■大人の遊び(4)■


「く……っ……おいルパン、いいかげんに……し……ろ……っ」
 壁一枚隔てた隣の部屋では、次元が透明なガラスに後ろから身体を押し付けられていた。向こうからはただの白い壁だが、こちらからは透明なガラスだ。
 ネクタイは床に落ち、シャツははだけ、スラックスと下着は足元に蟠っている。
「んあ……ッ」
 ルパンの指が首筋から胸、下腹部を辿る。
「なあ次元、どんな気分? 息子が大人になっちゃって寂しい?」
 荒い息を吐きながらルパンが囁く。
「いや……アレだ……どっちかって言うと娘が嫁に行く気分……」
「ああ、それで、あんまり元気がないんだ」
「うるせ……っ……」
 いつもならあっという間に立ち上がりむせび泣く次元のそれが、今は力無くうなだれている。
「うあ……っ……」
 細く長い指が、次元の孔に侵入する。背中全体にキスを落とされながら、次元の身体は慣れたそれをゆっくりと飲み込んでいった。
 ガラスの向こうで、あのクソガキが涙を流している。その光景が目に焼き付いて、慣れているはずの次元の身体はいつまでも快感を拾うことができなかった。
 
 
 
「あ、は、へいじ、にい、ちゃ……」
 息も絶え絶えに、コナンは身体中を駆け巡る快感に耐えていた。いくら刺激されても、コナンの身体は達することができない。
 精通すら迎えていない幼い身体と、射精の快楽を知っている成熟した脳が、相反する欲求を訴える。
 服部は、ベッド脇にぽつんと置かれたローションの容器を手に取った。敵が用意したものを使うのは気が引けるが、今更ここで逡巡しても仕方がない。滑る液体を温めながら、服部は、その隣に置かれたゴムに毒気づいた。
──こんな子供の身体相手に、そんなもん使うようなことするか、ボケェ!──
 何とか怒りを治めながら、服部はコナンの身体を抱え直した。
「指、いれるで」
「うん……」
 涙に濡れた顔が弱々しく服部を見上げる。
──ああ、これは工藤やない──
 服部の心臓がズキリと痛む。いつもの新一なら、例え身体は子供でも、不敵に笑って言うのだ。──『はやく、いれろよ』──と。
「ん……っ」
 指で中を優しく刺激する。コナンの身体から徐々に緊張が溶けていく。服部には理解できないが、新一は言っていた。脳が快楽を捕まえられれば、疑似的に達することができるのだ、と。
「あ、あ……ん……っ」
 幼い喘ぎが部屋に響く。快楽の波が脳を埋め尽くす。
 脳内だけが天国へ飛ぶその瞬間を新一は見誤らなかった。いつもなら服部の前でも口にしない言葉をわざと選ぶ。
「あ、やだ、いっちゃう、こわい……っ」
 白い壁に向かって涙を流しながら、新一はコナンの声で精一杯叫んだ。
「助けて……っ、パパ!」



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