シェフからのメッセージB
HEADLINE
ネット上に書かれた情報についてひとこと
私は典型的なアナログ人間ですから、インターネットなど見る事はまずありません。
ただ、お客様の何人かが、お店の事で非常に不快な書き込みがあると教えて下さったので、初めてそういうものを見ました。
それは、レストランなどの飲食店に関する感想を個人的に書き込む“食べログ”というサイトの中の一つの書き込みでしたが、なるほど、お得意様が怒るのももっともで、私も驚きました。
感想をそれなりに書くのは良いにつけ悪いにつけ、ある意味自由なのかもしれませんが、私の履歴や私の店の歴史も全く事実と違っていて、その上、この方はご自身でご予約された訳でもなく、料金を支払われた訳でもなく、当然、私どものシステムもご存知ない様です。
こんな書き込みなど、放って置こうかとずっと長い事思ってきましたが、多くのお客様に言われた事もあり、私としてもここまで間違った情報を流されては、色々誤解されてしまうと思い、書いてある事に対する事実を並べてみたいと思います。
まず、私の料理が『60年代のフレンチもどき』だそうですが、どういう風に仕入れた情報なのか、そんな事どこにも書いてはいませんし、私がフランスへ行ったのは70年代に入ってからの事です。
60年代ではまだ子供だった訳ですから、当然70年代には青山に私のレストランなんて存在しませんし、それに予約が取りにくい状態ではありましたが、行列ができる様な形態の店ではありませんでした。
もっとも、その店の前に80年から浅草で始めた店ではそういう事もありましたが。
『シェフは絵の勉強にパリに行った際に』とありますが、私はそもそも絵の勉強なんてやった事さえありませんし、それに私を面倒見て下さったのは、パリではなくブルゴーニュの人です。
『2回ともキノコのスープが、出てきました』とありますが、これはその方を連れて来られたお客様の大好物で、その時もリクエストに応えた結果です。
『お肉のソースはコクが無く、フォンを使っているのか疑問』とありますが、私どもでは何週間もかけてフォンをとっておりますし、馴染みのお客様は、わざわざ買って帰られたりするぐらいですから、これもちょっとどうかと思いますが、全ての肉料理にどっしりとしたソースというものでもありませんし、個人的な好みなら色々あるのかもしれません。
ワインの事に至っては何をか言わんやで、これも連れて来られたお客様の特に好むワインですから、別に私どもがお薦めしている訳ではありませんし、その方はそのワインを2本、3本と飲まれる事も多く、リーズナブルという事も重要だった様です。
決して高級品ではありませんが、ワインリストに並んでいる沢山の種類の中から選ばれるのですから、それこそその方の自由です。
メニューブックを持たない私どものシステムでは、何年何月何日に、どんなお客様がどんな料理とワインを召し上がったか等々全て細かく記録してございますので、当然この時の事も分かっておりますが、攻撃が目的ではありませんので、その様な面倒な事はここでは言わない事にします。
ただ『なんだかんだ言っても軽井沢のはずれ…期待してもねぇ』とは、何十年もずっと通い続けて下さる多くのお客様に対して失礼だと思いますし、また、平和にコツコツと料理をしたくて、この軽井沢のはずれで暮らしている私にしてみれば、何より、誰に吹き込まれたのか分かりませんが、
裏付けも無く無責任にこのような事を書く人が存在するとは、これも時代なんだなあと溜息が出てしまいます。
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