Movie Review 1997
◇Movie Index

ベント〜堕ちた饗宴('97イギリス)-Oct 10.1997
[STORY]
ナチス支配下のドイツで、大量のユダヤ人とともに強制収容所に送られた同性愛者のマックス(クライヴ・オーウェン)は、同じく同性愛者のホルスト(ロテール・ブリュトー)と出会う。2人は顔を見ることも手を触れることもなく、言葉だけで愛を交わしていく。
監督ショーン・マサイアス(舞台監督)
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「BENT」というタイトルが出たあとすぐに写し出される女装ミック・ジャガーのシルエット。そしてあの大きな口で歌を歌うその迫力!爆笑してしまった。しかし笑えるのはそこまで。

ナチから逃げるマックスと恋人が捕まり、列車の中で暴行を受け、収容所での過酷な生活が始まる。そして衝撃のラスト。あまりにも重くて、切なかった。確かに「同性愛」がテーマなのだろうけれど、ナチスのその非人間的な行為がメインと言ってもおかしくはない。映画が終わってエンドロールが出はじめた時、いたたまれなくなって(暗いところにいつまでいたくなかったので)すぐに外に出た。ボロボロ泣くことはなかったけど、しばらくぼんやりしてしまった。

舞台でのヒット作らしいけど(日本でもやったらしい)場面展開がけっこうあるので元が舞台作品とは思えなかったな。
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GO NOW('96イギリス)-Oct 10.1997
[STORY]
サッカー選手のニック(ロバート・カーライル)は、クラブで知り合ったカレンと恋に落ち、同棲を始めた。しかしニックの身体に異常が現われはじめる。病院で検査したところ、硬化症であることが判明。カレンは献身的に介護をするが・・・。
監督マイケル・ウィンターボトム(『バタフライ・キス』
−◇−◇−◇−
「難病にかかった相手を支える恋人」このシチュエーションはどの国の映画にも存在し、数多く映画やドラマ化されている。日本でやったら陳腐なメロドラマになってしまうところを、この映画では冷静かつユーモアを交えて描いている。だから思わず笑ってしまうシーンもあるし、ポロッと泣いてしまうシーンもある。『司祭』ではゲイを『トレインスポッティング』ではアル中役だったカーライルが、今回はごく普通の男を、難病役だからといって決して気負いなく演じている。ただ、相手役の女優がカーライルより背も高いしガタイもいいので、ちょっと不釣り合いだと思った。
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愛する('97日本)-Oct 8.1997
[STORY]
臨海副都心に遊びにきた森田ミツ(酒井美紀)は、吉岡努(渡部篤郎)という沖縄出身の青年と出会う。その日のうちに結ばれた2人だったが、会えない日が続く。しばらくして再会するがミツはハンセン病と診断され、北アルプスにある療養所へと隔離されてしまう。
監督&脚本・熊井啓(『深い河』)
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お台場なんて出てくるので現代的にアレンジしたのかと思えば、セリフは古いし名前はミツだし連れ込み旅館なんて出てきちゃうしで、思わず「昭和?」と首を傾げてしまった。だったら最初から現代にせずに、もう少し年代を古くすればいいのに、と思ったんだけど、96年に「らい予防法」が廃止されたことを描きたかったようなので仕方ない。それならもう少し工夫してもよかったのに。

けれどミツが療養所へ行ったあたりからはとてもいい。酒井美紀ちゃんの透明感のある清々しさはまさにミツに適役。一途で健気でやっぱり美紀ちゃん可愛い〜。一緒になってボロボロ泣いてしまった。ただ努役の渡部が好きではないので、最後まで「こいつ何だか信じられない」と不信感が募りまくり(笑)
長い間苦しんできた老人を演じた小林桂樹が、初めて海を見たというシーンはとても感動的で名シーンです。
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ミクロコスモス('96フランス)-Sep 23.1997
[EXPLANATION]
フランスの田園地帯に息づく虫たちを超クローズアップで撮影したドキュメンタリー。アリ、ハチ、チョウ、カタツムリなどの仕種を丹念にとらえている。カンヌ映画祭高等技術賞受賞。日本語版字幕を椎名誠が担当している。
監督&脚本クロード・ニュリザニー&マリー・プレンヌー
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虫ってすごいなぁという感想よりも、とにかくよく撮影したなぁという感想が先にきてしまった。また普段は聞くことのできない虫の這う音、羽音、葉を食べる音までよく録音できたもんだと感心しちゃう。そういう音以外に音楽を入れている場面もあるのだが、これがまた虫の動きに合っていてユーモラスだ。

私は虫は苦手で生で見たら卒倒モノなんだけど、この映画でじっくりとその生態を観察できて良かった。虫には虫の時間があり生活があって毎日必死なんだね。雨粒1粒が重たそうなんだもん。そう思うと、もう簡単に虫を殺すことなどできないって思った(と言いつつ殺してるが)カタツムリのラブシーンは濃厚すぎて(笑)思わず目を覆ってしまった。休日は子どもが多く、上映中もガヤガヤして集中はしにくかった。
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家族の気分('96フランス)-Sep 23.1997
[STORY]
メナール家の長男アンリ(ジャン・ピエール・バクリ)はカフェを継ぎ、次男フィリップは会社の重役。妹ベティも兄の会社で働いていて、アンリの店のバーテンのドニ(ジャン・ピエール・ダルッサン)と付き合っている。今日はフィリップの妻ヨヨ(カトリーヌ・フロ)の誕生日なので母も招き家族全員で食事をすることになっていたが、アンリの妻が家出をしてしまい・・・。
監督セドリック・クラピッシュ(『百貨店大百科』
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フランスで大ヒットした舞台の映画化。舞台と同じキャストで映画も本国では大ヒットしている。日本でも舞台化した作品だ。

監督は私の好きなセドリック・クラピッシュだった。が、舞台が元のせいか場面がほとんど変わらず(アンリのカフェシーンばっかり)途中飽きてしまった。面白いシーンや笑えるセリフもあるが、映画なんだからもう少し場所を変えるとか、映画としてのアレンジをしてほしかった(クラピッシュ監督自身、少し書き直したらしいが)セリフだけでやってくのってホントに難しいんだねぇ。その中でフィリップの妻ヨヨは最高にいいキャラクターで好きになってしまった。
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