
輸出入連結国内n2 × ( z2 - z )n ×( z2 - z )
その他世界2 × n × z2 × n × z
合計n2 z2 + n( z2 +2z )n2 z + n( z2 +2z )


 競争輸入型モデルの方がn2 × ( z2 - z )だけデータ数は少なくなることになる。実際の作表上の作業量を考慮すると、10国、30部門の場合、93,600件に対して、12,600件、すなわち8割以上も簡略化できる。


2.2.5 輸送部門の扱い

 2.2.3節までの議論に加えて、地域間の輸送に関わる財の需要を検討する。

I 国の輸入部門での財の需要を TsI とすれば、バランス式は次のようになる。
AI· XI + YI + EI - MI + TsI = XI     ( I = 1 ,..., Z )
(2.2.33)
 輸送のコストを輸入側が負うこととする。 第 j 財を輸送するために第 i 財が投入されるとき、
Hij =
第 i 財の投入額
( 第 j 財の輸送額 × 輸送距離 )
(2.2.34)
とすれば、輸送部門による需要は次のように表せる。
TsI
= H · ΣQ ( LQI
· TQI
) + LRI
· TRI
= H · ΣQ ( LQI
· ^
T
QI
) + LRI
· ^
T
RI
) ·( A I
·X I
+ Y I
)
ただし、
H =
H11 H1n
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Hn1 Hnn
i 国と j 国間の平均輸送距離 : LQI = LIQ
( Q = 1 ,..., Z かつ Q ≠ I )
(2.2.35)
ここで、
M' I
= M I
- Ts I
= ΣQ,R ( I - H · LQI
) · ^
T
QI
·( A I
·X I
+ Y I
)
(2.2.36)
とおけば、前節と同様である。



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