各部門への投入される国産財と輸入財(その生産に際して国内に波及を及ぼさない)が、完全に非競争的(代替性がない)であると仮定するのが、非競争輸入方式である。輸入財の需要構造が詳細に記述でき、現実の需給モデルをもっとも正確に表現することができる。
Figure 1-4 非競争輸入型産業連関表 (n×n)
需要部門
投入財 |
中間需要部門 (Activity) j = 1,...,n |
最終需要 |
輸 入 |
総 生 産 |
国 内 最 終 需 要 |
輸 出 |
国産財 (Commodity) i = 1,...,n |
xd (=Ad·X) |
Fd |
0 |
X |
Yd |
Ed |
輸入財 (Commodity) i = 1,...,n |
xm (=Am·X) |
Fm |
-M |
0 |
Ym |
Em (=0) |
付加価値 |
V | |
総生産 |
X |
中間需要 x、および最終需要 F を国産財 (d) と輸入財 (m) に分割する。
x = xd + xm = Ad X + AmX |
F = Fd + Fm |
| (1.2.12) |
このとき、需給バランス式は
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X = Ad X + Fd |
M = AmX + Fm |
|
| (1.2.13) |
となる注4。
これより、国内総生産 X と輸入 M について解くと、
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X = ( I - Ad )-1 Fd |
M = Am( I - Ad )-1 Fd + Fm |
|
| (1.2.13)' |
となる。
国産財/輸入財別投入係数行列 Ad, Am 及び国内財/輸入財別最終需要 Fd, Fm を与えれば、国内総生産 X と輸入 M が求められる。
この場合の部門別環境負荷物質の排出量ベクトル Dは、次のように計算できる。
部門別環境負荷物質の排出量ベクトル D は、次のように計算できる。
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国内発生分:D |
d
|
= |
^ C |
d
|
·X |
+ |
^ C |
f
|
·(Y |
d
|
+ Y |
m
|
) |
|
^ C |
d |
:国内中間需要部門別排出係数の対角行列 |
|
^ C |
f |
:国内最終財別排出係数の対角行列 |
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| (1.2.15) |
注4) |
2式の和、X = ( Ad + Am ) X + ( Fd + Fm ) - Mは、競争輸入モデルの需給バランス式X = A X + F - Mと同等である。 |
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