2008年12月25日

南幌親水公園における捕獲事例


概 要.

 2002年9月15日、南幌親水公園内の洪水調整池で釣り人がブラックバスを釣ったという連絡が、南幌町から道立水産孵化場に入った。寄せられた情報に基づき調査したところ、同年9月19日にラージマウスバス1尾が捕獲された。これ以降も継続的に調査が行われたものの新たな捕獲はなく、生息の可能性は低いと見られていたが、2003年6月29日に江別市内の小学生によってラージマウスバス1尾が釣り上げられたのを皮切りに、8〜9月にかけて合計77尾ものラージマウスバスが捕獲された。

 噂は以前からあった。2001年11月22日にも同公園内の洪水調整池内において釣り上げられたというラージマウスバス1匹が、道立水産孵化場に持ち込まれている。このときは1ヶ月ほど調査を行ったが、捕獲することはできなかった。

 2004年7月13日には、北海道が全国で初めて導入した特殊ボート「エレクトロフィッシングボート(以下、電気ショッカーボート)」が、国内の調査では初めて用いられた。電気ショッカーボートの導入により駆除効率が向上したことで、2004年には63尾、2005年には8尾が捕獲され、2006年にはとうとう捕獲数が0尾となった。

 捕獲されたバスの安定同位対比を調べたところ、南幌親水公園付近でラージマウスバスが越冬できること、調査が継続されている間にも密放流が繰り返されていたことなどが示唆された。

 2007年5月27日にも再度調査が行われたが、この日を含め4回連続してバスが捕獲されなかったことから、北海道は駆除が完了したと判断し、この時点で北海道におけるバスの駆除がすべて完了したと宣言した。

<南幌親水公園における捕獲の経緯>


 親水公園内の沼(通称:晩翠沼)の全景。展望台「ふきの塔」から撮影。
 親水公園内の沼(通称:晩翠沼)。取材時はフナの産卵期で、岸辺のアシ際に多くのフナが群れていた。
 沼と水路でつながる下流側の洪水調整池と、畔に立つ「ブラックバス放流禁止」の看板。
 沼と洪水調整池をつなぐ水路。下流側が洪水調整池
 排水機場(右奥の施設)や幌向運河へと至る水路にある水門。幌向運河においてもバスは捕獲されている。
 公園内のいたるところに立つ放流禁止の看板。
 ブラックバス・ブルーギルの放流に対する罰則(北海道内水面漁業調整規則による)が書かれた看板。
 排水機場や幌向運河の先には千歳川が流れる。
 千歳川に注ぐ、機場からの排水路。


(以下、写真提供:北海道立水産孵化場)
 刺し網による調査。
 刺し網ではラージマウスバスのほか、在来魚も混獲されてしまう。
 捕獲されたラージマウスバス。
 電気ショッカーボートによる調査。捕獲効率が向上したばかりではなく、在来魚の混獲も防止できる。


電気ショッカーボートの詳細