Movie Review 2003
◇Movie Index

アニマトリックス('03アメリカ)-Jun 7.2003
[EXPLANATION]
著名なアニメーターたちが、仮想現実“マトリックス”を題材に短編アニメを作り上げたオムニバス作品。中にはウォシャウスキー兄弟自ら脚本を書き、『マトリックス』『マトリックス リローデッド』を繋ぐ重要なエピソードも含まれている。

『ファイナル・フライト・オブ・オシリス』 監督アンディー・ジョーンズ(『ファイナル・ファンタジー』アニメーション・ディレクター)
 オシリス号はザイオンを破壊しようとするセンチネル軍団を発見した。急いでザイオンにその知らせを届けなければならなくなるが・・・。
『セカンド・ルネッサンス パート1&パート2』 監督・前田真宏(『青の6号』)
 かつて人間が支配していた世界が機械にとりかわり、第二のルネッサンスを作り上げていく様子を描いていく。
『キッズ・ストーリー』 監督・渡辺信一郎(『COWBOY BEBOP 天国の扉』)
 地面へ落下する夢を頻繁に見る少年。彼がネットに疑問を投げかけると、ネオから返事が返ってくる・・・。
『プログラム』 監督・川尻善昭(『バンパイアハンターD』)
 戦国時代。女武者に扮した覚醒者シズは、訓練中に仲間の武者デュオから、再びマトリックスへ戻らないかと誘われる。
『ワールド・レコード』 監督・小池健(『TRAVA - FIST PLANET episode 1』)
 短距離走で金メダルを獲得したダンは、ドーピング疑惑でメダルを剥奪されてしまう。ダンは再びチャレンジするが、肉体が限界を超えてしまう。
『ビヨンド』 監督・森本晃司(『MEMORIES 彼女の想いで』)
 いなくなった飼い猫を探す陽子は、オバケ屋敷と呼ばれる場所へたどり着く。そこで不思議な現象を目の当たりにするが、エージェントたちがやってきて屋敷を封鎖する。
『ディテクティブ・ストーリー』 監督・渡辺信一郎(『COWBOY BEBOP 天国の扉』)
 探偵アッシュの元に、トリニティーを探してほしいという依頼が舞い込む。これまでにも他の探偵に同じような依頼があったらしいが、どの探偵も目的を果たせずにいた。
『マトリキュレーテッド』 監督ピーター・チョン(『アレクサンダー戦記』)
 人間を襲うロボットを捕らえては、自分たちの活動に協力するよう再教育する人間グループがいた。しかしセンチネルがその場所を捕らえ、攻撃を仕掛けてきた。
−◇−◇−◇−
9編のうち7編が日本人監督による作品(『オシリス』も製作はスクウェア)で、本当はピーター・チョンが手がけたものも最初は日本人監督にお願いしてたらしいが、断られてしまったので彼が担当することになったらしい。『オシリス』『ルネッサンス』『キッズ』はラリー&アンディー・ウォシャウスキーが担当している。

兄弟が脚本を手がけた上記の作品は本編と関わりがあるので見ておいたほうがいいと思う。『オシリス』はザイオンにセンチネル軍団が襲い掛かろうとしていると『リローデッド』で言われているし、『ルネッサンス』は「なぜこんな世界になってしまったのか?」が、モーフィアスの言葉だけでは理解できなかったところも分かるからだ。
でも『キッズ』がたったあれだけの話とは思わなかった。絵も好みじゃなかったせいもあって正直言って肩透かし。『リローデッド』に絡ませた意図は一体何だろう?『レボリューションズ』にも関係してくるのか?ひょっとして(ここからネタバレ)薬を飲まずとも、キッド自ら覚醒して船までたどり着いたことに何か意味があるのか?彼が7代目のThe Oneになる可能性も?・・・違うか(笑)(ここまで)
そのほかの作品はマトリックス番外編という感じ。『ディテクティブ・ストーリー』にはトリニティーが登場するのでちょっと関係があるけどね(ネオの声もトリニティーの声も本人たちがアテレコしたそうだ)

面白かった作品は『プログラム』『ワールド・レコード』『ビヨンド』『ディテクティブ・ストーリー』の4つ。『オシリス』はストーリーはいまいちなんだけど、あの技術力に見惚れまくる(『ファイナル・ファンタジー』は見てないのよね)人間の動きはぎこちないけど、ところどころ実写と見紛うようなシーンがあって驚く。顔の筋肉の動きもかなり人間と近くなってきてて、ちょっと怖いなぁと思ったり。
マトリックスというモチーフを使って一番自由に作り上げていたのは『ビヨンド』だった。マトリックス内のバグを、子供ならば素直に受け入れて遊び場にしてしまうだろう、という発想!すげーよ。素晴らしい(笑)最初はセリフ英語の字幕版を見たんだけど、どうもしっくりこなくて日本語吹替で見なおしたら、こっちのほうが口が合ってるじゃん(笑)あと『ディテクティブ』は雰囲気や雪のシーンがとても綺麗で繊細で良かったなぁ。日本人じゃないからという偏見かもしれないが、それに比べて『マトリキュレーテッド』は大雑把。あのCGはないでしょ。それに他の作品が10分以内なのに対して16分は長すぎ。アイデアは面白いと思ったけどね。

特典映像では監督のインタビューやメイキング、そして日本アニメの歴史が語られていて、こっちもすごく面白かった。三部作+アニマトのBOXで出してくれたら・・・買うな(笑)
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