ファジアーノ岡山関連コラムNo.16

ファジアーノ岡山2010年序盤戦を終えて(2)(2010/4/29)


−守備は安定−

昨年51試合で84失点と最多失点クラブと守備の立て直しが最優先事項だったファジアーノ岡山。
守備力向上を期待して浦和から近藤徹志を、鹿島から後藤圭太を完全移籍で獲得してこの二人に期待が集まった。

開幕戦からフル出場している近藤は期待以上のパフォーマンスで守備力向上に大きく貢献している。

ここまでの8試合で8失点と1試合1失点ペースならば上出来だ。
近藤はヘディングの競り合いに強くフィジカルでも当たり負けしないので非常に頼もしい。昨年のファジアーノのディフェンス陣に顕著だったスピード不足も感じさせず、まさに大黒柱となっている。あとはコーナーキックなどのセットプレーの時に持ち前のヘディングの強さを発揮してゴールしてくれれば言うことなしで近藤に関しては獲得大成功だ。

後藤に関しては怪我で出遅れたこともあってまだ直近の2試合しかフル出場していないので何とも言えない。ただ線の細さは気掛かりで公称183cm、75kgとなっているが、観客席から見るにはそこまでの体の大きさや迫力は感じない。

近藤と共に守備面で大きく貢献しているのが正GKの座を射止めた真子。昨年は試合に出る度に故障などが響き正GKは李(リ)が務めていた。

昨年から安定感は真子の方が上で李はビッグセーブで観客受けする選手だったが欠点も多かった(ファジアーノ岡山の挑戦:Jリーグ1年目を終えて(2)参照)。
今年の真子は持ち前の安定感に加えて毎試合スーパーセーブも飛び出しており序盤戦のMVPと言ってもいいだろう。

攻撃陣に故障者が相次ぐ中でDFラインはベストメンバーを組める状況なのも守備が安定しているひとつの要因かもしれない。

昨年も序盤の8試合で9失点と序盤戦は守備が安定していたがそこから大きく崩れた。今年はその轍を踏んではいけない。どのチームも研究が進んで失点がある程度増えてくるのはある程度仕方ないかもしれないが、昨年は複数失点が51試合中24試合と5割近い試合で2点以上失っていた(3失点以上も14試合もある)。今年は2失点以上喫したのが8試合で2試合と少ない。4試合に1試合のペースを維持するのは難しいと思うが、3試合に1試合ペースは保ってもらいたい。

−ベテランの必要性−

昨年のまとめのコラムでベテラン選手の獲得を希望した。しかし、ファジアーノ岡山は一貫してベテラン選手の獲得に否定的で30歳の地域リーグ時代から所属している川原が最年長選手で、残りの40人以上の選手のほとんどは20台半ば以下の非常に若い選手構成になっている。

ファジアーノ岡山の方針として継ぎはぎの選手補強はしないとのことだ。先の短いベテラン選手を使うよりも若手にチャンスを与えたいのだろう。
何も目先の結果のみを追って3人も4人もベテラン選手を獲得しろとはサポーターのほとんどは考えていないだろう。

昨年青木孝太がレンタル移籍でシーズン途中に加入した時に年齢が近い選手ばかりでやりやすいと語っていたのが印象的だった。
裏を返せば若い選手ばかりで緊張感に欠けたなぁなぁの雰囲気になっているのではないのかという心配がある。

昨年ジュビロから藤田俊哉を獲得した熊本は今年上位につけている。もちろん藤田だけが好調の要因というわけではないだろうが、藤田が移籍して藤田のサッカーに対する取り組みが若手の良い手本となって若手の成長を促している効果もあるのではないだろうか。

何もベテランを取る目的が試合に勝つためだけであるならばファジアーノの方針も納得がいく。しかし、修羅場をくぐり抜けてきた経験豊富なベテランが近くにいることによって若手もピッチの内外で色々と吸収するできるところは多いのではないかと思う。
周りが若い選手ばかりだと自分のやっていることに自信が持てなくとも酸いも甘いも知り尽くしたベテラン選手に太鼓判を押してもらえれば自信を持って取り組める。
若手の選手の育成のためにもベテラン選手の獲得の必要性を強く感じる。
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